様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「へえ、物凄く賑わっているな」

「この商業街には、大小様々な商店が軒を連ねているからね。王都内や国内各地からも買い物に来る人もいる」

 無事にアンディ兄さんの結婚披露パーティーが終わった翌日。
 俺達はアンディ兄さんとミリアリア義姉さんの案内で、王都内にある商業街を訪れていた。

 さすがは一国の首都にある商業街、ブライヒブルクにある商業街よりも遙かに規模が大きかった。
 実家とは、比べるまでもない。
 何しろファブレ領には店すら一軒も無いのだから。

「わざわざすいません。ミリアリア義姉さん」

「気にしないで。主人は、これから三日間お休みだから」

 この世界では、結婚をすると大抵は二〜三日の休暇が貰えるらしい。

 教会への報告だと一日のみのお休みらしいが、披露パーティーだと準備に忙しいので疲れているであろうからという理由で、後は夫婦水入らずの時間を過ごして欲しいという事のようだ。

 それと新婚旅行だが、出かけるのはかなりお金に余裕がある中堅以上の貴族とか、大商人くらいであるらしい。
 都市部の下級貴族や標準レベルの生活をしている平民は、三日間ほど休暇を取って、地元都市内での観光や買い物などで時間を過ごすようだ。

 なお、うちの実家のような農村には休みなど無かった。
 結婚した兄さん達も翌日から普通に仕事をしていたので、都市部と田舎では差があるのであろう。
 うちが、貧乏暇なしであった可能性もある。

「本当、色々なお店があるよなぁ」

「そうね、ブライヒブルクも結構な都市なんだけど」

「人口だけでも五倍以上も違うし、仕方が無いよ」

 一国の首都というだけあって、スタットブルクは誰もが認める大都市であった。
 政治と経済の中枢で、領地の無い貴族の大半がここに居を置いていたし、有名な商会は必ずスタットブルクに本部を置く。
 ここに本部がある事が、商人にとってのステータスでもあったからだ。
 更にスタットブルクの半径二百キロ以内には人口が一万人を超える町が多数点在していて、まさに首都圏とでも言うべき経済圏を形作っていたのだ。

「まあ、欠点が無いわけでもないけどね」

「欠点ですか?」

 アンディ兄さんは、王都は物価が高いし、人混みが最初は慣れなかったし、水が不味いのでそのまま飲めないなどと王都の欠点を並べていた。

「水が不味いならどうやって飲むの?」

 ハクカが疑問の声を上げた。

「ワインやジュースにしてから飲んだり他の領地から美味しい水を購入して飲んだりと色々だね」

「魔道具は使えないのですか?」

「古代の魔道具なら使えるかもしれないけど、現代の魔道具だと使えないね」

「そんなに性能が悪いんですか?」

「今の魔道具の性能だと1リットルぐらいの水が出るぐらいだよ」

 俺はその言葉に絶句した。
 アンディ兄さんの言葉で、俺は、水を美味しく飲める魔道具を作り、アンディ兄さんにあげる決意をした。一応、他にも槍術でお世話になっているイーナのために『槍』をプレゼントしたいかなとおもう。

「あとは、パルケニア草原が邪魔で、これ以上の発展を妨げているとかね」

 アンディ兄さんによるとパルケニア草原とは王都周辺にある最後の魔物の領域らしい。
 トップにグレードグランドと名付けられた老土竜がいて、今までに何度も冒険者集団や軍隊の討伐を失敗させたそうだ。

「パルケニア草原が開発可能になれば、まだ首都圏は発展するだろうね」

 大規模穀倉地帯の開発にパルケニア草原のせいで分断されている道の整備も可能となるので、その経済効果は計り知れないとアンディ兄さんは説明する。

 こういう部分は、さすがは下っ端でも財務関連の役人らしい認識であった。

「でも、そんな厄介な竜を誰が倒すんです?」

「あくまでも仮定の話さ。さあ、買い物を楽しもうか」

 そこでアンディ兄さんの難しい話は終わり、俺達は買い物を楽しむ事とする。

「リッド、その剣で大丈夫か?」

 俺は、リッドが剣を持っているので聞いてみた。

「値段の割には良い鋼だからな。ここは買いだろう。そうですよね? アンディさん」

「これはお買い得だね」

「アンディ兄さんって、剣の質までわかるんですか?」

「少々独学でね。あれ? ルークも剣の稽古をしていたよね?」

「してはいましたけど剣の質まではさっぱりです」

 実家時代から、基礎訓練だけは欠かさなかった。

「まだ魔力の伸び代があるのかい?」

「ええ、それは、毎日実感していますから」

「あまりに現実離れしていて、私からは何も言えないな」

「ただ、王都だと派手に魔法の訓練が出来ないですからね」

 これがブライヒブルクなら、郊外に出て派手に練習できるのだが、今は無理なので室内でも出来る魔力循環のための瞑想や身体強化などを行っているだけであった。リッドたちは、庭で訓練していた。
 リッドは、良く俺に『貴族の嗜みだぞ』と言って剣の稽古に誘ってくるので練習を行っている。

「ようし! 新しい剣をゲットだ!」

「私も買う」

「いい槍だわ」

 うっとりとキャロルを槍を触る。

「私のはなさそうですね」

「あの剣は、滅多にないと思うよ。お姉ちゃんが言うには、あの刀はアーカート神聖帝国製みたいなことを言っていたよ」

「そうですか。残念です」

 結局、買い物は、リッドとミュウが鋼製の剣と丈夫な革靴を手に入れ、ファラが鋼製の手甲と丈夫な革靴を手に入れ、キャロルや鋼製の槍と丈夫な革靴と俺も鋼製の剣や鉄の弓矢や弓や丈夫な革靴を新調する。
 アンディ兄さんも普段は時間が無いとの事で普段着などを数着購入していた。
 あとの女性陣であったが、6人は何件も洋服屋やアクセサリーショップなどを巡っているらしい。
 なぜ、『らしい』と言うのかと言えば、正直女性の買い物に付き合うのは疲れてしまうからだ。

「アンディ兄さんは、ミリアリア義姉さんに付き合わなくて良いんですか?」

「前に一度付き合って、それで懲りた」

 ミリアリア義姉さんは、下級貴族の生まれなので普段はあまり無駄遣いなどしないらしい。
 その代わりに足でお買い得品を探すので、それに付き合わされて辟易したそうだ。
 せっかくの休みに半日以上も商業街を歩かされて、翌日、職場に机の上でへばってしまったとアンディ兄さんは話していた。

「(何気に発想がバーゲンセールに熱中する主婦だよな)」

 ミリアリア義姉さんは、普段は温和で優しい感じの女性なので、やはり女性にとって『お買い得』という単語は鬼門のようであった。

 あとは、『限定品』とか『処分品』とかのワードであろうか?

 この辺は、前の世界でも同じであったのだ。

「ほら、ルークがご祝儀にくれた宝石をアクセサリーにしてくれるお店を探しているんだよ」

 そういえば、俺はご祝儀に海で見付けた真珠を送ったのだが、これに大喜びのミリアリア義姉さんは急いでこれをアクセサリーにしようとしているらしい。

「女性は、宝石が好きなんですね」

「どう?ルーク。似合っている?」

「・・・似合っているよ」

 何軒もお店を回ってようやくでてきた。
 ハクカの服装は、水色のワンピースに所々に薄青色のリボンが袖口や胸元などに着いていた。
 俺は、ハクカの姿に見惚れて、頷いた。

「ルーク、どう?」

 ミュウがこちらに向かってはしってきた。
 ミュウの服装は、青いワンピースタイプだった。

「似合っているよ」

「えへへ・・・ありがとう」

 ミュウがはにかみながらお礼を言ってきた。

「私はどうかしら」

 キャロルが白いワンピースタイプのを身に付けていた。

「うん、いいと思うよ」

 俺は、キャロルの胸に目がいかない様に視線を逸らした。

「リッド・・・どう」

「似合ってる」

 ファラもリッドに新しい服を見せびらかしていた。

「どうでしょうか?」

「似合っているといえば似合っているのだが」

「そうね」

 ミスミは、制服に似た服装を着ていた。
 新鮮さが皆無である。
 こうして、王都で武器と服を新調し、ファラ、キャロル、ミリアリア義姉さんは洋服を10着ほど購入していた。ハクカとミュウとミスミは、2着ほど服を購入していた。俺は、ハクカに青のワンピースと白い花をプレゼントした。

「ありがとう」

 ハクカが青いワンピースを身に付けて、ヒラリと回る。
 スカートがふわっと広がっていく。
 白い花をうれしそうに手に持って微笑むハクカを眺めるのであった。

「そんなに購入して大丈夫か?」

「大丈夫よ。割のいいバイトをすればいいのだから」

「頑張って熊狩るよ」

 間違ってはいないのだが、害獣退治か。



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