様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 今の季節は、4月の初旬。
 前世と全く同じなので違和感を感じないで使っているが、この世界における長さや重さの単位も日本とほぼ同じだ。

 長さは、ミリ、センチ、メートル、キロメートル。

 重さも、グラム、キログラム、トン。

 時間も、秒、分、時間であった。

 曜日も月曜から日曜まであったし、日曜は安息日で基本はお休みとなっている。

 敬虔な神の信徒は、この日に教会などに行くそうだ。

 信仰されている神は、この世界を作った神とされていて、名前は神その物で、他の名前など付けるのは言語道断らしい。

 完全な一神教で、他の神は少なくともこのリンガイア大陸には存在しないそうだ。

 地方によっては、地元の原始宗教と結び付いて微妙に教義が違ったり、歴史が長いので実は幾つか宗派があって互いに仲が悪いのは、どこの世界でも有りそうな話ではあったが。

 それと俺の居たような田舎の農村になると、あまり安息日という考えが無いというか、毎日農作業があって空いた時間に狩りや採集に出たり、そこで休むという考え方だ。

 農閑期になれば比較的休みは多いのだが、うちの村では開墾や治水工事への労役が多くて評判が悪かった。

 唯一違うのは暦ぐらいであろうか。

 1年は12ヶ月で、1ヶ月が全て35日で420日あるのだ。

 俺が無事にブライヒブルクにある冒険者予備校に入学し、友人も出来、早速授業などが始まリ、冒険者予備校に慣れた翌日の午前中の実技授業。

「まだヴェンデリンがパーティを組んでいないってよ」

「マジか」

「誰と組むのかね」

 ヴェンデリンが誰とパーティを組むのかざわついていた。

「勝負よ」

 膝下まで伸びた緑の髪を赤いリボンでポニーテールにしている美少女がリッドに勝負を挑んできた。
 白い内着に黄色い道着をしていることから

「・・・魔闘流か」

「そうよ」

 リッドは、剣を構える。

「お手合わせ、お願いします」

 水色の瞳、膝下まである茶髪を白いヘアーバンドでひとまとめにしている美少女が俺に挑んできた。
 肌色は、健康的な小麦色をしており、白に近い灰色の外套とスカートとロングブーツである。最も特徴的なのは、持ち手の長い大剣を持っていることだろう。

「・・・ああ」

 キーン

 ユメイが大剣を振るうが、俺も剣に魔力を付与して振るう。
 お互いの剣と剣がぶつかり合い、土煙が舞う。
 俺とユメイは何度も剣を振るい、時には剣と剣がぶつかり合い、相手の剣をかわしたりする。
 接戦の末、どうにか勝負に勝てた。

「お相手ありがとうございます。お強いですね」

「そっちもな」

 周囲を見るとリッドが緑の髪の美少女に勝っていた。
 尚、ハクカや小麦色の金髪のお嬢様風の美少女は怪我をしたクラスメイトたちに治癒して、活躍していた。
 それから数日後の午後、アルバイトを始める事にする。
 メンバーは、俺、ハクカ、リッド、胸下まである白銀の髪をポニーテールにしている薄紫色の瞳の美少女が1人である。服装は、白いシャツ、白い上着と青色のスカートを着ていた。
 ハクカが隣の席に座っていた所、意気投合した末に狩猟のお誘いをしたそうだ。

「ミュウといいます」

 ミュウが自己紹介をしたので俺達も自己紹介をした。

「行こう」

「お〜」「ああ」「うん」

 俺の合図とともに全員で目的地まで行くことにした。

「あれ・・・?」

「どうかしたのか」

「あの人・・・あの時の人だよね」

 ハクカの視線の先には、俺と勝負をしていた大剣使いの少女がいた。
 あの先には、狩猟区があるのだ。

「行かなかったの?」

 ハクカが少女に問いかけると困った顔を浮かべていた。

「実は、皆様が先に行ってしまって」

 ゼークト先生により狩猟区に1人で行くのは危険なので禁止されている。

「よかったら、一緒に行かない」

「よろしいのですか?」

「構わないぞ」

「ああ」

「いいよ」

「ありがとうございます」

 ユメイもパーティの仲間に入れて、早速向かうことにした。

「自己紹介がまだでしたね。ユメイと申します」

 俺達も自己紹介をした。
 
「はあーーーっ、ようやく到着したな」  

「しょうがないよ。もう近場の狩り場は、他の人に取られているのだから」

 俺とリッドとハクカとユメイとミュウは、一時間ほどの距離を歩いて予備校の事務所で教えて貰った草原へと到着していた。道中の道では、ハクカとユメイとミュウが和気藹々と話していた。
 それによって、ユメイの事情を理解したのだ。ユメイも俺と大差ない事情のようで、騎士家の末っ子だったらしく、勉強や家事手伝いも優秀な兄達と比較されながら育ったそうだ。唯一、年の近い兄から手ほどきされた剣だけ才能があったらしく、冒険者として生活することにしたそうだ。尚、貴族の姫なら政略結婚できるだろうが、夫より腕っ節が強い女というのは嫌煙されるものである。

「所で、その剣どうしたんだ?魔道具屋のときは持ってなかったよな」

 持ち手が長く、装飾が施され、軽量化が施された大剣である。

「これは、困っていた武器商人の子供を助けた時に、商人さんから頂いた物なのです」

 大よそ、金貨13枚ほどの値段であろう。



 ブライヒブルクは人口二十万人以上を誇る大都市であったが、その人口のせいで膨大な食料を必要としている。
 穀物や野菜は、近隣にある多くの農村から、魚は、生憎と海から数百キロも離れているので川魚がメインで、あとは塩漬けか干し魚くらい。
 塩も少し高めであったが、大量に運び込まれるので他の内陸部の都市よりは安目なようだ。
 砂糖も産地である南部なのでこれも少し安めに手に入った。
 そして残る肉類であったが、これは周辺の農村で行われている牧畜だけでは到底量が足りなかった。
 農地の開墾は常に行われていて穀物の生産量は上がっていたが、それに比例して人口も増えていたので、肉の生産で使える穀物の量が追い付いていなかったのだ。

 そこで、重要になるのが冒険者の存在である。

 冒険者と言えば魔物の住む領域に入ってそこで魔物を狩り、貴重な素材や肉などを得るのみと思っている人もいたが、全員が魔物を狩れるほど強いわけではない。

 その多くが、このように人里離れた場所で人々が食べる食肉の確保を行っていたのだ。
 田舎の農村だと専門の狩人がいたし、農民が空いた時間に狩りをしたり、時には村総出で狩りを行って必要な肉を得る。
 都市部では、狩人も冒険者ギルドに入って狩りを行うのが常識であった。
 冒険者ギルドは、ハンター(狩人)ギルドも兼ねていたのだ。
 なので、冒険者予備校の生徒のアルバイトというか、人によっては己の将来を占う大切な本業とも言えるのがこの狩りである。
 野生動物は魔物ほどは強くないが、それでもたまに熊や狼に襲われて死ぬ冒険者が後を絶たず、油断すれば危険なのには変わりがない。
 狩りだからと言って、油断して良いはずはなかった。

「みんな、慌てて近場の狩り場に行ったな」

「遠い場所だと危険があるからだろう」

「そうだよ」

 狼などの危険な動物は、このように人里離れた場所にいる事が多いらしい。
 それに一応は学生なので明日の授業も考えてとアルバイト組の大半は街に近い狩場へと向かってしまったようだ。

「でもよ。競争率が高くなるじゃないか」

「実際、何も狩れない奴も沢山出るらしいな」

「そうなの?」

「ああ」

 街に近い狩場は、当然頻繁に獲物を狩られているので数が少ない。
 そこにプロの冒険者もいるのだから、まだ経験の浅い学生では成果を出せない人の方が多いそうなのだ。
 これが所謂、『新人への洗礼』という物らしい。
 このまま数日間続けて狩りの成果が出ない人は、諦めて店番や荷物運びなどのアルバイトにチェンジする人も多いそうだ。

「ファブレ領だと結構取れるのに」

「あそこは全域が未開地のような物だからだろう」

 狩っても、翌日には、別の動物が生息しているぐらいなのだ。

「しかし、このくらい離れていると、あまり他の冒険者も居ないな。なあ、ルーク、ハクカ、ユメイ」

「静かに……」

 俺はリッドに静かにするように言うと引き続き発動させた探知の魔法で周囲を探る。

「何をしているんだ?」

「『探知』の魔法だよ」

「ルークって魔法使えるのか?」

「使えるぞ。いたぞ……」

 俺が反応のする方を指差し5人で移動すると、そこには大きな猪が地中の木の根を掘っている場面に遭遇する。
 間違いなく、自然薯でも探しているのであろう。

「大物だな」

「ああ」

 これ以上騒いだり、ただ凝視しているだけ無駄なので、俺とリッドはすぐに準備していた弓に矢を番えてから狙いを定める。
 リッドは、剣技で予備校の特待生を勝ち取ったが、実は小さい頃から狩りをしているせいで、弓の扱いにも長けていた。
 腕前は、魔法で軌道修正可能な俺よりも上手なはずだ。
 彼は、数年間懸命に狩りで得た獲物を売って、ブライヒブルクまでの旅費や滞在費などの一部を得ていたのだ。

「矢にブーストをかける」

「ああ」

 次の瞬間、俺とリッドは同時に矢を放つ。
 すると二本の矢は、猪のお尻と背中に深く突き刺さった。

「ブーストって便利だな」

 風魔法であるブーストで加速された矢は、飛距離が伸び、貫通力が上がって獲物に深く突き刺さる。 
 上手く急所に刺されば、かなりの大物でも一撃で瀕死状態に持って行く事が可能であった。
 今回は、獲物が穴に頭を突っ込んでいたので大ダメージとはいかなかったようだ。

「驚いて逃げるか?」

「物凄く怒っている」

 俺は前世で狩りをした事が無いので良くわからなかったが、この世界に生息する野生動物には、凶暴な個体が多いような気がする。
 矢を受けたので、ここは普通逃げるのが常識かと思うのだが、なぜか逆上して、自分に危害を加えた相手に復讐を果たそうとするのだ。
 猪にダメージを与えたものの逆襲の突進で大怪我をしたり、下手をすると死んでしまう冒険者は、年に数名は発生しているとの予備校の講師からの話であった。

「突進して来るよ」

「むしろ、好都合だけど」

 俺とリッドは、慌てずに次の矢を番えてからそれを放つ。
 またブーストで強化された矢は、二本ともこちらに突進して来る猪の脳天に突き刺さる。
 猪は、物凄い音を立てながらつんのめったまま動くなくなった。

「死んだかな?」

 リッドは慎重に猪に近付き、既にその猪が死んでいるのを剣で突いて確認していた。

「幸先が良いな。でも、ルークは弓も上手いな」

「練習の成果だよ」

 最初は狙いが微妙だったので、苦労したのだが、徐々にうまくなったのだ。
 それでも、猪の脳天真ん中に矢が刺さったリッドの腕前には及ばなかった。

「ルークは、魔法が使えるから良いじゃないか」

 俺は、すぐに絶命している猪を魔法の袋に仕舞う。
 魔法の袋に仕舞えば、仕舞っている間は時間が止まっている状態なので猪の血が固まったり肉質が劣化する事もない。
 獲物の処理は後で纏めてやった方が効率が良いので、今は袋に仕舞うだけにしていたのだ。

「それって、魔法の袋か?」

「ああ。意外と便利だ。一キロ圏内に結構小型の獲物が点在しているな」

「へえ、当たりじゃないか。どっちが多く狩れるか競争しようぜ」

「負けた方が夕飯を驕るって事で」

「了解」

「いいよ」

「え」

「行ってしまいましたね」

 ハクカが、オロオロしている中、俺とリッドとミュウは、3手に分かれてそれぞれに獲物を追い始める。
 二時間後に合流した俺達は、早速、成果の発表を行っていた。

「俺は、ウサギが12匹だな」

「すげえな」

「ウサギのみに絞って正解だな」

 やはりリッドは、弓の腕にも優れているようであった。

「私は、ウサギが6羽だよ」

「初めてにしてはやるな」

「すごい」

「俺は、ウサギが2羽にホロホロ鳥が3羽だ。負けだな」

「数ではな。しかしお前、良くそんなにホロホロ鳥を狩れるよな」

 いくら弓の腕に優れていても、ホロホロ鳥は人の気配に敏感なので弓の射程距離に入る前に逃げてしまう事が多い。
 狩人泣かせと言われる所以であった。
 俺は魔法で弓の射程を変えられるから、比較的簡単に獲れてしまうのだ。

「勝敗は数だからリッドとミュウの勝ちだ。何を食べたい?」

「街に戻ってから決めるわって、どうかしたのか?」

「街寄りの西に五百メートル。人間の反応が2つに狼らしき反応が12か……」

「拙いよな?」

「ああ」

 情況的には、狼の群れが狩りに来ていた2人を包囲している情況であったからだ。
 犬の仲間で群れを作る狼は、個体でも集団でも人間には脅威となる。
 実際、狼に襲われて毎年多くの人が命を落としているのだから。

「助けに行くか?」

「もちろん」

 リッドは、魔力で身体機能強化すると恐ろしい速さで向かっていった。
 ユメイとミュウも魔力で身体機能強化していた。

「私とミュウは追えますけどハクカは、どうしますか?」

「魔法でもかける」

「俺が運ぶ」

「じゃあ、リッドを追いかけますね」

「急ごう」

 ユメイとミュウが、そういうとリッドを追いかけていった。
 俺も素早く身体機能強化と速度アップの魔法を唱えると

「ハクカ・・いい」

「うん」

 ハクカをお姫様抱っこして現場へと向かうのであった。

 僅か数十秒で五百メートルの距離をハクカをお姫様抱っこしながら疾走した俺は、現場の様子を確認していた。
 そこには、俺達と同じ予備校の生徒2人が狼に囲まれているようであった。

 1人は槍で、残りの1人は、珍しい事に両手に装備した手甲からして拳法使いのようだ。
 この西洋ファンタジー的な世界には、実は拳法がポピュラーな戦闘術として普及している。
 戦場で武器を失った際に素手でも戦えるようにと開発された戦場格闘術が基礎と言われ、これから多くの流派が発生していた。
 だが、今ではその多くが衰退気味であった。
 やはり素手では、どうしても凶暴な野生動物や更には魔物に対抗できなかったからだ。
 一部の流派が、都市部の治安を維持する警備隊などの必須訓練メニューに指定されているので命脈を保っているのと。
 あとは、冒険者の間で普及している魔闘流が世間では一番有名かもしれなかった。

 魔闘流とは、読んで字の如く、魔力を闘気に変えて闘う格闘術である。
 なので当然、ある程度魔力がないと使えない。
 凄いと思われるには、最低でも初級と中級の間くらいの魔力は必要だ。
 ただ、流派を掲げている家の人間に必ず魔力持ちが生まれる保障も無いので、そういう家の人間は技の型や修練方法を伝えるのが目的というのが、世間の常識になっている。

 あとは、魔力を使って戦うので、使っている間は他の魔法が使えない。
 魔力が中級以下で、しかも覚えられる魔法が少なかったり、覚えられた魔法の種類が微妙な人向けというのが世間からの認識であった。
 しかしながら、修行によって魔力の消費効率が上がると少ない魔力で長時間超人のように戦えるので、実は冒険者として歴史に名を残す人が多い職種でもあったのだ。

「なあ、見覚えないか?」

「ある」

「はい」

「うん」

 それもそうであろう。
 この狼に囲まれた2人は、予備校で同じ特待生クラスにいる同級生であったからだ。

 槍を振るっているのは、俺達と同い年で、燃えるような赤い髪を腰まで伸ばし、それを後ろで無造作に纏めている。
 スレンダーな体型で、猫のようなイメージを受ける美少女、イーナ・ズザネ・ヒレンブラント。
 彼女の実家は、地元ブライヒブルクで兵士達に槍術を教える道場を経営しているらしい。
 名は貴族らしいのだが、実は彼女の実家は正式には貴族ではない。
 槍の腕前で、ブライヒブルクの領主ブライヒレーダー辺境伯から兵士達に槍を教える師範に代々任命されている家臣であったからだ。
 正式な貴族とは、王国から任命された者とその家族だけが当てはまる。
 なので、ブライヒレーダー辺境伯とその家族は貴族だし、うちの実家のような零細騎士でも一応は貴族だ。
 大貴族ともなれば大身の家臣や親族がいて、その実入りはうちよりも遙かに多かったりするのだが、それでも彼らは家臣なので正確には貴族ではない。
 家臣でも家を継げない子供の悲喜劇は共通だ。
 確か、このイーナ・ズザネ・ヒレンブラントも三女だと自己紹介をしていたはず。
 どこかに嫁に行くか、とはいえ家臣の三女などはまず同じ家臣の家にも嫁げないのが普通で、ならば己で身を立てるのだと冒険者を目指しているらしい。
 実は、こういう事情で冒険者になる女性はかなり多かった。
 腕っ節があっても軍は女性への門戸が狭いので、自然と冒険者を目指すようになるのだ。

 最後の1人は、俺達と同じ十二歳なのに小さくて下手をすると十歳くらいにしか見えない。
 それでも、魔闘流で特待生になっているので、かなりの腕前ではあるはずの美少女。
 水色の髪のショートカットで少しタヌキ顔ではあったが、とても可愛らしく見えるルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークという名前であったはずだ。
 彼女も実家がブライヒブルクで兵士に魔闘流を教えていて、ブライヒレーダー辺境伯の家臣の家柄であると聞いている。
 イーナと同じく三女で、己の身を立てるために冒険者を目指していると自己紹介をしていたのを思い出していた。

 ぶっちゃけ、予備校の特待生クラスにはそういう人間がかなりの割合で混じっているのだ。
 当然、普通のクラスにも多数存在する。
 言うほど貴族も楽な商売ではなく、この世もなかなかに世知辛い証拠でもあった。
 いくら貴族の子供でも、みんなを貴族にしていたら、いくら王国の予算や領地があっても足りない。
 なので、枠を外れた子孫は平民へと落下する。
 最近では、王族でもそういうケースが増えていて、王家に生まれても決して安泰とは言えないのが常識でもあった。
 と説明なんてしている暇があるのかと言えば、実はあった。

 その間にリッドが弓を連射し、立て続けに二頭の狼の頭に突き刺さってその命を奪っていたし、反対からも2頭の狼の頭に矢が突き刺さっていた。俺は、土の壁魔法で女性2人を狼から隔離した。俺が無属性の矢を放とうとすると反対側から魔力の発動が感じられた。すると無属性の魔力の矢が連発して一気に狼達を殺してしまった。

「俺の活躍が意味がねぇ! というか、ヴェル! その魔法があれば、弓矢とかいらねえじゃないか!」

「必要さ。弓矢を使った方が魔力の節約になる」

 2人の女性を囲んでいた土の壁を取り払うと、そこには驚きの表情を崩さない2人の姿があった。

「えーーーと、大丈夫かな?」

「大丈夫だけど……。あなたは確か、同じクラスのヴェンデリンよね? 隣のバウマイスター家の八男の」



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