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「ルーク伯爵でございますか」

 反乱鎮圧とその後処理が終わった翌日。
 1隻の中型魔導飛行船がファブレ騎士領に降りてきた。
 中から、1人の身なりのいい中年の男が降りてきた。

「そうだが、誰だ?」

「私は、ブライヒレーダー辺境伯様からの使者でございます」

「使者?」

「緊急のご用件でございます」

 使者が差し出した羊皮紙を読むことにした。
 どうやら、ブロワ辺境伯が紛争を仕掛けたそうだ。
 そこで、ファブレ伯爵もファブレ諸侯軍を率いてきて欲しいとかかれていた。

「ルーク」

「ああ・・・いくぞ」

 参加者は、俺達にセイ、モーリッツ率いるルーク伯爵家&リョウ兄さんが率いるリョウ準男爵家諸侯軍という布陣になっている。

「クソっ! 俺も兵を出したかった!」

 ルパン兄さんも少数でも兵を出したかったようだが、ヒルゼンとルターと20名のブロワの者が縛り首となり、5名の領民がKOUZANN送りになり、内乱が終結したばかりなので忙しく、悔しそうな表情で不参加を俺に伝えていた。ブロワの者は、捨て駒なので情報を漏らさなかったのだ。



 ファブレ騎士爵位領を出て5時間。
 俺達を乗せた魔導飛行船はブライヒレーダー辺境伯軍が駐屯する境界線近くの草原に到着するのであった。

 ブライヒレーダー辺境伯軍が駐屯する草原に到着し、俺が先に『飛翔』の魔法で船から下に降りるとブライヒレーダー辺境伯とバウマイスター伯爵とその一行が出迎えてくれた。

「早かったですね」

「ファブレ騎士爵にいましたから、その関係ですね」

「そうですか。それは、ともかく現状を報告しましょう。現在、我々が布陣しているのは東部と南部領域に跨るエチャゴ草原の境界線近くです。兵力は、七家混合で四千人ほど。もう一週間もすると追加で援軍も来ますが、それで合計六千人ほどですかね」

 数が少ないような気もするが、軍勢を整えて配置するだけで金が飛んでいくので仕方が無い。
 兵士達への手当てに彼らの食事代などはブライヒレーダー辺境伯以下諸侯軍を出した貴族家の負担になるからだ。

「それで、ブロワ家側は?」

「五千人ほどですね。そんなわけで、睨み合いですよ」

 決戦など双方が望んでいないし、すれば被害が甚大になる。
 なので、自然とこうやって睨み合いになるようだ。

「あとは、別に戦場もあるんですよ」

 続けて、ブライヒレーダー辺境伯は境界線一帯の詳細な地図を机の上に広げていた。

「ここから北西に約三百キロ。ここでは、ブロワ家の寄り子であるヘンケル準男爵家とうちの寄り子であるランセル準男爵家が銅山を巡って睨み合っています」

 そもそもの事の起こりは、このような境界境における利権争いの再発から来ているそうだ。

「両家の境界線上にある銅山は、素晴らしい産出量を誇っているそうです。当然、過去に取り合いになりまして……」

 過去に何度も衝突があったそうだが、今は取りあえずは折半という形になっているらしい。

「それが突然……」

 ブロワ家側のヘンケル準男爵家が軍勢を出し、ランセル準男爵家側の鉱山夫や警備隊を銅山から追放してしまったそうだ。
 そして今は、銅山を占拠するヘンケル準男爵家側の軍勢と奪還を目指して軍を出したランセル準男爵家側で睨み合いが続いていた。

「幸いにして、死人は出ていませんけど」

 争いなのに死人が出なくて幸いだと言うのは、下手に人死にが出ると争いの収拾が着け難くなるからだそうだ。

「どちらかが永遠に独占というのも難しいですから」

 たまに争ってガス抜きをしつつ、それなりの分け方で双方が渋々納得する。
 これが、この時代の利権争いの正体であった。

「そういうわけですから、武器は訓練用の物でお願いします」

 何と、この争いに参加している全ての兵達は、両軍共に装備は刃を丸めた訓練用を使用するらしい。
 まさか、死人をなるべく出さないために、ここまで徹底しているとは思わなかった。

「えっ? 訓練用ですか?」

「大丈夫です。魔導飛行船に積んであるそうです」

 横にいるモーリッツが、魔導飛行船に人数分が積んであったと報告していた。 
 何でも、トリスタンが気を利かせて積んでくれたらしい。

「トリスタン様はエドガー軍務卿のご子息なので、そういう事情にも詳しいのです」

「助かった」

 ブライヒレーダー辺境伯の話は続く。

「勿論、刃が丸めてあっても鈍器のような物です。当たり所が悪くて死ぬ人もいます。その数は大分減りますけど」

 相手を捕らえて数を減らし、後で和解金を交渉して取るそうだ。
 中世欧州の貴族のように身代金で解決を図るらしい。
 中世の騎士と傭兵主体の戦場だと戦いをしたのに死者が両軍で一名しかいなかったとか普通にあったらしい。
 殺すよりも捕らえて身代金を要求する方が金になるからだ。
 王国側もなるべく死者が出ない戦いを裏で推奨しているそうだ。

「こんな感じで、境界境で揉め事を抱えている貴族家は双方で八十家を超えます。今回は、ブロワ側の貴族家が突然軍を繰り出してうちの統括下にある貴族家の利権を分捕って占拠し、それを取り戻すべく味方が軍を集めて睨み合いを続けている。こういう軍の動員数が数十から数百の小さな戦場が、四十箇所ほどもあるのです」

 確かにブライヒレーダー辺境伯が広げる地図には、多数のメモ書きがされていた。

 ○○騎士爵家の軍勢が、突然共有森林地帯を占拠した○○騎士爵家の軍勢と睨み合いとか、○○準男爵家の軍勢が裁定待ちのために人の出入りが禁止となっている○○河の中洲地帯を勝手に占拠し、紛争相手である○○騎士爵家の軍勢が中州から兵を退けと騒いで睨み合っているとか。

 大半は、ブロワ家側の奇襲が想定外であったようで、一方的にブライヒレーダー家側の貴族達が叩き出された後に軍を集めて自分達の分の利権の奪還を虎視眈々と狙っているようだ。

「衝突した貴族家はあるのですか?」

「いえ、まだです」

 ここが、こういう紛争の面倒な部分だ。
 最初の銅山などはわからないが、所詮は僅かな広さの領地争いだったり、水源の水をどのくらい引くかの争いだったりするので、本格的に衝突して死傷者が増えると足が出てしまうのだそうだ。

「かと言って、ここで兵を出さないと向こうの実効支配を認める事になりますからね。兵を出さないという選択肢はあり得ないのですよ。貴族の面子から考えて」

 前世でも、国家同士で領地争いなどいくらでもあったのでそれは理解できる。 
 日本のように『まあまあ』で弱腰だと相手に付け入られて更に酷い要求を出される事もあるので、軍を出して対峙するのは当然なのであろう。

 なるほど、貴族というのは色々と金がかかるらしい。

「このままだと拙いと?」

「何家かは、事前に察知して占拠を防げたそうですが、あとはうちのボロ負けです。裁定に入ると一方的に不利になります」

 いきなり兵を進めたブロワ家側は悪いが、肝心の争っている利権や領地はブロワ家側が実効支配してしまっている。
 これでは、裁定で一方的に不利になるのも当然といえた。

「ある程度は、取り戻したいと?」

「ですが、それも難しい」

 ブロワ家側の後方には、ご本尊であるブロワ辺境伯軍などが控えている。
 同じく後方で控えているブライヒレーダー辺境伯軍が援軍を出すと、それに呼応して軍勢を出すはずなので、今はこうやって睨み合っているしかないそうだ。

「困りました……。このまま裁定に行くと不利になります……」

「それが狙いですか?」

「ええ」

 うちらの開発利権にあぶれて不満が出ているので、こういう手段で子分達の不満を抑えているのであろう。
 あとは、ブロワ辺境伯家が貯め込んでいる金を軍事行動で支出して領内に金を回す。
 一種の公共事業的な面もあるのかもしれなかった。

「では、俺が取り戻しましょう」

「俺も行く」

「頼めますか?」

「ヴェルは、爵位が高い人をお願いするよ」

「了解」

 傭船している魔導飛行船で順番に紛争地帯へと飛び、ブロワ家側の貴族の軍勢を倒して捕らえまくる。
 途中、ブロワ辺境伯軍側から援軍でも出してくれると更に好都合だ。
 捕らえて多額の身代金をふんだくってやれば、ブロワ辺境伯もうちにチョッカイをかけた事を後悔するであろう。

「では、お願いしますね」

 ブライヒレーダー辺境伯から地図を貰い、俺達は中型魔導飛行船で貴族の軍勢同士が睨み合っている地点へと急ぎ急行するのであった。



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