様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 ヴェルが槍術練習をしている傍ら、俺もミュウの修行に付き合うようになった。
 修行場所は、南の諸島である。
 ここならハクカとミュウの3人で聖の魔法修行ができるからである。



「突きの動作を50回!」

「やぁーーーー!たあーーーー」

 ヴェルが突きの動作を繰り返していた。
 俺は、ミュウの提案でヴェルの様子を見に来て、見学しているのだ。

「イーナ、結構上達してきたかな?」

「そうね・・・」

「・・・なあ、エル。どう思う」

「そうだな。ヴェル、剣と同じく槍も駄目だな」

「なんだとぉ〜〜〜」

 様子を見に来たエルが才能のかけらもないことを言った。

「もうちょっと訓練してみないと分からないから・・・」

「イーナ、時にはすぐにとどめをさしてやるのも情けだぜ」

「というか、才能の問題なのか?」

 ヴェルの突きの様子は、腰がへっぴり腰だし、構えが微妙である。

「俺は魔法担当だし・・・高価な槍は、イーナに貸してあげれば戦力アップだし・・・」

 自分に槍の才能がないのが分かるとヴェルがいじけた。

「魔道具ならまだしも高価な槍をイーナに貸しても戦力アップになるかは微妙だろう」

「そうだな」

「ヴェル、『実は俺には魔闘流の才能があるかも』とボクに言ってこないかな?」

「それはないと思う」 

「残念、ボクが手取り足取り教えてあげるのに。こう、身体を密着させて・・・」


 
「学期末試験も終わった事だし、あとは夏休みに何をするかだな」

 俺が冒険者予備校に入ってから三ヶ月ほど、その間には色々な出来事があった。
 授業では、パーティー実習というのがあり、実践さながらの狩猟について学んだ。そこで分かったのは、『探知』魔法が使えない人間には、3パーティを組んでの人海戦術でしか獲物を見つけづらい点と『魔法の袋』を持っている魔法使いは、運搬と鮮度の点で大変重宝されるということだ。俺とヴェンデリンは、どこまで行っても例外なようだ。
 放課後にハクカとミュウと一緒に魔法練習をした。
 その他にもハクカ、リッド、ミュウ、ユメイ、ユリア、キャロル、ミスミ、アクアと一緒に魔力基礎修行を行ったり、実戦形式の模擬戦をしたりした。
 おかげで俺達の魔力運用技術や魔法技術は、飛躍的に伸びた。
 俺は、ハクカと一緒にデザートを食べに行ったり、ウィンドショッピングをしたりした。
 ヴェルから魔法の訓練方法を習ったり、逆にこちらの訓練方法を教えたりした。ヴェルの魔法の訓練方法で有益だったのは魔力循環訓練を座禅をしてから魔力を循環させることであった。これにおかげで効率が2倍に跳ね上がった。後は、魔法同時行使のコツなども教えてもらった。俺からは魔力ボールのやり方や二人での魔力循環訓練方法を教えたりもした。
 そして、ヴェンデリンたちのパーティと模擬戦や合同で狩猟したり時にはパーティを入れ替えたりしたのだ。

『変らないな』

『そうだな』

 俺とヴェンデリンの両者は魔力量の違いはあれど、ほぼ同じことが出来るので狩猟効率があんまり変らなかったのだ。
 キャロルとミスミは、ルイーゼとイーナと競争しているうちに仲良くなっていた。キャロルがヒレンブラント家の道場に出入りして、槍の技の習得を目指したり、イーナと勝負したりしていた。
 俺達のパーティも変化していたのだ。

 ルークパーティ

 ルーク、ハクカ、リッド、ミュウ

 ヴェンデリンパーティ

 ヴェンデリン、エルヴィン、イーナ、ルイーゼ

 臨時パーティ

 ユメイ、キャロル、ミスミ、ユリア、アクア

 であった。
 ちなみに冒険者予備校で一番人気なのはヴェンデリンパーティであった。やはりブライヒレーダー辺境伯の筆頭お抱え魔法使いに魔法修行を付けてもらう関係で、将来は、筆頭お抱え魔法使いが確実視されており、将来に向けてパーティを組みたい人間が多いようだ。そのため、イーナ、ルイーゼ、キャロル、ミスミが割と妨害していた。俺の場合は、魔法使いなのは、ばれただけで、人気は、全てヴェルが持っていっているためヴェルほど人気でない。
 俺達の主な仕事は、週に5回程度だが狩猟が主な仕事である。
 俺はお茶を飲みながらリッド達と話をしていた。

 冒険者予備校は一応学校なので、普通に試験はある。
 前世の学校ほど教育レベルは高くないが、この世界の歴史や地理、魔法や魔物に関する知識などが筆記試験で出題されるので、それに備えて勉強は必要であった。
 滅多な事では赤点にはならないが、覚えないと死ぬ事もあるのでみんな試験の筆記成績は良い。
 あとは、かなりのウェイトを占める実技試験であろうか。
 これは、ある程度出来ないとお話にならないので、やはりみんな一生懸命に練習してから試験に臨んでいた。
 特待生の俺達ならば、普通に試験を受ければ受かる程度の実技試験ではあったのだ。
 試験に受かっても、実戦で死ねば意味が無いので油断はしてはいけないという元冒険者である先生の忠告を最後に、俺達はもう少しで夏休みに入る。

 期間は、七月の七日から九月の七日までだ。

 ほぼ二ヶ月と長かったが、これには理由がある。
 実家に帰省する生徒が多いのだが、何しろこのリンガイア大陸は広い。
 比較的近場から来ている生徒が大半とはいえ、往復で一ヶ月ほどかかってしまう生徒もいるのだ。
 そのための長い夏休みとも言えた。
 帰省がある意味訓練にもなるので、夏休みが長くてもあまり問題にはならないそうだ。

「私は、お兄様に会いに王都まで行きます」

「私もおねえちゃんに会いに王都に行くんだよ」

「俺は、装備品の購入資金でも貯めようかな」

「あれ?リッドは、実家に帰らないのか?」

 リッドは、ブライヒブルク出身の人間じゃないからである。
 リッドは、ブライヒブルクから少し離れた村の出身である。
 俺はリッドが帰省をすると思っていたのだ。

「帰っても意味が無いからな」

 リッドが寂しそうにいう。
 
「そうか」

 すでに家を出た人間だと思われているそうだ。

「私は実家に帰りたいかな。ルーク、お願いできる」

「ああ」

「ありがとう、ルーク」

「じゃあ、ルークはハクカと一緒に実家に帰るのか?」

「俺は、2度と実家に帰らない予定だぞ」

 予備校を卒業後は王都を拠点に活動をする予定であった。

「じゃあ、ルークも狩りのアルバイトを?」

「しないよ。アンディ兄さんが結婚式を挙げるから来ないかと誘われているんだ。場所は王都だけど、良ければ俺とハクカも来ないかって」

 リンガイア大陸のほぼ中心部から少し南にあるヘルムート王国の首都スタットブルクは、人口百万人を誇る大都市である。
 同じ王国領の各地から人が訪れ、政治と経済と流通と文化の中心地である。
 確かに王都は遠いが、俺としてはこのチャンスを逃すつもりはなかった。

「(一度王都に行けば、今度からは瞬間移動で楽に遊びに行けるし)そんなわけで、俺は王都に行くんだ」

「どんな方法で行くんだ?もしかして魔導飛行船?」

 このブライヒブルクは、ヘルムート王国南方辺境地域を代表する半ば副都扱いされている都市であった。
 なので、ここにも魔導飛行船の港が存在していたのだ。

「俺は、遠距離馬車で王都に行く」

 両者の違いを比較すると遠距離馬車は王都まで往復で35日ほどかかるが、代金は銀板一枚と平民でも何とかなる値段であった。
 もう一方の魔導飛行船は、往復でも五日間ほど。
 片道なら、二日半で王都に到着する事が可能だ。
 だが、その料金はと言うと最低でも金貨一枚である。
 大分昔に、飛行機で海外旅行に出かけるような認識と言えばわかり易いかもしれない。

「宿は、アンディ兄さんが準備してくれるそうだ。ユメイとミュウもどうだ」

 婚姻相手の屋敷の部屋に王都滞在中に泊れるようにしてくれるらしい。
 王都の宿屋で泊まるよりは費用が節約できるから誘った。

「ありがとうございます」

「ありがとう。ルーク」

 ユメイとミュウがお礼を言った。

「なあ、俺も行ってもいいか?」

「ああ・・・・歓迎するよ。リッド」

「所で、ご祝儀とかはよろしいのですか?」

「いらないって」

 こう言っては悪いが、アンディ兄さんはまだ下級官吏でしかないし、婿に入る家も家格はうちと同じくらいでさほど裕福というわけでもない。
 だからこその、もし来れたらという内容の招待状に旅費はこちらで負担するという話になっていたのだ。
 こういう場合、祝儀は出さないのが普通であった。
 それから、俺は一旦、ハクカを実家に送った。
 ハクカの母親が、

「ハクカ」

「お母さん」

 ハクカを抱きしめて喜んでいたので、問題なさそうだ。
 俺は、ハクカ達と別れると海に瞬間移動したのだ。
 俺は、水中呼吸の魔法をかけ、海の中にもぐった。
 海の中は澄んでいた。
 大量の魚に海草、そしてお目当てのものを見つけ、中を探知することにした。

「(結構あるな)」

 少々驚いたが、俺は、貝を手に取り、中のものを抽出し、再結合させた。
 夕方まで、海の中で採取は続いていく。
 5人もの食費を出すとなると想像以上に大変なのは理解しているから、海の幸を入手してお祝い名目で渡すのだ。これならアンディ兄さんにも角は立たないだろう。俺達の実家と同レベルなら俺達が帰った後で白パンや薄い野菜スープや果物の可能性が出てくるからだ。
 そして、

「どうぞ、使ってください」

「・・・ありがたく受け取ります」

 ハクカから事情は聞いたのか、ハクカの母親があるものを差し出してきたのだ。
 こうして俺達は王都への出発準備を進めた。
 翌日、ハクカを迎えに行ってから、いよいよリンガイア大陸中心部にある王都スタットブルクに向かう遠距離馬車へと乗り込むのであった。



 主人公一行 ヘルムート王国土地
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