様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「今までの功績をもって、ヴェンデリン・フォン・バウマイスターに帝国名誉伯爵の爵位と解放軍参謀の地位を授けるつもりだが、諸卿のお考えは如何に?」

 翌日、再び開かれた会議でテレーゼは集まった貴族達にヴェルへの叙勲と正式な地位への任命を発表していた。

「いえ……。特に反対意見などはございません」

「バウマイスター伯爵は、実際に功績を挙げておりますれば……」

「両国の爵位の兼任とは聞いた事がありませんが、名誉爵位ならば一代限りですし……」

「諸卿では、ありませんが少しよろしいでしょうか?」

「ファブレ伯爵は、反対かの」

「まず、このお話ですが、バウマイスター伯爵の了解を取ったのですか?」

「もちろんとったのう」

 テレーゼが自信満々に言う。

「バウマイスター伯爵、今の話は」

「ああ・・・受け入れたぞ」

 ヴェルも普通に頷いていた。

「そうですか。ならいいです」

 内心ではどう考えているのか知らなかったが、貴族達の中で露骨に反対した者はいなかった。
 他国の貴族であるが、解放軍で力を持つようになるのが気に入らない奴は多いはず。
 だが、解放軍内で有力な戦力である俺達を今の時点で排除してしまうと反乱軍との決戦で敗北してしまう可能性が高い。
 間違いなく、心の中で複雑な感情がせめぎ合っているはずだ。

 俺は、難しい顔でヴェルを見た。
 さすがに気づいているよな。
 ヘルムート王国とアーカート神聖帝国が仮想敵国で、さらに今回の反乱を企てたのが選帝侯の1人である。さらに伝令が使える状況での爵位への任命を受け入れたことである。

「任命はどうされますか?」

「と申すと?」

「帝都皇宮は、ニュルンベルク公爵が抑えておりますれば」

 一人の老貴族が、唯一の懸念を口にしていた。
 爵位を任命できるのは皇帝のみであり、反乱軍に囚われたアーカート十七世帝は軟禁されていると言われていて、ニュルンベルク公爵は独自に皇帝位を僭称している。
 クーデター政権なので反乱軍の中でもあまり浸透していない呼び方であったが、それでも独自に爵位や地位などを与え始めているという情報も流れていた。
 クーデター時に始末したり解放軍にぶつけて殺した貴族の爵位や領地を己の子飼いの家臣達に与え始めたらしい。

「あの男がいかに皇宮を抑えて皇位を自称しても、それは偽りの物でしかない。こちらは帝都を解放後に正式に叙勲すればよい。今は戦争の時間なので、仮の叙勲というわけじゃ」

 仮ね。

 実際に叙勲しないならまあ、いいのか?

 しかし阻害される魔法が限定的な分、妙に効果範囲が広いようで、内戦開始から一か月以上も経つが王国からは何の情報も入って来ない。

 そういえば、帝都に置いて来てしまったシュルツェ伯爵達はどうなったのであろうか?

「密偵の情報によると遂にニュルンベルク公爵が自ら軍を率いるようじゃな」

 テレーゼは、真面目に反乱軍の情報を集めていたようだ。
 二度の大規模戦闘で数万の屍を作り出した両軍であったが、このままだと埒が明かないと思ったのかもしれない。
 反乱軍は大規模な動員をかけているとの報告であった。
 対する味方解放軍も出来る限りの戦力を集めようとしている。
 ただし早馬を使った伝令が主力となったので、どうしてもリアルタイムで情報が入らない。
 時間がかかる点がもどかしかった。

「それで、戦力比は?」

「反乱軍が14万人で、我らが10万人ほどかの」

 帝国の最大動員兵数など知らないので、俺にはこれが多いのか少ないのかが判断できなかった。

「南部の領主が協力しているにしては多いな」

「半分以上は国軍じゃよ」

「国軍ですか?」

「そうじゃ」

「念のために聞きますが帝国軍の兵数は」

「テレーゼ様!」

 家臣たちが制止の声をかけるのだが

「内乱中じゃ、それに導師ならば知っておる情報じゃよ」

「導師・・」

「確かに陛下から聞いているである」

「大よそ100万人規模じゃ」

「あのクーデターでどのくらいニュルンベルクについたかは分かりますか」

「4割程度じゃ」

「4割か・・・仮にクーデター参加していたとしても日和の軍人がいたとして3割・・・最大7割の兵力か」

 兵士として徴兵された人達は、最低限の衣食住は保証されているが給金はお小遣い程度しか貰えない。
 戦争で活躍すれば褒美が出る事もあるが、活躍できるほど強い人は元から職業軍人などになっているという罠もあって、正直なところは堪った物ではないはず。

 過去の戦争で略奪が認められていたのは、彼らの収入減を補う必要があったからだ。
 女性への暴行なども口の悪い奴に言わせると風俗代の節約らしい。
 酷い話だが、戦争なんてこんな物である。

 それでも両勢力共に頭の痛い問題であろう。
 生産力の低下に両勢力が敵対勢力圏への流通を停止させているので、交通・流通の麻痺による経済活動の低下という問題もある。

「妾達は戦力不足で、ニュルンベルク公爵もクーデター政権故に想像以上に地盤の強化に苦戦しておる」

 邪魔な貴族を解放軍に始末させる作戦は大成功したが、今度は敗戦のせいでニュルンベルク公爵の軍事的才能を危惧する声が上がっているようだ。
 先の戦いでも戦略的には一度奪われた拠点を全て取り戻しているので勝利であったが、戦術的には戦死者の数は圧倒的に反乱軍の方が多かったという事実がある。

 今回の大規模動員は、その懸念を払拭するための物らしい。

「ニュルンベルク公爵としては、思ったよりもこちらの戦力を殺げなかったというわけじゃの。まあ、迎え撃つしかあるまいて」

 テレーゼの作戦方針は、この野戦陣地での迎撃と損害を蓄積させて撤退を促すという物であり、これに異を唱える者はいなかった。

「明日には配置などを発表するので、各々で準備を怠らぬように」

 会議は、ヴェルへの叙勲と反乱軍の迎撃を行うという二点の発表で終了していた。



 俺たちは会議室を出た。

「で、どうするんだ?」

「俺は、魔導具作成に精を出す」

「私、手伝えることある」

「お茶とか用意してくれるとありがたいか」

「そうだよね。のど渇くもんね」

 俺とハクカは、魔導具作成にセイとリッドとヴィルマとファラとミュウとキャロルは陣地構築に赴いた。



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