様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「ルーク、気をつけてね」

「ああ・・・ハクカも元気で」

 ハクカを除き漆黒の翼は、久々の冒険者としての仕事である。
 俺は、ハクカを抱きしめ、キスをする。
 次にアスナとスズネとコリンナを抱きしめキスをする。
 カルラやヒマリたちの見送りを受け、いざ冒険者ギルドに行き、所属変更と活動エリアの変更である。

「セイさんですね」

「はい」

「ヴィルマさんですね」

 コクン

 セイの所属変更とヴィルマの冒険者登録である。

 依頼内容は、リーグ大山脈にあるという大縦貫トンネルの発掘である。
 王国からの強制依頼であり、関わっているのがイシュルバーク伯爵なので、現存している可能性が高かった。

「えっ? うちの領地の近くにそんな物があるのか?」

「らしいですよ」

「らしいってねぇ……」

 早速、俺達は古代魔法文明時代に掘られたという大縦貫トンネルの発掘に赴く。
 場所は、ヴェルの兄でもあるパウルさんの領地からそれほど遠くない場所にある山脈の麓であった。
 パウルさんのバウマイスター準男爵領に顔を出すと出迎えたパウルさんの傍には、家臣となった警備隊の元同僚達が一緒にいた。

「そんなトンネルの痕跡があったかな?」

「残念な事にうちの領内ではないからな。そこまで詳しく観察していないので断定できないだろう」

 パウル兄さんを守るようにバウマイスター準男爵家の従士長になったオットマーさんと警護隊長兼剣術指南役のジークハルトさんもいた。

「とはいえ、近くではあります。もしトンネルが使えるものだとすれば、我がバウマイスター準男爵領飛躍のチャンスです」

 商家の出であるルーディさんは、執事兼財政なども見ているそうだ。
 やはり田舎なので、執事服は着ていなかった。

「チャンス?」

「お館様、もしそのトンネルが使えれば、魔導飛行船よりは少し時間がかかりますが、安い経費で物資と人の移動が可能になります。出口付近にあるうちとしましては……」

「休憩・宿泊施設の運営で利益が出そうだな」

 場所が近いので、ドライブインのような施設を運営すれば儲かるかもしれない。
 ルーディさんからの提案にパウル兄さんはかなり期待しているようだ。 

「本当に見つかるかとか、見つかっても使用可能なのかという課題もありますけど。あれ? ゴットハルトさんは?」

「あいつは、今、開墾作業の指揮を執っている」

「意外な人選ですね」

「あいつ、ああ見えて俺達の中で一番のインテリだからな」

 孫でも、子爵家の出なので高度な教育を受けている。
 闊達に喋る方ではないが、なぜか領民達は怖がらずに効率よく仕事をこなすらしい。

「意外と人を使うのが上手いんだよな。見た感じだとボソっと最低限の指示を出しているだけのように見えるけど」

「あれこれ喋る人よりも、やる事がわかりやすいとか?」

「かもしれないな。ヴェル、そのトンネル発掘の前に父上と母上に会って行け」

「はい」

「あと……。アマーリエ義姉さんとか、カール達も……」

 パウルさんは、一瞬だけエリーゼ達に視線を送ってからついでのように言う。

「帝国で買ったお土産もありますし」

「内乱に巻き込まれて大変だったのに、すまないな」

 その後は、パウルさんの案内で前に完成した屋敷へと向かう。
 将来の事を考えて、かなり大き目に作ってある屋敷の前庭では、男が2人の少年に剣の稽古をつけていた。

「父上、カール、オスカー」

「ヴェンデリンか、よく来たな」

「ヴェンデリン叔父さん! 帝国でのお話を聞かせてください」

「戦争で大活躍したって本当ですか? 僕もお話を聞きたいです」

「カール、オスカー、それは後でな。バウマイスター伯爵殿は忙しいのだから」

 ヴェルの父が気を使ってくれたようだ。 
 貴族は戦争になれば剣を振るって戦わなければいけない。
 だが、二人はまだ子供だ。
 子供は遠い場所で起こった戦争の話を聞くのが大好きだ。
 それをよくないと言う人は日本に多かったが、子供はテレビで戦車や戦闘機が映れば恰好いいと思うし、自衛隊の基地祭は親子連れで賑わっていたりする。

 自分が被害を受けていない勝った戦争のお話など大人でも大好きな人が多いのだから。
 あの死体の山を見なければ、大半の人はそんなものだ。

「カールもオスカーもすまないな。帝国のお土産を買ってきたから、お話はまた次にな」

「「ありがとうございます」」

 ヴェルの父が彼らを部屋の外に出す。
 それとほぼ同時にティーセットを持ったアマーリエさんが入ってくる。

「お久しぶりです、バウマイスター伯爵様」

「お久しぶりです、アマーリエ義姉さん」

「エリーゼ様達も帝国では大変だったとか?」

 アマーリエさんは、エリーゼの前に茶を出しながらさり気なく声をかけていた。
 俺の隣にミュウ、セイ、前にリッドとファラとヴィルマである。

「夫と苦難を共にするのも妻の務めですので」

「旦那様との絆も深まったと思います」

「それはあるかも」

「こうして戻って来ても仲良く一緒に行動しています」

 エリーゼナの発言を皮切りにイーナ達もにこやかにアマーリエさんに返答する。

「仲がよくて、羨ましい限りです」

 エリーゼ達からするとアマーリエさんはいまだにヴェルと関係を続ける目障りな女でしかないのだ。
 だが、そういう感情をおくびにも出さず、この場合は出した方が負けだと思っているのであろう。

「あっ、このお茶菓子美味しい」

「そうだな」

「上手いな」

「おほんっ! そういえば、今日は仕事だとか?」

 ヴェルの父は、パウルさんに視線を送りながら話題を変える。

「昔のトンネルの発掘だってさ」

 パウルさんは、ヴェルの父達に今日俺達がここに来た最大の理由を説明した。

「大昔のトンネルか。私は素人なのでよくわからないのだが、そんな大昔のトンネルが崩れずに残っているものなのか?」

「普通のトンネルでは絶対に崩壊していますが、これから探すトンネルに関してはイシュルバーグ伯爵が関わっているので残っている可能性が高いです」

「イシュルバーグ伯爵ってあの俺たちが最初に関わった遺跡の」

「ああ」

 さすがにみんな、覚えていたようだ。
 あの地下遺跡は最低でも1万年前の物なのに、その施設は全く劣化していなかった。
 使われていた『状態保存』魔法と魔晶石が優れていたからだ。
 もしその魔法と魔晶石をトンネルに使っていたとすると見つけて土砂をどければすぐに使用可能になる可能性もあった。

「一日で見つかるかどうかわからないので、泊めてください」

「それはいいが、そんなに大きなトンネルが一日で見つからないのか?」

「前当主様。大体の位置は古代魔法文明時代の地図に記載されているのですが、一万年も経っているので、地形の変動などで、想定よりも大分ズレた位置にある可能性もあります」

「面倒なのだな」

 泊めて貰う許可を得てから、俺達は現場に向けて出発する。



「ここだな」

 予定場所には徒歩で2時間ほどで到着するが、現場はただの山の斜面であった。
 木々も大量に生えていて、とてもこの下に古代魔法文明時代のトンネルがあるとは思えない。
 一万年も経っているので、完全に山の下に埋まっているのであろう。

「大体この位置というのはわかるが、正確にどこと言われると困るな」

「この辺りを全て掘ってみるしかないのか……」

 ある程度位置を特定できるだけ、他の冒険者や考古学者よりもマシである。
 そう思いながら作業を開始する。
 ただ、無暗に魔法で土砂を吹き飛ばせばいいというわけではない。
 まずは、斜面に大量に生えている木々を『ウィンドカッター』で切り倒して魔法の袋に回収していく。

「木材や薪の材料にはなるか……」

 続けて、岩や土砂なども削り取って回収していく。

「ヴェンデリンさん、ルークさん、セイさん、もっと一度に大量に行いませんか?」

「いや、それをすると下のトンネルが傷つくかもしれない」

「アリオストさんがそんなことを言っていたわよ」

「アリオスト・・?」

「考古学者よ」

 ヴェルの疑問にセイが答えていた。

「地味だな」

「エル達は地味じゃなくていいよな」

 トンネル探しは、俺、ヴェル、カタリーナ、セイが魔法で行い、リッド達はたまにこちらにやってくる飛竜とワイバーンの相手をしていた。
 リーグ大山脈は準魔物の領域ともいうべき場所で、麓で人間が騒いでいれば餌が来たと思ってやってくる竜もいたからだ。
 他の領域に比べると分布に粗があるが、やはりここは領域でもある。

「ヴェンデリンさん、残土も回収ですか?」

「ローデリヒなら、何かしら使い道を見付けるだろう」

「所で、俺とセイも回収しているのだが、配分的に4割もらうのか?」

「ローデリヒに丸投げ」

「おいおい・・・一応、リーグ大山脈の南側の保有している貴族だろう」

「それはそうだけどな」

「とりあえず、冒険者としての税金でいいのか?」

「後でローデリヒと相談してくれ」

 丸投げすぎだろう。

「うーーーん、ここも外れであるな」

 夕暮れまでにかなりの範囲を掘ってみたが、肝心のトンネルが見つからなかった。
 あとは明日にしようと『瞬間移動』でバウマイスター準男爵領へと飛ぶ。

「なかなか見つからないものなのだな」

「大体の位置の範囲が広いですからね……」

 俺達はバウマイスター準男爵領に戻り、ヴェルの家族達と共に夕食を取る。
 ヴェルは、前当主と今日の発掘作業について話を続ける。

「一万年も経てば、トンネルも埋まって、その上に山や森も出来るというわけか」

「そのくらい埋まっていないと誰かしら過去の人達が見つけていたでしょうし……」

「見つかって使える事が判明すれば、この領にも客が沢山来るのか。私が若い頃には想像もつかなかった出来事だ。今の私は、別の領主として独立したパウルに養われている隠居ジジイに過ぎないからな。手伝いが精々であろう。地図によるとブライヒレーダー辺境伯領に繋がっている可能性が高いが、上手くこの領の繁栄に役立ってほしいものだ。個人的には、私の小遣いも増えるであろうからな」

 そんな話をしながら夕食を終え、俺はセイとミュウとヴィルマとキャロルと一緒にお茶を飲みながら世間話をしていた。



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