様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「トリスタン様」

「ヴィルマ、久しぶりだね。ファブレ伯爵様の側室になるのだから呼び捨てで構わないよ」

 ファブレ伯爵家の仕官者や警備隊、作業者を連れてきたのはあのエドガー軍務卿の四男トリスタンさんであった。
 彼は、父親のコネでうちに押し込まれたわけだ。
 妾腹だそうで、これ以上軍内で燻っているよりはということらしい。
 能力の方は、ちゃんと精査したので問題なく、人柄もハヤテと周囲からの聞き込みにより評判なので問題ないはずだ。

「トリスタンさんに警備隊員の全軍の指揮を任せる」

「分かりました」

「基本的に野生動物から作業員を守ることだから」

「分かりました」

「えっと・・・たくさんいますよ」

 ハクカが困った顔をしながら言った。

「後、凶暴なのも多数いるよね」

 とミュウが付け足す。
 その言葉にトリスタンさんが顔を引き締める。

「まず作業員たちは、荷の積み下ろしをしてから、分類事に保管してください。宿泊用のテントを指定の場所に・・・」

 ハインが指示を出していた。ハインの孫でアルスは、ハインの補佐である。
 俺達が見ている前でハインが事前に立てた計画通りにみんなを動かしていく。
 測量技師や調理人にも指示を出していた。

「お館様、本陣が完成しましたな」

 こちらに生活の拠点を置けるようになるまでの本陣となるテントが2時間ほどで完成した。

「スズネ様方は、しばらくは通いですな」

「ここは男性ばかりなので、警備隊の指揮官としてはそうしていただきたい」

 本陣のテントが完成したので、トリスタンさんたちも打ち合わせのために姿を見せた。

「お茶をどうぞ」

「すみません、スズネ様、ハクカ様」

 ハクカとスズネがお茶を注いでトリスタン達に差し出していた。

「まずは開発計画の概要を説明するのですが、その前にどうなのですかな?トリスタン殿」

「まあ、みなさん国の中枢で要職を占めている方々ですから、計画に遅延等はありませんね。ついでに色々企んではいるようですが・・」

 ハインは、トリスタンさんから中央の情報を得ようとしていた。

「色々ね」

「ええ・・・そう難しいことでなく、ルックナー財務卿が孫娘をバウマイスター伯爵様の側室にしようというありふれたお話です」

「かなり難しそうだよな」

「そうですね。ホーエンハイム枢機卿に知られて即座に頓挫しましたが・・・」

 本人は、弟の不手際を謝るために差し出すと言っていたらしいが、そんな言い訳がホーエンハイム枢機卿に通じるはずもない。

「ここでルックナー財務卿の孫娘が側室に入ると次代がルックナー財務卿の孫娘の子供になるな」

「ええ・・・そうなります・・・そういえば、ローデリヒ殿も大変でしたな」

 トリスタンさんによるとルックナー財務卿は、ローデリヒさんにルックナー男爵家を継がせようと考えたらしい。

「ローデリヒさんは、バウマイスター伯爵様の代官ですよね」

「何とか兼任させられないかと考えたようですよ。当然無理ですけど」

 貴族の家臣と爵位を同時に継承できるはずもないのだ。
 またホーエンハイム枢機卿に知られて、阻止されたとトリスタンが説明した。

「知られてなくても無理だろう」

「まあ、そうですね」

 陛下の勅命ならまだしもそうでない場合は、不可能である。

「というわけですので、今は開発に注視しましょう」

 話を開発に戻し、ハインが説明する。

「船便を増やしてもらえることになりましたが、正式な港がないと厳しいですな」

 大型魔導飛行船はなかなか臨時便を増やせないが、中型の船がブライヒブルクから1週間に3便ほどだそうだ。
 現在、ブライヒブルクでは港の拡張工事を急いでいるそうだ。
 ファブレ伯爵領内においてもファブラブルク近郊に最優先で、港の建設を行う予定だそうだ。開発に必要な物資と人員派遣のためにである。
 人員は、王国側が提供するそうだ。人員は、退役したベテラン空軍軍人たちが、うちで雇用する新人を訓練することになっている。将来的に、大型魔導飛行船以外は、ファブレ伯爵家で独自に運用して欲しいそうだ。
 ちなみにファブレ伯爵家が独自に運用する船は、俺が開発した魔導飛行船を使うことになっている。

「家臣と作業員が着たから、俺とヴィルマは、工房に行くけどいいよな」

「問題ないですな。後は、我々家臣が指示を出しますので」

「そうか。てっきり、魔法で全て開拓すると思っていた」

「それは、少々問題ですので、魔法による開拓は、人力で大変な場所のみでお願いします」

「分かった」

「それに魔導飛行船が増えれば、物資や人手も増やすことが可能ですからな。お館様にはぜひとも魔導飛行船を稼動させてもらいたい物です」

「ああ」

 俺は、ハインの熱の入った声に頷いた。

「道路の建設も急務です」

 ファブラブルクを中心とした道路網の建設、海沿いには海上船舶専用の港が必要になる。これが整備できれば多くの海を持つ貴族領から船便で荷が運べる。
 東部や西部の海沿いに貴族領を持つ貴族たちも交通量の増加を大いに期待しているそうだ。
 さらに領内の大型河川などは、大雨が降ると氾濫しやすい箇所もあるのでその工事も必要だ。

「お館様、ファブレ伯爵家は寄子を複数抱えることになります。彼らへのフォローも必要です」

 ファブラブルクからリョウ兄さんが開発する準男爵へと続く道、ルパン兄さんが新領主になったファブレ騎士爵領へと続く道、他の都市建設予定地点などへと続く道への整備も必要だ。

「大計画だな」

「ああ、凄い大規模だ」

 トリスタンは、そのような大計画に家臣として参加できることに喜びを隠せないようだ。
 興奮しながら同僚たちと話している。

「大変そう」

「ヴィルマ様の仰るとおりです。普通に行えば大事業となるでしょう。時間も費用も掛かります」

 並みの貴族が計画して実行しようとしても成功率はかなり低いとハインは語る。

「ですが、お館様の資金力と魔法があればさほどの難事でもありませんな」

「「「「「おおっ」」」」

 ハインの強気の発言にみんなが一斉に声を上げる。

「そうだな。お館様がいらっしゃる」

「必ず成功させるぞ」

 翌日から、工事関係者が来たので本格的な未開地の開発が始まった。
 最初は、測量に、人員の受け入れ、警備隊は野生動物狩りや魔導飛行船の警備などで忙しくまだ工事作業自体は、始まっていない。
 物事には準備が必要であり、いきなり工事からスタートというわけにはいかない。

「カイエンと申します」

 金髪の若者が俺に挨拶してくる。

「カイエン殿はレンブラント男爵のご紹介で建築に詳しいとのことで」

「そうか・・・じゃあ、ファブレ領の開発の責任者を任せる」

「はい」

「仕事内容は、ファブレ領全土の開発計画を立てて、現場の材料等の確認と視察だな。開発計画の細かい所は、ハインと相談して話し合ってくれ。ファブレ領の開発計画書とか後で構わないから提出しておいて・・・どうせ領主のサインがいるだろうから、目に通しておく・・・・人数がいなくて大変だろうが、頑張ってくれ」

「その大役、しかとお引き受けいたします」

「指揮系統としては、カイエンの上に家宰のハインがいてその上に俺がいる形だ・・・・後、必要な家臣がいるなら俺に話しを通してくれれば、家臣を新たに雇う」

「分かりました。それでは、早速ですが」

「あれ、足りない?」

「当面は問題ないのですが、出来上がった建築物を検査して評価する工事関係の検査役が足りませんね。棟梁などが監督しておりますので、問題はでないと思いますが、これほど大規模だと第3者による検査の目があった方がいいので、建築物等を検査する家臣たちを近いうちに雇っていただければと思います」

「分かった」

 俺は、早速、ハインとカイエンと相談してどのくらい雇うのか決めることにした。
 140人ほどの検査専門の家臣を雇うことにした。
 建築物と家具等の検査の家臣は、こんな所である。
 工事関係の監督役が525人である。
 専門の職人が31万5000人ほどである。
 後で、屋根を設置する専門の職人や庭師等も到着することになっている。
 それ以外にもラングレー公爵家、アスガハン準男爵家、ブライヒレーダー辺境伯家、ザフト騎士家、ストラトス騎士家、アームストロング子爵家から御用職人の弟子というなの三男や四男がファブレ伯爵領に移住して家具等を製造することになっている。腕前もギルドから合格を貰っており、俺達も検査して問題ないと思ったので、移住を許可したのである。

「それと区画割を行おうと思う」

「区画割ですか?」

「ああ・・・100m事に区画を分けておこうと思う。区画と区画の間に15mの道路を付けるのと用水路をつける」

「なるほど・・・・所で100mの意味は」

「1世帯で管理できる畑や田んぼの広さがこれぐらい」

「そういうことですか」

「ああ」

 という風にする予定である。

「なるほど、便利ですね」

 たくさんの測量技師達が、いたが、彼らの最初の仕事は

「ファブラブルクの距離を測定し、そこから中心点を出す作業が最初ですね」

「なぜ?」

「中心点さえ測量できれば、お館様の地図に書いてあるとおり大通りの測量が行えます。後は、区画割で分かりやすく測量できますからね」

「なるほど・・・しかしそんな地図使えるのか?」

「地図そのものよりは、お館様の要望が書かれていることが重要なのです。何しろファブレ領は真っ白ですからね」

「そうか」

「今なら、景観とか整えやすそうだよな」

 リッドが声に出して言う。

「出来ますね」

 ちなみに
空港郊外
郊外工房&職人の家
政庁
伯爵邸
郊外郊外

 こんな風にする予定である。
 伯爵邸と家臣の家や宿舎は真南に存在する。平安京や平城京を真似てやったが誰からも疑問の声が上がらないな。
 俺は、マサ土と石灰と土とニガリの配合を混ぜ合わせ、魔法で叩き、乾燥させていく。何十回の試行錯誤のすえ、固い『三和土』が完成した。

 ポイントは、水はにがりが溶ける程度のひたひた強でやると簡単に固まるのである。

 マサ土60%、土10%、石灰30%、にがり0.3%程度である。

 さらにもうひとつ土と海藻糊と焼成にがりとにがりを配合し、魔法でたたき、乾燥させていく。何十回の試行錯誤のすえ、問題ない強度を持つ『マグ土』が完成した。

 配合割合は、土が9、焼成にがりが0.7、にがりが0.3ぐらいの割合で混ぜ合わせると問題ないのだ。ちなみに文献によると焼成ニガリの正体は酸化マグネシウムであり、土を配合することで土中にある微粒金属と結合することで固まるそうだ。名前を『マグ土』と命名したのである。

『しかし大丈夫でしょうか?』

『強度なら問題ない。3日間の養生が過ぎた時点で軽い荷馬車程度なら問題なく通行可能になる強度だ。時間が経てば経つほど強度は増していき、最終的にセメントの3分の2ぐらいの強度になる。石畳を道路にするのだって雨でぬかるんだりしないようにするのが理由だろう』

『そうですね。しかしセメントの3分の2ですか』

『ああ・・・そうだ・・後は凍結防止のために定期的に舗装できるのが一番理想的だな』

『今のファブレ領では、難しいですね』

『だよな』

『こちらの原材料と配合方法は、伯爵家の秘密としましょう』

『他に漏れると危ないと考えているのか?しかし、古文書には載っているから秘密にする理由があるのか?』

『情報は秘匿するのが通常ですので、それが武器にも防具にもなりうる場合もあります』

『カードは持っておいた方がいいか』

 雇われた左官達がカイエンの指示でマサ土、ファブラブルクの土、石灰、ニガリを混ぜ合わせていく。
 大工は、5万8500人である。
 南方が2万7000人、中央が3万1500人らしい。
 全体の半分は10代ぐらいの若い職人たち、4分の1は、20代ぐらいの職人達、4分の1は親方クラスの中年の職人達である。この内半分の若い職人達の中で人柄と腕前が問題なく、腕前も将来性があるならファブレ伯爵領で移住できるのである。中年の職人達は、彼らの親であり、師匠であるのだ。中央や都市は、仕事はあるのだがかといって自分達の次男や三男なども同じ職業に就けるほど甘い職業ではないのである。将来性があるファブレ伯爵領やバウマイスター伯爵領に次男や三男を向かわせるの当然の帰結である。俺のところは、親方が弟子の技術指導を行いながら、開発に従事するなら雇うといっておいたのだ。
 多いなと思ったのだが、実際には少ないらしい。ブライヒレーダー辺境伯経由で聞いた所

「これは1本取られましたな」

「そうだな」

 ヴェルが王都やブライヒブルクの大工に家の建築を依頼しているそうだ。
 完成した家は、レンブラント男爵が移築で適宜送る手はずになっているそうだ。
 これなら王都や南方の大工たちが使えるはずである。バウマイスター領で働く大工の数はファブレ領と大して変わらない。
 王都や南方が活性化する上手な手である。

「ただ」

「・・・どうかしたのか?」

「レンブラント男爵様が酷使されますな」

「・・・そうだな」

 俺たちは、レンブラント男爵の無事を祈るために黙祷を捧げるのであった。
 他にも炭焼職人や瓦職人や左官などもいる。
 商人の人数は9450人である。
 料理人の数は、1万500人、給仕が、1万500人、洗い担当が、1万500人である。
 食料品等を売買する商人の人数は、制限している上に、仕入れする商品の量も制限されている。1日の売り上げが落ちると困るだろうから制限しているのだ。一人当たりの日当は、3000個の食料品を売れば3000セント稼げるようになっている。稼ぐポイントは商品を他の商人より誰よりも先に多く仕入れ、商品の利幅で稼ぐことが出来れば、3000セント以上稼げる計算である。最低限の商品の量を仕入れて、最大の商品の量からの差し引きで問題ないのだ。現実的に稼げる日当は、零細商人で、45万セントほどである。大商人で、360万セントぐらい稼げる。
 屋台等の飲食店に関しては、制限していないのである。
 むしろ早く来いという状態である。

 輸送費は、俺が持っているので、輸送費が上乗せさせられることはない。

 警備員の第1陣 2000名である。

 一時的に雇うことにしたファブレ領の開発のため臨時会計係が1575人である。
 正式な会計係としては、魔導飛行船専任の会計係が21人と家臣会計員が30人ほどである。
 家臣会計員とは、家臣の勤怠から給料を計算する係りである。家臣の勤怠は、隊長格の人間が管理して、報告があがるようになっている。もちろん隊長格の人間の勤怠を管理しているのは、専任の家臣だったりするのである。
 これからも家臣が増えるのは確定である。
 将来性があり優秀な人間で、人格が問題ないなら、臨時会計係の中から引き抜いて正式な会計係に抜擢する予定である。
 そんなこんなでファブレ伯爵領にいる総人口は30万人を超えていた。
 測量士は、外周の測量作業である。
 土工は、大通りの堀削作業である。

『募集した警備隊の第一陣ですが、予想よりも精鋭揃いですね』

 それは、アスガハン家の人材斡旋でエドガー軍務卿が推薦する人材ばかりなので当然であろう。
 軍人家系で良く鍛えられている上に軍や警備隊を辞めてまで来ているのだ。
 第一陣なので、将来発足するファブレ諸侯軍の幹部候補という点も含め、彼らは治安維持のためにパトロールを行い、工事関係者などを野生動物から守るために狩りも率先して行い、工兵訓練の名目で工事の手伝いまでしていた。

『ご馳走ですな』

 トリスタンは、支給される野菜が大量に入ったスープ、魚の切り身焼き、果物などのメニューに喜んでいた。

『ええっ! そうなの?』

『軍や警備隊の食事は、量ばかり多くて不味いですからな。調味料は予算の都合で、塩しか使えませんし。酒なんて自分で買えが基本です』

 そういえば、以前にグレードグランド討伐で軍の駐屯地にお世話になった時、量ばかり多くて、味は微妙な飯を出されたのを思い出す。

『野外の駐屯地で出る飯は、あれでもまだマシです。士気の維持が必要ですから』

 ただ、それでも昔の実家で出ていた飯よりマシなんだけど。
 その日の夜、俺はハインやハヤテやアスナやスズネとセイと警備隊の主だった幹部達と食事を食べながら話をしていた。
 こんな状態なので皆同じメニューであったが、彼らは特に不満もなく食べているようであった。
 幹部候補達は、みんな軍や警備隊で出る不味い飯に苦労していたようだ。

『その点、トリスタンの家は良いよな。実家が裕福だし』

『みんなが思っているほど、素晴らしい飯なんて出ないさ。パーティーとかで見栄を張っている時ならともかく、軍務系の貴族家は、普段はあまり豪勢なご馳走は食べないのはお前らも知っているだろう?』

 軍務系の貴族達は、普段から体を鍛えてパーティー以外であまり豪勢な食事を取らないのだそうだ。
 節約という理由もあったが、軍務系の貴族やその子弟が太っていると外部からあまり良い印象を受けないからだ。
 特に出世したい人は、定期的にある閲兵の儀式などで見た目が良くないと、この時点で出世コースからは外れてしまう。
 軍人の能力と体型に関係は無いと思うのだが、そういう人は補給や参謀コースに進む事になっている。
 そこでも出世は可能であったが、やはり軍人は若い内は前線で剣を振るい、ある程度年を取ったら指揮官になる事こそが花形だと思われていた。

 ただ、この二百年ほどは演習以外であまり指揮官の出番も無かったのだ。

『トリスタンの家は、侯爵家だからな。例外かと思った』

『あの親父が、そんな無駄遣いなんてしないさ』

『確かにエドガー軍務卿に似ている』

 俺は、配給された酒を飲み干してから、スズネとアスナとセイをつれて転移でファブレ領の屋敷に戻るのであった。
 ハクカとファラとスズネとアスナは、けが人が出たときの治癒のため本陣で書類整理である。

「何?この量」

「伯爵家という規模で一からの建設です。このくらいは当たり前かと」

 4人は、自分達にわかる簡単な書類を整理し始めた。
 リッド、ヴィルマ、ミュウ、キャロルは、狩猟要員である。本当は、書類整理をして欲しいのだが、全員が狩猟を希望したのであった。別に4人とも書類整理位は出来るのだが性格上、こちらのほうが向いているのである。
 セイは、俺の護衛を兼ねての開発の手伝いである。

「あんまり必要ないけどな」

「まあ・・・そうね。名目は、護衛だけど開発の手伝いが主だからね」

 翌日

「というわけだけど」

 俺は、ブライヒブルク図書館にあった古文書のコピーをカイエンに見せた。

「そうですね。自然乾燥させるより早いですね」

 ヘルムート王国でも自然乾燥させるという手段はあるのだが、ものすごく時間がかかるのだ。
 大体、2年〜3年ほど乾燥させれば強度のある建材になるのだ。ただし割れたりするのであまりおススメされていない。そこでヘルムート王国で考案されたのが魔法使いによる強制乾燥や炭焼職人による高温乾燥である、多少高くつくが自然乾燥建材を使うよりは圧倒的に早いのだ。その中で今回俺が使う方法が低温燻煙乾燥法と呼ばれる古代魔法王国時代の手法である。ヘルムート王国では、使わない手法である。ヘルムート王国の主流は、圧倒的に石造りや煉瓦造りであるが、これはアーカート神聖帝国との戦争時代の名残りのようなものである。ちなみに辺境の主流は、木造りが大半である。

「しかし木造りですか?」

「正確に言えば、木材と土だな。戦争時代じゃないからな。石造りや煉瓦造りにする利点がない」

 石造りや煉瓦造りもメンテナンスは不可欠なのだが、木造との違いは、改装しづらいことなのだ。
 ヘルムート王国における木造屋敷は、中温乾燥法である。低温燻煙乾燥法や自然乾燥の利点は、木材が本来持っている特性が反映されることである。残念なことに中温乾燥や高温乾燥などには木材の特性は残っていないのである。

「・・・炭焼職人が来ていたわけがこれですか」

「ああ・・・彼らの領分だからな」

 オカクズや草木などを材料に燃やし、さらにクズ魔石を少量ずつ足し一定の火力。65度程度の低温に保ち部屋を燻煙させて、木材を乾燥させるのだ。この作業で2週間ほどかかるのだ。そして1ヶ月ほど天日干しをすると使えるようになるのだ。高温燻煙乾燥法ならば1週間で使えるのだ。

 大工は、松杭製作である。
 木挽きは、製材加工である。
 肝心の俺とセイは、

「というわけです」

「牛を連れてこいと」

「はい」

 瞬間移動で、ラングレー公爵家に集められた牛をファブレ伯爵領に運ぶ作業である。
 目的は、牛にプラウを装備させて、開墾させるためである。人間がやるより早く、1haの開墾に牛4匹と30人ほどいれば1日で開墾させられるのだ。ちなみに開墾の深さは1m50cmほどである。

「誰だって長時間の重労働は嫌いですからな」

「それもそうだな」

 4日目
 測量士は、区画の測量である。
 土工は、大通りの転圧である。

「最初に手を覆うほどの大きな石を入れるんだ。2番目に砕いた石を入れる。3番目に壊れた陶器の破片と石灰を入れるんだ。最後に土を入れて転圧したら終わりだ」

 最後に『マグ土』を用いて、道路等の転圧をする作業は左官の役目であり、土工の仕事ではないのだ。
 転圧方法は、伝統的なローラーによる転圧式である。
 石灰の正体は消石灰である。
 俺、セイ、スズネ、アスナは、

「お館様、本日はファブラブルクの土壁の生成と堀の堀削作業をしてもらいたいのです」

「分かった」

 俺、スズネ、アスナ、セイは、堀作業や土壁作業である。

「広いわね」

 セイが堀を見て言う。

「はい」

 スズネも同意見のようだ。

 コクン

 とアスナも頷いていた。
 ファブラブルクの堀は、長さ40km、幅15m、深さ5mほどの堀が四方に囲んでいる。
 堀の目的は、獣の侵入防止である。
 堀の堀削した所に大工が丸太を置くとファブラブルクとの間に応急処置的な橋が完成した。

 5日目
 土工は、外周の掘削作業である。
 左官は、大通りの転圧作業と用水路製作である。大通りの転圧に使う際の土は『マグ土』である。用水路に使う材質は『長七たたき』である。

「お館様には、井戸を掘っていただきたいのです」

「水か」

「はい・・・・地下水と河川の水を引いて用水として活用する予定ですが、現状のファブラブルクでは、河川の水を引くのに時間がかかります。そこで地下水だけでも利用したいと思います」

 俺、スズネ、アスナ、セイの4人は、魔法で井戸を掘ったのである。
 掘った井戸は、約500箇所近くである。

「ファブレ伯爵様が井戸を掘ってくださったぞ」

 掘ってみて分かったが100m近く掘らないと地下水が出てこなかった。

「地盤は、頑丈ね」

「地盤改良は、必要なかったか?」

「全ての地盤がこれと同じであれば必要ないのですが・・・・現状、3階建て以上の建物には、地盤改良をなさった方が何かあっても対処できますので」

「それもそうか」

「それと経済を循環させる意味もございます」

「ファブレ伯爵家の資産はたまっているよね」

 魔導飛行船を1隻造船するだけで、最低でも白金貨3000枚である。ただし魔道具を除いてである。魔道具の代金を入れると35億3125万セントほど消費したことになる。ただ25cmの魔石は、天地の森で入手済みのためタダである。尚、これをもし販売すると2兆9197億6165万セントかかる計算である。王国なら王国札や通貨発行をすれば買い取れるだろうが普通の貴族では買取不可能である。
 造船と工房で、白金貨4000枚近く使用したが、魔道具の販売と魔晶石の補充や魔物討伐の代金で稼げるのである。
 無駄な出費というわけでないためお金があるなら使った方が将来的にはいいからだそうだ。

 6日目 俺は、アスナと王都でデートをした。

「色々ある」

 アスナがキョロキョロとして、建物や商品を見ていた。

「・・・アスナは、来たことなかったか」

「ない」

「そうか」

 俺は、アスナとはぐれないようにアスナと手を繋ぎながらアスナの要望にこたえるために色々な場所や商品を見せたのだ。

 7日目 俺は、セイと王都でデートである。

「・・・王都は広いわね」

「王都に来たことなかったのですか?」

「残念ながらないわね。ブライヒブルクで問題なかったもの」

 俺は、セイの手を繋ぎながらお店をみてまわることにした。
 俺の心臓は、割とドキドキしていた。



 主人公の家臣紹介 ファブレ家の家臣の役職
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