様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「バウマイスター伯爵、新聞を持ってきたっすよ」

 農村の見学が終わり、翌週の一の日。
 新聞記者であるルミが、今日の分のエブリデイジャーナルを持参した。
 魔王様と宰相による王国復興運動……と思っているのは本人達だけなので、ルミが取材を行った農村復興運動が記事になったので、俺達に持ってきてくれたのだ。

 記事には、ゾヌターク共和国政府に放置されている俺達もその農村を表敬訪問したという記述も書かれていた。

「これは、外交に当たるのかの?」

「そんな事を考えるアホはほとんどいないっすよ。第一、あの農村の人達って、別に共和国の統治から外れたわけでもないですし」

 ルミが笑いながら、テレーゼの問いに答えた。
 独立を目指すと言っているのはあの二名だけであり、村民……現状は廃村という扱いなので正式な村民ではないのだが、多少の現金収入もあり、わずかだが納税もしている。
 国を離脱しようとする人間がちゃんと納税をするとは思えないから、外部の人間が見ればただの農村再生運動にしか見えないのだ。

「それもそうかの。第一、防衛隊に勝てるはずもない」

 厳しい魔法訓練をしていた彼らから見て、せいぜいが田畑の開拓などにしか魔法を使ってないのだから当然だ。
 俺達について来た防衛隊の人達は、彼らに何ら脅威を感じていなかった。  
 ただの農業従事者だと思ったのだから当然だ。
 逆に農村の連中が食事を差し入れしようとしたら、『すいません、こういうものは決まりで受け取れないのです』と恐縮する有様であった。

 ルミがいたから、賄賂だと思われたら困ると思ったのかもしれない。

『このくらいはいいような気もするんすが、先輩記者で喜々として防衛隊批判を始める人がいるから、警戒する気持ちは理解できるっす』

 全員を見たわけじゃないけど、防衛隊の面々は真面目な人が多いように思えた。

「ところで、今日、バウマイスター上級伯爵領に戻るって聞いたっす」

「このままここにいても、何も状況は変わらないからな」

 妻と子供達まで連れて親善外交モドキを行ってみたが、外交交渉の方は相変わらずだし、俺達も最初は注目されたけど、あとは他の話題の方に夢中で相手にされなかった。 

 ゾヌターク共和国の国民は、基本的に外国に対してほとんど興味がない。

「また陛下の命令で来るかもしれないけど、今度は『瞬間移動』ですぐに来れるから」

「羨ましいっすね。移動に時間がかからないって」

 魔族で『瞬間移動』が使える人間はいない。
 その代わりに魔法技術によって人間が使う魔力より少ない魔力で『飛翔』が使えるのだからだ。

「バウマイスター上級伯爵、俺達はお役御免?」

「連れて行くわけにいかないからさ」

 モール達は魔族で外国の者達だ。

「約束の日当に一時金で色をつけるからさ」

「初めて働いて金を貰ったのに非正規で短期!」

「うぉーーー! 新卒キップを逃した俺達に正社員への道はないのか?」

「この世の何と残酷な事か!」

「あのぅ……魔王様の農村で働けばいいのでは? あそこなら、発掘などもできるかもしれませんよ」

 見かねたリサが、先週出かけた農村で働けばいいと意見を述べた。

「その手があったか!」

「希望者は受け入れるって言っていたよな」

「あそこなら、結婚できるかも!」

 モール達は、未来への展望が開いたと三人でテンションをあげた。

「「「ライラさぁーーーん!」」」

 ライラさんか……。

 綺麗な人だけど、果たしてモール達に可能性はあるのだろうか?

「そうだ! 彼女を上手く補佐できれば!」

「いける!」

「お前らには負けん! ライラさぁーーーん!

 三人はヴェルから報酬を貰うとライラさんの下へと駆け出した。
 ホテルをチェックアウトした俺達は自分の魔導飛行船に搭乗し、暫し滞在したゾヌターク共和国を後にする。
 だが、両国の交渉は未だにその糸口すら掴めていなかった。



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