様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「しかし予想以上に集まっているな」

 ボンホフ準男爵が通称『帝都周辺警備軍』の指揮官に就任してから二週間ほど、サーカットの町には多くの陣借り者がいまだに詰めかけていた。

 どうやら、ボンホフ準男爵の軍人としての名声は物凄く高いらしい。
 退役して数年経っているにも関わらず、多くの志願兵が詰めかけていた。
 指揮の補佐をする幹部達も昔のツテで順調に集まっているようだ。
 基礎訓練、軍事調練、町と砦の拡張工事、野生動物と魔物の狩猟と参謀長になったポッペクさんが立てた綿密な計画によって全て順調に進んでいた。

「しかし、二万人も集めて大丈夫なのかな?」

「あの皇帝。どれだけ人気が無いんだろうな」

 王国軍組の指揮だけに専念できるようになったフィリップは、次から次へと来る陣借り者や志願兵の多さに驚いていた。

「食わせる力があると人は集まって来るのか」

「ギルベルトが陣頭に立つと軍が上手く収まる。なるほど、将器とはよく言った物である」

 最近は強力な魔物を多数狩って財政に貢献している導師が、軍事調練で陣頭に立つギルベルトさんを見て感心していた。
 共に似たような風貌で、片や大軍を指揮する才能に長けた男、もう片方は個人で世界一の戦闘能力を持つ男と俺も含めて全員が気が合わない可能性を考慮したのだが、最初の顔合わせの時に……。

『貴殿の名は?』

『クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング』

『王国の最終兵器と呼ばれている男か』

『そなたは、ギルベルト・カイェタン・フォン・ボンホフであったかな?』

『そうだ』

 お互いに自己紹介をすると二人はその場で伏せてなぜか腕相撲を開始していた。
 導師は魔法を使わずに己の筋力だけで勝負している。
 『なぜ腕相撲なのか?』という俺達の疑問を他所に二人はほぼ互角の勝負を繰り広げていた。
 とはいっても、そのまま動かないだけなのだが。
 そして数分後、二人は腕を離して勝負を止める。

『やるな。貴殿』

『そなたもな』

 武闘派には、武闘派なりの友情の構築方法が存在するようだ。

『よくぞ来てくれた。今日は某が一杯奢るとしよう』

『遠慮なく受け取ろう。俺は大量に飲むがな』

『某もそうである。気にするな』

 既に指揮官就任が決まっているので良かったのだが、二人はまだ夕方なのに町にある酒場に向かって歩いて行ってしまう。

『仲良き事は美しい?』

『さあ?」

 文系人間であるクリストフは首を傾げていたが、二人はあれから明け方まで飲んでいたらしい。
 それでも次の日の仕事に支障が無い点は素晴らしかったが、一つとんでもないお土産を俺に渡してくれた。
 翌朝、簡単に書類のチェックをしていると、そこに町の酒場のオヤジが請求書を持って現れたのだ。

『導師様と、お連れの方の分です。何でも、ルーク様が払ってくださるそうで……』

『俺が?』

 なぜか二人の飲み代は、全て俺が負担する事になっていた。
 酒場の親爺に渡された請求書を見ると、そこには二万五千六百七十セントという数字が記載されていた。

『飲み代で一万セント超え?』

『お二方は、我が店秘伝の五十年物のブランデーをひと樽空けてしまいましたので』

『……。あの二人、遠慮という言葉を知らないのか……』

 導師は魔物狩りで財政に貢献しているし、ギルベルトさんは得難い人材である。
 俺はその請求書の金額を支払った。

「ファブレ伯爵が奢ってくれた五十年物のブランデーは美味しかったのである」

「そんな貴重な物を樽で飲まないでくださいよ」

 代金は支払って貰ったものの酒場の親爺は他の客に出せなくなったと少し落ち込んでいたのだ。
 物が物なので、金さえ払えば手に入る品ではないのであろう。

「ファブレ伯爵よ。お主ほどの男が、細かい事を気にしては駄目なのである」

「痛い。導師。肩が痛い」

「あはははっ! まだ鍛え方が足りないのである!」



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