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「これより冒険者予備校の入学式を開始します」

 ようやく十二歳になった俺とハクカは、実家を出てブライヒブルクにある冒険者予備校へと入学を果たしていた。ヒルゼンが俺を領主にする計画もなくなったのでせいせいしている。
 壇上でギルドのマスターと思しき初老の男性が長いスピーチをしているが、どうやら学校とはどこも似たような物らしい。
 冒険者を育てる予備校なので、さすがに倒れる生徒は一人もいなかったが、全員、椅子に座って話を聞いているというオチがあったとしてもだ。

「諸君等は、十五歳になると同時に魔物の領域で活躍できる人材となるべく……」

 この予備校の目的は、王家の法によって十五歳にならないと冒険者ギルドに入れないという不利を補うためのものらしい。
 つまり、いきなり十五歳の素人を冒険者として魔物の領域へと送り出す非効率を避けるための物らしい。
 素人をいきなりそんな場所に送ると確実に死んでしまうので、どんな人でも最低三ヶ月はギルド主導の元で基礎訓練を行う。
 それでも、最初に任務で十人に一人は死傷してしまうのが冒険者の世界らしい。
 何とも厳しい話だが、金にはなるので一旗上げようとか、色々な事情で人生詰んでいる人には人気の職業となっていた。
 更に、この大陸全体では開発と人口の増加と男性の減少が進んでいる。
 当然、魔物の領域で採集可能な素材などの需要は鰻昇りであり、それを獲る冒険者は常に新規参入者大歓迎の状態になっていた。
 冒険者予備校は、下限十二歳の男女を十五歳になるまで鍛えるか十五歳以上の人間は最低一年間は基礎訓練を行うために設立された学校である。

 入学試験はあるが、基本的には全員が入学可能だ。
 試験を行うのは、成績優秀者に学費などで優遇を行い、卒業後も気持ち良く冒険者ギルドブライヒブルク支部の専属となって貰いたい。
 これが、最大の理由となっていた。
 どこの冒険者ギルドも優秀な冒険者の確保に必死なのだ。
 俺とハクカは入学式の1ヶ月前から家を出て、すぐに入学試験を受けている。
 試験は、基本的な地理、歴史、生物学、魔物学、地方ごとの風習などとなっていて、これは冒険者には必用な基礎知識となっていた。
 あとは、得意な武器を使った指導教官との模擬試合や魔法使いは魔法の試技などがある。
 正直、剣や弓は、師匠から教わった訓練しかやっていなかったのだが、試験を受けた中では、かなり高位の評価を受けていた。
 主に、弓の方であったが……。

「かなりの腕前だな。君は特待生試験に合格だ」

 俺とハクカは無事に特待生試験に合格し、冒険者予備校に入学を果たすのであった。

「ハクカです。冒険者を目指して入学しました。よろしくお願いします」

「ルーク・フォン・ストラトス・ファブレです。名前の通りに、ファブレ家の8男ですが、領地は継がないので冒険者を目指して入学しました。よろしくお願いします」

 入学式後にクラス分けが発表されるが、どうやら特待生は全て同じクラスに編入されたらしい。

 年齢は俺と同じくらいから、上は十八歳くらいまでであろうか?

 剣の技に優れている者、弓が得意な者、槍が得意な者、初級ながら魔法が使える者。

 そして最後に、

「ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターです。名前の通りに、一応は隣のバウマイスター家の八男ですが、領地は継がないので冒険者を目指して入学しました。よろしくお願いします」

 バウマイスター家の8男が自己紹介をして終わった。

「(あの男、今の俺たちより魔力量が高いな)」

 俺は、バウマイスターを見つめた。
 現在の俺とハクカの魔力量は、12万ぐらいである。この魔力量は、師匠曰く上級の上ぐらいの魔力量らしい。そして、ヴェンデリンの魔力量は、24万を超えている。この魔力量は、ヘルムート王国の魔法使いでも最上位に位置するレベルの魔力量のはずだ。俺とハクカの魔力量が一緒なのは、冒険者予備校に入学する前に『器合わせ』や二人で『魔力循環』をしたからである。俺・ハクカ・ヴェンデリン以外のクラスでの魔力量の最高の持ち主が胸元まで伸ばした銀色の髪の美少女と水色の髪のショートカットの女の子の二人である。この二人の魔力量は800である。この魔力量は、初級〜中級魔法使い間位の魔力量である。
 それから担任のギルド職員からカリキュラム表を渡されるが、授業は座学が三割に、実技が七割くらい。
 しかも冒険者になるための技術のみを学ぶので、授業は午前中までしか無かった。
 加えて、週休二日という楽さだ。

「みなさんは、十五歳になるまで魔物の領域に入れません。十五歳以上の方も一年間は入れませんから。授業が少ないのは、アルバイトをして生活費を稼ぐためでもあります」

 なるほど、いくら特待生で学費が免除されていても、みんなが実家から通っているわけでもなく、むしろ故郷からブライヒブルクに上京して来た人が多い。
 当然、家賃に生活費と自力で稼がないといけないわけだ。

「うへぇ。そういえば、そうだった。何のアルバイトをしようかな? ところで、ファブレは実家から仕送りとかは?」

 入学式から隣の席で仲良くなった同じ年の赤髪の男の子に、俺は仕送りの有無を聞かれていた。
 稀にいるのだが、実家が大商人だったり、大貴族なので、相続できなかった侘びを込めて仕送りが貰えたりする人も一部に存在していたのだ。

「騎士爵家の8男は、何年も前からそんな夢は見ない事にしている」

 この十二歳になってようやく140cmまで身長が伸びた俺よりも更に20cmほど背が高く、赤い髪を短く纏めた少年の名は、リッドと名乗っていた。狩人の2男らしいのだが、当然、家は継げないので、特待生試験に受かるほどの剣の才能を利用し、冒険者として生計を立てる計画だと彼は話していた。

「今まで狩りで得た獲物を売ってお金は貯めているよ」

「俺は、小額だけど支度金は貰ったな」

「ただ、入学前に費用が出たな」

 全員共通として入学費用として銀貨3枚だけは支払わなければいけなかった。
 家は、俺とハクカが一緒に住んでおり、居間、台所、トイレ込みで家賃は、月に銀貨3枚ほどかかる。折半なので実質、銅板15枚である。一応、教会の教義的には、未成年の男女が同居は問題なのだが、冒険者を目指す若者だとよくあることなので黙認されている。問題があるとしたら、俺とハクカが同じ毛布で一緒に寝ていることである。

「ぅ・・・毛布とか高いよ」

「まあ、洋服以上の値段だから仕方ないだろう」

 毛布2枚で銀貨129枚と銅板6枚である。

「・・・一緒に寝ちゃダメ」

 ハクカが上目遣いで恐る恐る言う。

「構わないぞ」

「よかった」

 ハクカが一安心という声音になっていた。
 ちなみに包丁等の必要な道具は、冒険者予備校に通う前から買ってあるので問題なかった。

「俺もそうだな。なあ、アルバイトは俺と一緒に狩りでもしないか?」

 アルバイトの内容は、お店の店員やら街の清掃にベビーシッターなどに他にも冒険者ギルドの仕事で魔物の住む領域に入らないで完遂できるものから他のギルドで出されている低レベルの仕事などが主になっていた。
 あとは、野生生物に襲われる危険があったが、街に食肉や毛皮などを供給する狩りなどだ。
 これは、戦闘技術の向上に役立つと冒険者ギルドからは推奨されている。

「ファブレは……」

「ルークと呼んでくれ。家族にもそう呼ばれていたし」

「そうか、じゃあ俺もリッドと呼んでくれ」

「宜しく、リッド」

「ああ。宜しく、ルーク」

 俺は無事に冒険者予備校へと入学し、同年代の友を得る事に成功するのであった。



 主人公一行紹介 ヴェンデリン一行紹介

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