様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「ルークが、竜退治みたいだよ」

「・・・大丈夫かな」

 ハクカが不安そうな顔をうかべていた。

「しかし、ルークの奴。出世していくな」

 才能があるから当たり前ですが、リッドからすれば心配なのでしょう。
 いくら剣の才能があるとはいえ王都の騎士団に行けばリッドを超える腕前の騎士など沢山います。
 私も同じで、剣術で私に勝る人など沢山います。身近な例で言えば、リッドです。

「ついでに面倒なのも増えたわね」

 なぜトガー様が形式だけでもルークの家臣という事にしておけと言ったのかが、ここ数日で良くわかったからです。

『我が名は、ヘクトール・フォン・プリングスハイム。プリングスハイム騎士爵家の三男にして、剣において我に勝てる者は無し!』

『私は、先のランケ家とアルトマン家との領地境における小競り合いにおいて、敵方の三名の騎士を戦闘不能にし!』

『私、エルスハイマー男爵と申します。今回、古代竜退治で活躍されたファブレ卿を慰労すべく屋敷でパーティーなどを。偶然ではありますが、私には今年十二歳になる妹がおりまして……』

『ルーク様においては、身の回りのお世話をするメイドが必要かと。そこで、我がエグルマイヤー商会が良い娘を紹介いたしたく。我が娘なのですが、身贔屓な分を差し引いても……』

 最初は、ルークが叙勲された翌日からです。
 後ろは、まだ今日も終っていない。

『我が必殺の槍術大車輪!』

 今日もザフト邸の門前で、アピールなのか、一発芸なのか?

 良くわからない技を披露している浪人がいます。
 目立たないと駄目なのはわかるのですが、ただ目立てば良いわけではないので、ご覧の通りです。
 ザフト邸前の風が強いような気がします。
 騎士爵になったルークの家臣志願者に、自分の娘や姉妹を妻として勧める貴族に、メイド名目での妾の押し付け。
 商会の当主が多いのは、どうにかして貴族家の専属となって身代を大きくしたいという野心があるからだ。
 普通、こういう場合は領地持ちの貴族が好まれますが、ルークは、とんでもない額のお金を持っていますので、ファブレ準男爵家の御用商人となり、ルークから資金の運用を任されたら、アルテリオさんに言わせると政商クラスでも涎が出るほどの優良物件なのだそうです。

 そんなわけで、並み居るこれら有象無象を避けるべく、リッドは従士長で、私とハクカとミュウは護衛兼メイドという扱いになっています。
 あとは、周囲が勝手に妾だと思ってくれれば御の字なのだそうです。

 そういえば、メイド服は着なくても良いのかしら?

『君達も、そのくらいの覚悟はあってファブレ卿と行動を共にしていると思いますが……』

 口調は丁寧だが、トガー様の言葉は厳しい。
 今までルークにくっ付いて良い思いをした分、デメリットも引き受けて当然。
 彼は、そう言っているのだ。

『俺は、軍の指揮とかも習わないとな』

 リッドは、ルークの家臣として生きる覚悟を決めているようだ。
 特に動揺した様子はなかった。

『私は、ルークのメイド・・・・なのかな?』

 ハクカは、まだ将来が分からないようだ。
 というかルークとあまりにも近すぎて、よく分からないというのが理由かもしれません。
 当然か、何せ突然だから、まだ心の準備が出来ていないのでしょう。

『どうしようかな』

 ミュウは、お姉様と一緒に冒険者をやると公言していましたからね。

『ユメイ殿は、どうです?』

『私は……』

 実の所、自分の将来で悩みます。
 私が冒険者を目指したのは、勉強や家事手伝いで優秀な兄様たちに恥じない妹でありたいからです。確かにルークの家臣になれば、優秀な兄様たちに恥じない妹になりますが、自分の力ではないからです。
 
『今のところは、ファブレ卿のパーティーメンバー兼家臣で良いと思うけどね』

 そこで話しかけて来たのは、ルークのお兄さんであるアンディさんであった。

『これは、私も不徳だったと思うんだけどね』

 ルークはその才能のせいで、家族からは虐められたりはしなかったものの互いになるべく関わり合わない関係を六年以上も続けていたらしい。

『正直、結婚式にハクカはともかく君達を連れて来るとは思わなかったくらいだ』

 アンディさんは、『成人するまで、自分が王都で面倒を見れば良かったのかな?』と悩んだ事もあったそうだ。
 兄や両親が、そこまでルークを危険視するとのかと。
 そして、それをまだ子供なのに平然と受け入れる物分りの良過ぎる弟にもだ。

『君達も、ルークも、まだ子供だからね。暫くは表向きの形式だけ整えて今まで通りで良いんだよ』

 この言葉に、私はえらく救われたような気がします。
 ただ、それから数日後に、同じ人物がその子供に厄介な仕事を持ち込むのであった。



「ファブレ準男爵諸侯軍ですか?」

「私も賛成はしたくなかった。でも、編成しないと色々と面倒になるんだ」

 ルークが王国からの命令により、王都郊外の軍駐屯地へと連れ去られた翌日。
 朝、起きるのと同時にアンディさんと

「兄様」

「久しぶりだね。ユメイ」

 兄様がいた。
 兄様は、くせ毛のある黒髪、黒目、身長170cmの男性です。

「ユメイが世話になっている。俺の名前はアランだ」

 ハクカ達に自己紹介をして話を切り出してくる。
 内容は、私達を中心に諸侯軍を編成するという話であった。

「そんな突然にですか?」

「残念だけど、編成しないと収まらないんだ」

 そう言いながらアンディさんがリビングのカーテンを開けると居候をしているザフト家の外には多くの人間が集まっています。

「仕官希望者ですか?」

「いや、そちらはほとんどいない」

 ここ数日で、私達の存在が広まったせいであろう。
 一部例外を除いて、押し掛け仕官行為や妾押し掛け行為は激減しています。
 その代わりに今度は陣借り希望者が増えたそうだ。

「陣借りですか?」

 初めて聞く言葉なので、私たちは思わず首を傾げてしまう。

「まずは、ルークが何の件で呼ばれたのかだね」

 これは、アンディさんの寄親であるルックナー財務卿やモンジェラ子爵から連絡が来たそうだ。
 王国で一番偉い人が、王都に近い魔物の領域を開放すべく、そこを支配する老属性竜の退治をルークにも命じた。
 他のメンバーは、王国筆頭魔導師、ルークと同じく巻き込まれたブランターク様とヴェルのようです。

 何気に、あの人たちもツイていない部分があると思います。

「4人で属性竜を討ち。その後、軍と冒険者有志で統率が無くなった魔物を殲滅していく作戦のようだね」

 作戦に参加する軍は、王国軍王都駐留軍から選ばれた精鋭を残りは冒険者ギルドに募集を出し、自信のある者のみが参加する事になっていた。

「何かが足りないと思わないかい?」

「そういえば……」

 ここ二百年以上も戦争は無かったが、王国が戦争をする際には、王国軍の他に指名された貴族が諸侯軍を編成して参加するのが普通だ。

「そう、王都周辺にも所領を持つ貴族はいるのに彼らには動員命令が来なかった。理由はわかるかな?」

「ええと……戦功を挙げた際の褒賞のせいですか?」

「正解だ」

 王国が広大な穀倉地帯を直轄地として得るために今回の作戦は決行される。
 そこに多くの貴族が参戦して、万が一にも戦功を挙げてしまったら、褒美に領地を与える可能性も考慮しないといけなかったからだ。

「王国軍には貴族も居るけど、当主以外か、当主でも法衣ばかりだしね」

 戦功に対する褒美は、勲章と金銭で済ます事が可能である。
 元々貴族としてよりも王国軍軍人として出陣する名目の方が高いし、褒賞も金銭や軍内での昇進などで済ませるからだ。
 冒険者に至っては、最初から倒した分だけの出来高払いなので言うまでもなかった。

「でも、本来の所領から離れた飛び地とか欲しいのか?」

「次男や弟にと他の一族に相続させてしまえば良いからね」

 リッドの疑問にアンディさんはそのように答えていた。
 なるほど、継承争いの緩和と一族の発展という点から考えても悪くない考え方ではあった。

「ですが、ルークやヴェルは貴族枠での参加ですよね?」

 法で、未成年者が魔物の領域に入る事は禁止されている。
 今回、未成年者であるルークやヴェルが動員されたのは、貴族が戦争で借り出される際に当主が何歳でも問題は無いという法の穴を突かれたからだ。

「そう、貴族の枠で参加しているのさ」

 貴族が動員されるわけだから、当然その貴族が兵を率いても構わないわけだ。

「相手が属性竜だから、別行動だろうけどね」

 当主は最前線で属性竜と戦い、諸侯軍は後方で魔物と戦う。
 そういう役割分担になるそうだ。

「王宮筆頭魔導師様は男爵だけど、彼は陛下の個人的な親友で一番信用されている家臣だそうだ。当然、陛下の意図は読むはず」

 空気を読まないで、男爵でもある彼が堂々と諸侯軍を編成して繰り出してくるという事は無いらしい。
 少なくともアンディさんの上司であるルックナー財務卿は確認をしていないそうだ。

「王宮筆頭魔導師様は、法衣だからね。そう簡単に軍を編成可能な兵士なんて揃えられないし」

 これは、ブランターク様の派遣要請に答えたブライヒレーダー辺境伯様も同様であった。
 王都に屋敷は維持しているのだが、人員は数名の常駐家臣に警護の兵士に屋敷を維持する使用人のみだ。
 これで、諸侯軍など編成できるはずもなかった。
 王国側としても、ブライヒレーダー辺境伯様に諸侯軍など出されても困るだけであり、ブランターク様だけを借りたらしい。

「ブライヒレーダー辺境伯様の諸侯軍に参加を認めると他の辺境伯が五月蝿いですから」

『うちも!』となるのは、当然の結末とも言えた。

「それで、最後に残ったのがルークとヴェルか」

 陛下は、ルークとヴェルに単身で来いとは一言も言わなかったそうだ。
 そうなるとルークとヴェルだけは軍勢を率いても良いという解釈も可能とも言える。

 準男爵になったばかりでの突然の出陣命令で、まだ家の体裁など整えてはいないと高を括ったのか?

 それとも、わざとなのか?

 そこで最初の陣借りに戻るのだが、貴族の子弟や浪人などが一時的にファブレ準男爵軍に席を置き、そこで活躍をして経歴に箔を付けるか感状を書いて貰う。

 これが、陣借りと呼ばれる制度であった。
 制度というのは、相応しくないかもしれません。
 王国側とて、動員された貴族の諸侯軍が少ないと戦力にならないので、半ば黙認していると言うのが正しいようであります。

「陣を借りる側は、戦功と名誉と褒賞を求めてだね」

 今回の場合は、多くの魔物を狩って報酬を得つつ、どの程度の戦功を立てたのかを感状を出して評価して貰う。
 大活躍をすれば、陣を借りた貴族家にスカウトされる事もあるし、他に仕官する際にも紹介状と共に感状は有効な資料となる。
 逆にファブレ家側とバウマイスター家側のメリットは、少なくとも軍勢の数で恥をかかないで済むという点だ。
 動員中の食住の面倒はファブレ家とバウマイスター家持ちだが、武具などは陣借りする側が自前で準備するのが当然で、戦死・戦傷も一度の見舞い金で済む。

 安めに軍勢の数を揃える点において、これほど便利な制度はなかった。

「ですが、軍を編成するって言われても……」

 多少腕が立つとはいえ、十二歳の少年少女4人にベテランも多い陣借り希望者をメインにした軍の編成と運営など不可能である。
 困っていると助け舟を出して来たのはアンディさんであった。

「そこで、私たちの出番らしいね。うん、寄親達に言われたさ」

 竜殺しの英雄にして、準男爵家を立ち上げて初の動員。

 ここでルークとヴェルに恥をかかせるのは、同じ王国貴族としてどうなのか?

 という建て前の元、ルックナー財務卿やモンジェラ子爵が、ブライヒレーダー辺境伯様を差し置いて恩を売るための策である。

 とアンディさんが教えてくれる。
 この人は、本当に弟思いなのでしょう。

「名目上の代将は、従士長であるリッド君に任せるとして、諸侯軍を運営する人員はなるべくそろえないと総大将が不在になるしね」

 このファブレ軍は、出征期間中は主将であるルークとは合流できないそうだ。
 そこで、リッドを代将に私とハクカとミュウとユメイも幹部に内定している。
 アンディさんが、陣借り者との契約交渉、必要な資金や物資の管理、王宮や役所などへ提出する必要な書類などの作成と数多ある事務的なお仕事をやってくれるそうです。

「名目は、ファブレ軍の参謀と副将扱いかな? 腕っ節はまるで駄目だから、後方支援専門で宜しくね」

 もう既にルークの元を尋ねて必要な資金も貰っているそうです。

「ですが、アンディさんはザフト家の当主では?」

 同じ貴族同士なので、一方の下に入ってしまうのは問題のような気がします。

「私はまだ跡取りだから大丈夫。爵位はまだ義父が持っているから」

「それは」

「大体、ユメイさんの予想通り」

 結婚後に行われる予定であった爵位継承をこれを理由に遅らせたのであろう。
 主にルックナー財務卿からの要請であると思われる。
 貴族の爵位継承は、今の当主が生きている間でも死後でもどちらでも良い。
 ただ、中央の法衣貴族は生前継承が大半で、領地持ち貴族は死後継承が大半。
 なぜ違うのかは誰にもわからないのだが、ただそういう慣習だとしか言い様がなかった。
 法衣は役職持ちが多いので、その役職を老齢でこなせなくなる前にという理由というか説が存在しているのだ。
 なお、後継者に継承後は、譲った先代も前の爵位格の扱いを受ける。
 年金が出るわけではないが、公の場での扱いが、例えばトガーさんだと騎士爵位持ちと同じ扱いになるのだ。
 一種の名誉爵位だと思うと、わかり易いのかもしれない。

 『引退したジジイをぞんざいに扱うな!』という、年寄りの本音も見え隠れもします。

「では、アンディさんが参加しても問題ないですね」 

「それどころか、ルークが『面倒な!アンディ兄さん、頼みます!』って言っていたね。うん、結婚直後で物入りなのでありがたい」

 ルークも面倒なので、アンディさんに一任してしまったようだ。
 幸いにもお金があるのだし。
 当然、アンディさん一人では回らない。
 そこで、ルックナー財務卿とモンジェラ子爵が手助けを行う。
 彼らが財務閥に所属する貴族の子弟を紹介する形だそうです。
 アンディさんの職場の後輩達なども休職して後方支援で手助けをするそうです。
 兄様も下級役人ですが私の兄ということで休職させられたのだそうです。

「休職ですか? 大丈夫でしょうか?」

 兄様は、今年入ったばかりの新米役人です。

「問題ないさ」

「むしろ、戦功が付くからありがたがられる」

 休職の許可を出すのは、ルックナー財務卿とモンジェラ子爵なので文句など出ない。
 休職中の給料は出ないが、それはアンディさんがルークから預かった予算で出陣手当て込みで出す予定で給金以上に収入は増える。
 職場の査定は、いくら財務系の役人でも貴族なので戦場経験があった方が良いに決まっているのだ。
 長くても月単位でしかない休職など、出世の不利になるはずもなかった。

「希望者が多くてね。先輩を断るのは大変だったよ」

 自分が実質ナンバー2になる諸侯軍に職場の先輩が部下で入るとやり難い。
 そんな理由で、アンディさんは助っ人を全て後輩で固めたそうだ。
 ルックナー財務卿やモンジェラ子爵が寄越す人材は、最初から言い含められているので問題はないそうだ。

「兄様は?」

「俺も後方支援だ」

「あとは、ラングレー公爵様だけど……」

 王都の屋敷から後方支援担当の家臣、3名の文官、屋敷の警備隊長と15名のベテラン警備兵、自分達で雇った陣借り者20名ほどを寄越すそうだ。

 ちなみに費用は全額ラングレー公爵様が負担するそうです。
 理由は、スズネの命を助けてくれたお礼だそうです。



「そういえば、リッドは?」

「陣借り者の面接」

 面接とはいえ、陣借り者などは強くなければ使い道が無いのだ。
 リッドと手合わせをして、指揮官と普通に面接を行う。
 ちなみに、その指揮官とはアンディさんが助っ人を頼んだ3人のお兄さんであった。

「とにかく寄せ集めだから、ある程度の指揮官は必要だよね」

 というわけで、王都の警備隊で十数名の兵士を指揮しているルークとアンディ共通のお兄さんたち。

 三男のリョウさんと四男のグラムさんと五男のヘルムートさんであった。
 休職の問題も今回の出兵にはエドガー軍務卿が絡んでいるので文句など出るはずもない。
 直属の上司にお伺いを立てたら『頑張って来い』と言われ、100名ほどの貴族家出身の兵士達を付けられたそうだ。
 彼らもリョウさんとグラムさんとヘルムートさんと一緒に陣借り者の面接の手伝いをしている。

「幸いにして、予算はルークからたっぷり出ている。期限までには、形にはなるかな」

「ルークは、幾ら預けたんです?」

「白金貨百枚」

「ルークは、どこかの方面軍でも編成するのでしょうか?」

 ファブレ軍は、後方支援者も入れて1000名以内に収める予定になっている。
 1ヶ月の戦闘を考慮に入れたとしても白金貨30枚ほどで事足ります。白金貨100枚もあれば2000名を雇うことが可能です。恩賞を考慮しないのであれば4000名ほど雇うことが可能です。

「ちゃんと帳簿は付けているし、余ったら返せば良いよ。それに陣借り者達も安心して魔物を狩れるという物さ」

 活躍すれば、褒賞はケチらない良い貴族様だというアピールにもなるからです。
 今回は魔物の討伐なので、褒賞は倒した魔物の数に比例する契約になっています。
 無いとは思いますが、沢山倒し過ぎて褒賞が不足する事態は無いという安心感にも繋がります。

「準男爵で、1000名は多いですね」

 普通の法衣騎士爵だと、10名の諸侯軍編成でアップアップなのが現実です。
 陣借り者を含めてこの数字なので、人を雇うととにかくお金がかかる事が良くわかります。
 領地持ちだと領内の男手を動員可能なので、同じ爵位でももう一つ桁が上がるそうです。
 ただ、いくら無料で動員可能とはいえ、働き手で税を納める領民を徴用し過ぎて、戦争後に借金だらけになる貴族も昔は多かったそうです。

 領内の田畑に手をかけられない分収穫が落ち、戦死・戦傷で人手も減るので当然ではあったのだ。

「このくらいの数にしないと参加できない人が多過ぎて不満が出るんだ」

「寄り合い所帯だよね……」

「諸派閥混成部隊だね。良く言ってだけど」

 アンディさんの認識は、的を得ているとしか言い様がなかった。
 一族枠で、兄3人と兄様とその知己や部下達。
 ラングレー公爵とルックナー財務卿やモンジェラ子爵。
 エドガー軍務卿ですら、ルークの兄の休職を認めて助っ人まで送っているのだ。

「みんな、竜殺しの英雄と縁を繋ぎたいのね」

 陣借り者達も活躍して仕官狙いまではいかなくても動員された諸侯軍なので目立つという利点がある。
 そこで得た感状は、他の貴族が出す感状よりも効果があると思っているのであろう。
 この人数まで絞るのに大分手間がかかっていたのだ。

「面倒な話ですね」

「ルークが、一番それを思っていると思うよ。さて、人員は揃ったから役割分担を決める会議に、必要な食料などの物資も購入しておかないとアルテリオさんに連絡を取るかな」

 実務は、アンディさんが上手く回してくれるようだ。
 出来る事はやるが、私達は十二歳の子供でしかない。
 それでも名目上はルークの4人しかいない正式な家臣です。

「必要な時に偉そうに指定された場所に立っていてね。言い方が悪いけど」

 予想はしていたが、お飾りという事なのであろう。
 いきなり実務を全て振られても困るから、文句は言えないのだ。

「あと、もう一つ仕事があるんだ」

「何でしょうか?」

「怪我は治せるにしても死なないでね。私と兄3人とアラン君に、君達4人は死ぬ事が許されないから」

 対魔物ではあるが、これは戦争なのです。
 当然、死者が出る可能性が高いわけです。
 だが、アンディさんと二人のお兄さんと兄様に私達4人は死ぬのは禁止らしい。

「可哀想だけど、死ぬのは陣借りしている人達が先」

 上が詰っているので、彼らは命をかけて戦って評価を得る必要がある。
 その話をアンディさんから聞いた時に、自分達は相当に恵まれた環境にいるのだなと実感してしまいます。

「今は、出来る事を精一杯にですか」

「そうだね。金勘定だけの私が言うのも何だけど……」

 それから6日後、大慌てで準備を終えたファブレ準男爵軍1000名とバウマイスター準男爵軍1000名は、王国軍パルケニア草原方面派遣軍と合流して戦場へと赴くのであった。

「必殺 槍術大車輪」

 槍術で一発芸をしていた男が槍を振り回すと魔物を多数撃破していた。

「妙技 剣術五月雨」

 赤い鼻に顔の所々をペイントをしている変な男が大きな丸いボールの上に乗りながら剣を構え大量の突きで魔物の多数を足止めをしていた。

「必殺 火炎弾」

 大男が、お酒を大量に飲むと口から火炎を吹き、魔物たちをひるませていたりしていた。
 私は、この人たちの行動を呆然としてみていた。ハクカとミュウは妙に感心した目を向けていた。
 ハクカの推薦でアンディさんが諦めたように

「雇わなくてもいいけど、大将はルークだからね。ハクカの頼みならよほどでもない限り雇いそうだからね」

 とアンディさんの独白に私たちは頷くしかない。
 正式な家臣ならともかく一時的に雇うならハクカの頼みをルークが反対するとは思えません。
 雇うことが決まり心配をしていたのだが・・・・強い。

「魔物を沢山討つぜ」

「リッドは、本陣で構えているのが仕事です」

「つまんない」

 ミュウが面白くなさそうな声を上げましたが、多分、動けなくて不満なのでしょう。

「怪我人はこちらです」

 ハクカが怪我人を治療していた。

「ハクカの治癒術は凄いよね」

 わずか数秒で重傷者を治癒していく。

「お姉ちゃんより凄いよ。『治癒』」

 さっきの不満そうな顔から一変してミュウも聖魔法を使って中傷者を治しています。
 諸派閥混成軍こと『各貴族の思惑一杯軍』は、何とか無事に出発するのであった。



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