様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「よう、坊主とお嬢ちゃんじゃねえか。今日も獲物を売りに来たのか?」

「はい」

「精々、気張って稼げよ」

 俺たちがブライヒレーダー辺境伯領内にある商業都市ブライヒブルクに出入りするようになってから4年の月日が流れていた。
 俺とハクカは、11歳になっていた。
 ここ4年間の生活は、家では魔法のせいで扱いが微妙な子供になっているので、朝早く起きて、剣と弓の稽古と魔力の循環訓練を行い、朝食を終えるとハクカを迎えに行き、森の奥に入って瞬間移動の魔法で出かける毎日だ。

 行き先は、南部の未開発地のどこかか、天地の森を越えた海岸地帯か、海を少し南に下った無人島にも足を踏み入れている。
 そこでは、魔法の特訓をしたり、鉱山から取れる鉱石を材料に『抽出』『再結合』『採集』『分解』をしてみたり、狩猟や採集や釣りを行い、その成果で麦からエール、砂糖からラム、ハチミツでハチミツ酒などの食品や料理を作ったりしている。ただし、プロの酒には味で劣るそうだ。それと基本的な味付けは、塩か砂糖か胡椒あるいはショである。ショとは、魚を発酵させた調味料である。これはいわゆる醤油に近いものである。独特な味と香りがあるが、これらは加熱に弱いので主に煮物などに利用して味付けると美味しいのである。

 そんな感じで、三日間ほど未開地などで過ごしてから、今度はブライヒブルクへと向かう。

 狩りで仕留めたウサギ、イタチ、穴熊、ミンク、ホロホロ鳥などを持って、家計のために自分たちで仕留めた獲物を売りに来る子供たちという肩書きでバザーに参加し、売れた獲物の代金で米や他の生活用品などを買っていた。

 特に米は、必須アイテムでもあった。
 この世界でも、米はかなりの種類が存在している。
 赤米・黒米などの所謂古代米と呼ばれる品種に前世では東南アジアで主流であった長粒種、半長粒種、中粒種。
 そして、日本で主流の短粒種。
 全て古代魔法文明時代から、コツコツと品種改良が行われて来た成果なのだそうだ。
 ただ、最近ではそう品種改良は進んでいない。
 古代魔法文明時代には、効率良く品種改良を進めるために植物の『成長促進』という魔法が使える人達が居たが、今はほとんどおらず、『成長促進』が使える人でも効果が大幅に落ちてしまったそうだ。俺が思うに植物に対する知識とか不足しているのが原因で『成長促進』の効果が落ちているのではないかと思うのだ。ちなみに俺は使えなかったのだ。
 ハクカが使えたのでやってもらったら周囲に魔力を放出して収穫までの時間が半減くらいだった。ハクカに『成長促進』の効果を上げるために植物の育成に必要な水、光、温度、栄養素、微生物について教えて、多少なりとも効果があったので間違いないと思うのだ。

 話を戻すが、米の値段は短粒種が10kgで銀貨1枚、銅貨5枚と一番高かったが、俺はこれをメインに購入している。
 あとは、たまに珍しいからと古代米を買ってみたり、チャーハンやピラフにするために長粒種も購入していた。
 それともち米もあったのでこれも購入している。
 蒸して突けば、お餅が作れるからだ。

 大豆からきな粉も作れるし、小豆もあったので煮れば餡子も作れる。
 砂糖もあるので、ぜんざいにおはぎなどを定期的に作っていたのだ。



 こうなると前世で自炊をしていて良かったと思う。
 他にも街の中で昼飯やデザートなどを買い食いしたりした。
 あと、この街には図書館があった。
 入館料である銅板一枚を払えば丸一日居ても良かったのだが、俺は午前中だけ時間の許す限り本を読み漁っていたのだ。

 我が家の書斎の本は読み尽くしていたし、ここにはもっと貴重でためになる本が沢山収蔵されている。中でもためになったのは『錬金術』の本や『魔道具』の本である。
 午後から、錬金術に励んでいたのだ。幸いにも錬金術の素材はファブレ領やブライヒブルクに安価で売れていたのだ。それはそうだろう、錬金術の素材が水などありふれた素材だったからである。

 そして、アンディ兄さんからは数ヶ月に一度手紙が来るので、この返事は欠かさず書いている。
 あれからアンディ兄さんは、すぐに王都で行われた下級官吏の試験に合格し、今では直属の上司に可愛がられているそうだ。
 その証拠に、その上司の娘さんを紹介され、将来は結婚を視野に付き合っているらしい。
 さすがは、アンディ兄さん。
 なお、その娘さんは上司である下級法衣貴族の一人娘らしい。
 当然、結婚相手はその一人娘なのだから、彼はその上司の家を継ぐ事となる。
 十分に勝ち組と言えよう。
 何しろ、この世界では貴族家に生まれても、その身分を最終的には失ってしまう子息の方が多いのだ。
 それと残りの兄も無難に王都の警備隊の隊員としてやっているそうだ。
 結婚はまだらしいが、これはアンディ兄さんと同じく一人娘しかいない騎士爵家の婿入りでも狙っているものと思われる。
 なぜわかるかと言えば、貴族家の次男以降で家を出て王家に下級官吏や兵士として就職し、そこで入り婿になって爵位を継ぐ事を狙っている連中は珍しくないと本に書かれていたからだ。

 貴族家の次男以降なんて、生きている間は一応は貴族家の籍には入っているが、爵位が継げなければその子供は貴族扱いされないし、自分で食い扶持を稼がなければいけない。

 無役でも領地持ちだったり、領地無しでも相続可能な爵位を持っていれば年金もあるのだが、それが無い彼らは自分で自分の食い扶持を稼がなければいけないのだ。

 その辺の話は、前世における昔の武士や貴族と同じ扱いのようであった。
 元から貴族になど未練が無く、将来は冒険者として生きる予定の俺にはどうでも良い話だったのだ。

「あと一年だ。あと一年経てば」

 あと一年で、俺は十二歳となる。
 まだ成人扱いではなかったが、実は自立が早まる道を見付けていた。
 それは、この街の冒険者ギルドが経営する冒険者予備校に入る事だ。
 冒険者予備校とは、冒険者になれるのは十五歳からであるが、その前に必用な技術などを教えてしまおうという趣旨で作られた学校であった。

 入学の条件は、最低でも数えで十二歳からだ。
 二十歳以下なら誰でも入学可能であったが、最短でも一年間は冒険者として必用な技術を学ぶ事となる。
 訓練は、基本的に魔物の生息領域では行われない。
 だが、入学して一年以上経つと数ヶ月に一度、成績優秀者のみ護衛にプロの冒険者を付け、比較的難易度の低い魔物が生息する領域で実習に参加できるそうだ。

「いいねぇ。これには是非参加しないと」

 しかもこの予備校、入学試験で成績優秀だと認められると学費が一切免除になるらしい。
 どうせ家族は俺をなるべく領民の前に曝したくないわけだし、学費も生活費も自分で何とかするのだから反対などしないであろう。
 実際、この話を家に戻ってから父に話したら反対されなかった。
 学費と生活費は自分で何とかするのが条件だったが、そのくらいは余裕なので、早く一年が経たないかなと思ってしまったほどだ。
 とはいえ、予備校入学までに特にしなければいけない事はない。
 むしろ今まで通りに武芸と魔法の訓練を続行するつもりであった。



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