様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「困るなぁ。勝手に竜を他の世界に移動させないでよ」

 今日も個人的な趣味の範疇に入る研究を続けていると異次元にある自室の警報器が鳴った。
 ユウが構築した、時間、次元を超えられるルートに複数の人と生き物が通過すると鳴る、特殊な警報が今初めて鳴ったのだ。
 二千五百年ぶりに鳴ったけど、久しぶりとはいえ対処は面倒くさそうだ。

「どれどれ……またあの石碑なのか……」

 ユウは大昔、大規模な実験の失敗で本来の体を喪失し、この時間が流れない異次元で好きな魔導技術の研究をしながら生活している。
 研究の成果が出て様々な場所、時間、次元などを移動可能なルートの構築に成功したのだけど、一つだけ弱点を作ってしまった。
 それは、ユウが作った移動ルートの出入り口に利用した遺跡の存在だ。
 遺跡自体は、ユウがいた時代よりも一万年以上も昔、今はとっくに滅んでいる宗教が設置した石碑でしかない。
 ただの石碑にガラス玉が埋め込まれており、魔導技術は一切利用されていない。
 非常に原始的な、体の中にガラス玉を入れると永遠に生きられるという教義を信奉していたので、石碑にガラス玉が埋め込まれていただけだ。

 ただのガラスをそこまで過剰評価する宗教だから、とても原始的な宗教というわけ。
 その石碑が置かれた場所に移動ルートの出入り口を設置したばかりに、人間たちと竜は他の時間、次元に飛ばされてしまった。
 双方なかなかの魔力を持っていたため、たまたま出入り口が開いてしまったのであろう。

「どこに飛ばされたのかな?」

 魔導計算尺を動かして探ると、どうやら魔法ではなく科学という力が万能とされる世界に飛ばされたらしい。

「ちょっと厄介かな?」

 ルート37次元座標の計算を終えてから、そこに魔導偵察機を送り込むと、そこは無人島のように見える。
 島の中心部には地下遺跡があり、その一番奥に傷ついた竜が鎮座していた。
 今は受けた傷を癒すのに集中しているのが見える。

「分裂型か……ああ、あの玩具ね」

 その竜は小型に見えるけど、強さはかなりのものだ。
 人間は視覚でしか竜の大きさを判断しないけど、あの竜は自分の体を分裂させて小型の竜に模し、それを操作して戦う。
 体を分裂させていない時は、体組織の密度を増して見た目の小ささを保ち、機動性も確保していた。
 ある意味、物理的な法則を無視した竜ということになる。

「ある程度体が癒えたら、あれは海に餌を獲りに行くはずだ」

 極めて強力な魔法攻撃を食らって大ダメージを受けたみたいだけど、飛ばされた先がよかったみたい。
 魔法使いなどいないあの世界では、誰も使っていないマナが満ち溢れており、周囲のマナだけである程度回復可能なのだから。

「完全回復してあの世界に居座られると面倒だな。ユウが構築したルートを伝っているから多少の責任もある。回収しないと駄目だね」

 行けない場所でもないから、久々の外出というわけだ。
 どうやら戦闘もあったようで、研究サンプルとして竜の遺体を手に入れたいという希望もある。
 あの竜の体を解析すると、もっと高性能な玩具を作る参考になるかもしれないからね。

「お出かけの準備をしようかな。何日かだけだから、疑似体に影響はないはずだし」

 ユウの体は、未来の人たちが古代魔法文明時代と呼ぶソリュート連合王国が強引にユウにやらせた次元跳躍装置の起動実験失敗で崩壊した。

 ユウは、その装置では次元跳躍に必要な魔力を受け止められないからと反対したんだけどね。
 欲に目が眩んだ王や貴族たちによって強引に実験をさせられ、彼らは木っ端微塵になったわけだ。
 同時にユウの体も吹き飛んだけど、事前に魂を移す疑似体を別の次元にあるこの部屋に置いておいて助かった。
 この新しい人工の体、人間の肉体とほぼ差はないんだけど、時間の流れがある外に出てしまうと数年に一度交換しないといけないから面倒なんだ。

 前の体に比べるとスタイルがいいから、ユウは気に入っているんだけどね。
 顔は弄っていないけど、ユウは胸が小さくてコンプレックスを抱いていたから、人工の体の胸を少し大きくするくらい構わないよね?

「あっそうだ! あの竜の他にもルートを通ってしまった人たちがいたんだ」

 これも回収しないとね。
 あっでも、彼らがルートの入り口を開けてしまったのは、魔力が異常に高かったからだ。
 例の竜退治を手伝ってもらおうかな……いい戦闘データも取れそうだし。

「早く準備して行こうかな」

 ユウは荷づくりを終えると、久々の外出をすべくルートの出入り口に飛び込む。
 場所は『地球』という星の『日本』という国で、竜が身を潜めた島は『異界島』と呼ばれているみたいだ。

「ユウが戦わなくても、魔力の多いあの人が竜を倒してサンプルを取ってくれるかな?」

 ユウが戦ってもいいのだけど、そうするとますます疑似体の寿命が縮んでしまうからね。

 ああ、でも。

 状況によっては、あの魔法使いを戦闘データ収集のサンプルにしてもいいのか。
 まあ、その辺は臨機応変でいいかな。
 出かける準備を終えるとユウは地球へと向かうルートに飛び込むのであった。



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