様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「問題なのは、いまだに魔族の国側がテラハレス諸島を占領している事だな」

『こちらの領地を勝手に占領した魔族は信用ならない!』と言う貴族も多く、そんな彼らが交渉を締結しても順守されないかもしれないと騒げば、一定の支持を受けてしまう事にも問題があった。

 魔族の国側としては、テラハレス諸島は無謀な攻撃を仕掛けてきたヘルムート王国から賠償で貰うべき島という認識が一部の御用代弁者にある。

 その事件で王国は謝罪しているし、実行犯達は処罰された。
 これで終わっているはずなのに勝手に領地を奪われては堪らない。
 誰も使っていない諸島であるが、貴族と国家の面子もあって、そうホイホイと他国に譲れるわけがなかった。

「つまり……」

「交渉は物凄く長引くから、ルークは自分の領地の事だけ考えればいいのさ」

「手の出しようがないですけど……」

 今日の工事現場には、アンディ兄さんも同行していた。
 彼は陛下から直々にファブレ上級伯爵領の開発が順調に進むよう、その補佐と連絡役に任じられている。
 今日は視察のためにここに来ていたのだ。
 外交交渉の間、王国は統治と内政を行わないわけにもいかない。
 むしろ魔族の国に対し、我が国は常に発展し続けているのだとアピールしなければいけなかった。

「ルークが、ゾヌターク共和国の報告を挙げたでしょう? 向こうは人口が減り続ける社会だそうだから、うちは発展し続けている事をアピールしてプレッシャーを与えるわけだね」

 技術力や魔法使いの数や性能では相手にならないので、勝てる要素で魔族の国にプレッシャーを与えるわけだ。
 これも一種の戦争であろう。

「帝国もいるからね。あの国は内乱で大きなダメージを受けたけど、中央の力が強くなった。長期的に見れば大きく成長するだろう」

 今まで顔色を窺わなければいけなかった選帝侯家の多くが没落し、新皇帝であるペーターは若くて有能だ。
 内乱で荒廃した帝国の復興という名目で大規模開発も次々と進んでおり、油断していると王国は帝国に国力で抜かされる危険もあった。

「暫くは帝国との関係も悪くないと思うから、その間に王国も力を蓄えないといけない。魔族の国との交渉は帝国も加わって余計に複雑化したんだ。時間は稼げるだろうね」

 交渉の停滞、時間がかかるのは、むしろ王国にとって有利というわけか。

「帝国の交渉団も魔族の国の言い分に首を傾げているらしいけど」

『野生動物が可哀想だから狩猟はやめろ』と言われては、帝国も混乱して当たり前か。

「そんなわけで、うちはうち、他所は他所という結論に至るわけだね。私は財務閥の法衣貴族だから、ルークの領地が栄えて間接的に王国の税収が上がれば評価される。王国政府とファブレ上級伯爵家の関係が良好ならもっと評価されるわけさ」

 アンディ兄さんは財務閥の貴族だから、端的に言うとお金が最優先だからな。
 金がないと首がないのと一緒なのは、どの世界でも同じだ。
 お互い、金のない実家で苦労もしている。

「それで、開発を促進するのですか?」

「それもあるけど、実は王国から依頼を受けていてね」

「依頼ですか?」

「そう、ファブレ上級伯爵家が領有している南方諸島群があるよね?」

「ええ……」

 南の海岸からそう離れておらず、俺が見つけた島なので、王国からファブレ上級伯爵領と認知されていた。
 野生のサトウキビなどが大量に生えている島が多いが、当然ながら現在は無人である。何せファブレ領は、ヘルタニア渓谷の開発と保育園の建設で忙しいのだ。

「その南に何があるのかというお話さ」

 西方探索では、リンガイアを出航させたくらいだ。

「今回の探査は、ファブレ上級伯爵家で所持している魔導船の行動範囲内の探索だね。ファブレ上級伯爵領全体の把握を行う必要があるわけだ」

「新領地探索ですか……」

「西方探索で魔族が見つかってしまったからね。北方は帝国が探索隊を出す予定だと聞いている。東方も同じでね。王国は計画を立てているよ」

 先に帝国に見つけられてしまうと領有権を確保できないから、とにかく早く探索隊を出すというわけか。
 南方は、ファブレ上級伯爵領の確定作業というわけだ。

「ルークが担当するのは、自領から南の南東方面だね。ヴェンデリン上級伯爵が自領から南の南西方面を担当するみたいだよ」

「わかりました。船を準備させましょう」

「私も同行するよ」

 魔族との交渉はまったく進んでいなかったが、ファブレ上級伯爵領の開発は進めないといけない。
 そのための領地確定作業を行うため、俺は南方探索隊の編成を初代魔導船船長のカイルに命じるのであった。

「それは、光栄な任務だ」

「頼むぞ」

 俺は、金髪でガタイのいい青年であるカイルと補佐役にハインをつけるのであった。

「アルスにはいい訓練になるかな」

「少々、手が離れるのが早いとはおもいますがな」



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