様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「勇猛果敢なニュルンベルク公爵もーーー。遂には防戦一方なのであるなーーー」

「お前は常に発言が失礼だな」

「全て事実なのであるな」

 ここは地下遺跡を利用して作られた地下要塞の最深部で、俺の他は誰も入れない決まりになっているこの地下要塞の中心部だ。
 とはいえ、この部屋には特に重要なものはない。
 ただ、大量の本や資料、これまでに使用した発掘品のレポートを読みながら魔族が椅子に座って寛いでいるだけだ。

「吸着魔法陣の改良型は大成功であるな」

 地下要塞に装備されたブレス発射装置、強固な『魔法障壁』、『移動』と『通信』を阻害するキャンセラーの維持は、全てこの魔族の魔力を用いて行われている。

 この部屋の天井と壁に魔力を吸収する魔法陣が書かれていて、この魔族から吸収した魔力が地下要塞の維持に使われる仕組みだ。
 この魔族のおかげで、帝国軍の連中は手も足も出ずに一方的に叩かれたというわけだ。
 俺も見ていたがその力は圧倒的で、気に食わないがこいつがいれば我々は十年は立て籠もれるはず。
 十年ひと昔ともいう。
 占領した我がニュルンベルク公爵領の領民達もそう簡単には懐かないはずだし、内政・外交で失敗して俺に出番が訪れる可能性もある。
 今は盤石のヘルムート王国でも、何か混乱が起こるかもしれない。
 この世に何の影響も及ぼさない出来事などないのだ。

 あのバウマイスター伯爵は、今回の帝国内乱で他者を圧倒する戦果を挙げた。
 彼が王国に戻るだけで、あの国には混乱が発生する可能性がある。
 あの澄ました名君面をしたヘルムート三十七世や、その目立たない王太子がバウマイスター伯爵に嫉妬して排除を目論む可能性があった。

 それに、あのバウマイスター伯爵の事だ。
 素直に粛清などされまい。
 本人が混乱の拡大を望まなくても周囲が彼を守ろうと王国に盾突く可能性がある。
 そこまで事態が進めば、さすがにバウマイスター伯爵でも反旗を翻す覚悟をするであろう。
 あの男とて、若くして死にたくないはず。
 そう、守っていれば俺にも再びチャンスが巡ってくるのだ。

「色々と小賢しく政治的な思案に耽っているのであるな」

「まあな。俺は小者だから、色々と考えないと生き残れないのだ。お前はなぜ俺を助ける?」

「我が輩が発掘後に修理した様々な古代魔法文明の遺産を貴殿は実戦に使ってレポートなども貰ったからであるな。分析や他の発掘品のメンテに研究、この地下遺跡にはまだ調べていない場所も沢山あるのであるな。それをしていれば、十年の月日などあっという間なのであるな」

 俺のためではなく、あくまでも考古学者である自分の知識欲を満たすためか。
 いや、こいつは上手く誤魔化しているが、実は魔族の国に情報を流して大陸進出派と手を繋いでいるのかもしれない。
 今のところは外部との連絡は取っていないようだが、この魔族相手に油断などあり得ない。

「このまま何も無ければ何年でも籠城可能ではあるが、敵もさる者、何か考えているのでは?と我が輩は愚考するのであるな」

「考えているだろうな」

 ただ、今は強固な『魔法障壁』で時間を稼げている。
 この間に共に籠る家臣と兵達に、その家族が長期間の籠城で士気を落とさない体制作りが最優先だ。
 それには、この地下遺跡をもっと改築してこの中に日常を作るのが一番であろう。

「結局のところは、我が精鋭が細かな変化にも上手く気がつき対応すれば大半の難事は防げる。今は、地下町の建設が最優先だ」

「長期間籠るのに日常を創設するのであるな。しかしながら、よくこんな無謀な籠城について来たのであるな」

 大きなお世話だ、この魔族が。
 俺がこの兵団を作るのにどれだけ苦労したと思うのだ。
 まあ、この魔族はムカつくが使える。
 利用し尽して、今は籠城に備えるとしよう。



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