様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「……」

「・・・・」

「……」

「おおっ! この少年がアルフレッドの弟子であるか!そちらの少年がラングレー家の姫君を守った少年であるか!なるほど、その年齢で油断ならない雰囲気ではあるな!」

「(あの、ブランタークさん?)」

「(相変わらず、暑苦しい男だな)」

「(偉い人なんですよね?)」

「(ああ、王宮の筆頭魔導士だ)」

 みんなで商業街に買い物に出かけた翌日。
 俺はいきなり王宮から来た使者と数名の騎士達により同道していた馬車に押し込まれ、そのまま王都郊外にある軍の駐屯地に連れて行かれてしまう。

 半ば誘拐のような気もするのだが、騎士の方々は陛下からの命令書を持っていたので誘拐ではない。
 何しろ俺は陛下の忠実かどうかは知らなかったが、王国の家臣なのだ。
 この駐屯地は、いつもは王都駐留軍が訓練に使っている場所らしい。
 簡易な造りの丸太小屋や見張りのための櫓に大型のテントといかにもファンタジー風な世界の軍駐屯地に相応しい造りとなっていた。
 王国が普段から維持している軍は、昨今の軍縮気運にもめげずに意外と多い。
 仕事が無い貴族の子弟達のための救済処置でもあったからだ。

 だが、ただ多いだけだと無駄飯喰らいのレッテルを張られてしまうので、訓練は常に厳しい物となっているらしく、一度に全軍は無理でも、こうやって交代で郊外で野外演習を行うのは王都駐留軍の恒例行事となっているようだ。

 俺を乗せた馬車は、駐屯地内にある丸太小屋の一つの前に到着する。
 入り口に立っていた衛兵に促されて入ると、そこには良く見知ったヴェンデリンとブランタークさんともう一人、身長が二メートルを超えたガチムチの中年のおっさんが待ち構えていたのだ。

 しかも、このおっさん。
 筋肉の塊なのに着ている服はローブだし、手に持っているのは物凄く大きくてゴツイが杖である。
 つまり武道家や戦士ではなくて魔法使いだと言う事だ。
 魔法を使うよりも、その杖で敵を殴り殺した方が早いタイプに見えるのだ。
 幸いにも彼が魔法使いなのは先に連れ込まれていたブランタークさんによって証明されていた。
 しかも彼は、王宮筆頭魔導士なのだと言う。
 突然の筋肉武闘派魔法使いの登場に、俺たちは思わず絶句してしまう。

「(王宮筆頭魔導士? ブランタークさん?)」

「(それはな……)」

 魔法使いと魔導士との差は?

 こう問われるならば、ただ呼び方の違いでしかないらしい。
 だが、両者には大きな差が存在している。
 魔導士とは、王国に選ばれて仕える魔法使いの中でも究極のエリートであるという事だ。
 宮仕えに最大の意義を見出す価値観が無い人間からすれば滑稽は話だが、それでも世間から見れば魔導士ほど社会的信用が高い人間もいない。

 王国貴族でも、閣僚をしている者達はやはり社会的な信用がとても高いが、それよりも更に一段上と考えられているからだ。
 しかも魔導士は別に貴族でなくてもなる事が可能だ。
 というか魔法の才能が必要なので、いくら貴族でもそれがなければなれない。
 故に世間からは尊敬の目で見られるのだそうだ。
 しかも、この目の前のおっさんは王宮筆頭魔導士である。
 その凄さと偉さは、半端ではなかった。
 見た目は、ガチムチのおっさんであった。

「ひょっとして、緊張しておるのか? なら、そんな必要は無い。某と少年たちは、これから共に戦うのだからな」

「戦うのですか?」

「左様、王国の更なる発展のため、長年グレードグランドに占拠されたパルケニア草原を開放するのだ」

 パルケニア草原にグレードグランド。
 悲しい事に昨日たまたまアンディ兄さんに事情を聞いていたので、なぜ俺達が呼び出されたのかを理解してしまう。
 しかし、今の俺たちを魔物との戦いに招集するのは反則のはずだ。
 なぜなら、まだ十二歳の俺たちは未成年なのだ。
 未成年者は、魔物の住む領域に入ってはいけない。
 だからこそ、俺達は予備校で訓練と普通の狩りの日々なのだ。

「あのぉ、俺たちは、未成年でして……」

 俺たちは、未成年なのを理由にグレードグランド討伐を断ろうと考えていた。
 そもそも、あの古代竜との戦いだって、自分が乗っていた馬車ごと自分を守るために仕方が無く戦ったのだから。

 正当防衛、緊急避難処置。

 言い方は何でも良いが初陣がアレだったので二度目の竜は暫く勘弁して欲しいところだ。

 誰が好き好んで、いきなり呼び出されてドラゴンと戦うのだと言うのであろうか?

 少なくとも、俺はそんなマゾではない。

「その心配は、全く無用である!」

「あの……それは、どういう事で?」

 無意味にハイテンションなおっさんは、俺たちが未成年でも全然問題ないと断言していた。

「確かに未成年者が魔物の住まう領域に入るのはルール違反である! しかし! 少年たちは、貴族なので問題はない!」

「あっ、そういう事か……」

 どうやら、一緒に参加させられるらしいブランタークさんには、何か心当たりがあるらしい。
 一瞬だけ俺たちに顔を向け、『可哀想に』という表情を見せていた。

「少年たちは、バウマイスター準男爵家とファブレ準男爵の当主である! 貴族は未成年でも、陛下よりの命令で従軍しなければいけない事がある! 今回のグレードグランド討伐は、陛下より王都駐留軍に命じられた軍事行動なのである!」

「……」

 ガチムチのおっさんの言う事は、王国貴族としては物凄く正しい事のようだ。
 まだ爵位を得たばかりの俺たちには、青天の霹靂でもあったのだ。

「諦めろよ。俺も、お館様経由で従軍命令が出ているし」

 可哀想にブランタークさんにもブライヒレーダー辺境伯経由で命令が届いていて、グレードグランド討伐は断れないようだ。

「ブランタークさんも何気にツイてませんよね」

「坊主の不幸体質が、伝染したのかもな」

「何だろう? 冗談に聞こえないなぁ……」

「半分、本気で言っている」

「……」

 完全に逃げ道を無くした俺たちは、ブランタークさんと共に竜退治へと赴く事になるのであった。

 誰か代わって欲しいと願うのは、いけない事であろうか?



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