様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 翌日。
 王城からの使者と共に登城すると謁見の間ではなく、会議などに良く使う部屋に通されていた。

「まずは、あの不埒者への処分を発表するのでな。謁見の間は後で使う事にする」

「では、早速に処分内容を……」

 室内に居た陛下に促され、ルックナー財務卿が処分内容を発表する。
 まずルックナー男爵とメンマ公爵であったが、彼らは俺たちへの暗殺未遂の共犯として家を取り潰し、財産も全て没収という処分が下される。
 既に文句を言う家族もいないし、あわよくば爵位と役職継承を狙っていた縁戚達も、この処分の前には沈黙するであろう。

「あの、証拠は挙がったのですか?」

「ブライヒレーダー辺境伯が、その証拠を捕まえるべく網を張っているようだな」

 まだクルトやトニーに魔道具を渡したフリーの冒険者たちとやらは、山脈の山道をブライヒブルク側に向かって移動している最中で、それを捕縛しようとしているのをルックナー財務卿は察知したらしい。

「ルックナー男爵の家臣で、何名か所在が不明な者達がいる。大方、その冒険者の始末に向かっていると思われるがな。どちらでも確保できれば、証拠も挙がろう」

 ルックナー男爵やメンマ公爵が生きていれば、もう少し慎重に処分を進めるのであろうが、残念ながらもう彼らはこの世の人ではない。
 ならば、さっさと処分してしまおうと言う事らしい。

「他の貴族達も取り壊しだな」

 24名の貴族達も生き残りの子供などいないためあの事件で取り壊しだそうだ。

「下で優秀な者を昇進させ、新しい者を入れて経験を積ませる事にする」

 そうやって入れる未経験者とは、普通は親のコネで入る跡取り息子である。
 そして、その未経験者は大体親の役職くらいまで昇進できる。
 法衣貴族で役職付きの家は、親子でそのサイクルを繰り返すのだが、思わぬ当主の急死で子供がまだ幼い者が多く、役所に入れるのも困難であった。

 なので、今回は12名の役職無しの貴族に門戸を開くという事になる。アーカート神聖帝国と戦争状態というわけではないから交易省の門戸開かずに、このまま静かに終わらせるそうだ。
 当然、激しい争奪戦が繰り広げられるであろうが、俺には知った事ではなかった。

「詳しい話は、謁見の間で行う事とする」

 処分は会議室で、褒賞は謁見の間で行う。
 ヘルムート王国では、それが決まりのようだ。
 陛下の命令で謁見の間へと向かうと、そこには意外な人物が待ち構えていた。

「ヘルムート兄さん? エーリッヒ兄さん?」

「アンディ兄さん?グラム兄さん?ヘルムート兄さん、アレン義兄さん」

「ヴェルか……。クルト兄貴の件は聞いている……」

「まさか、こんな結末になるなんて……」

「ルークか」

 やはり最初に話題になるのはクルトやトニーの悲惨な最期と、その異常な執念が成した大虐殺劇であろう。
 ただ、実際に虐殺を行った怨念の集合体であるアンデッドを浄化した神官達の目撃によると、そのアンデッドにはクルトの身体的な特徴は一切存在していなかったそうだ。
 黒い煙状の赤い目が爛々と輝く顔が付いた直径三メートルほどの球体。
 それが、ゾンビに喰われてほぼ骨と化していたルックナー男爵の遺体の前で不気味な高笑いを続けていたらしい。
 しかも、その球体は、王都にある黒い霧を取り込み、肥大化していったそうだ。
 このままだと不味いと考えた神官達に浄化したそうだが浄化耐性を付けていた為に失敗したそうだ。
 そのため貴族街に球体とゾンビが現れ、王都が5時間ほど混乱し、ゾンビは、冒険者に退治され、球体は、導師と『闘士聖女』の聖の直接攻撃によって大幅に弱体化し弱った所を聖の使える魔法使いと神官の浄化と教会が保有している浄化の補助魔法陣で何とか退治したそうだ。
 この事件の犠牲者は、約2万人ほどだそうだ。

 ヴェルの殺害には失敗したが、自分をこんな姿にしたルックナー男爵を殺せて満足したのか?

「ルックナー男爵とメンマ公爵は、呪われた魔道具を使ってその反作用で死んだというのが公式の見解なようだね」

 エーリッヒさんは、王国側からヴェルと俺への暗殺未遂事件はクルトとトニーの仕業で、後のルックナー男爵とメンマ公爵の惨殺事件は、自分自身が魔道具の効果を良く確認しないで使った事によるミスであると伝えられたようだ。
 それでも、クルトやトニーが使用した魔道具を裏市場から手に入れて渡したという罪があるので、御家は断絶という処罰に違いは無いようであった。

「さて、8人に来て貰ったのは理由がある」

 まず伝えられたのは、ヘルムートさんとエーリッヒさんとアンディ兄さんとグラムとヘルムートとアレン義兄さんの爵位を準男爵に陞爵するという物であった。

「なぜ?」

「陛下、我々は特に何も功績など……」

「何も無い事はあるまい。日々、与えられた仕事に邁進しておろう」

「それは、他の貴族達も皆そうなのですが……」

 エーリッヒさんの疑問に陛下は笑顔で答えていた。
 だが、その表情には『反論しないで受け取れ』という物も浮かんでいて、それに気が付いたエーリッヒさん達は素直に陞爵の褒美を受けていた。

「次は、ファブレ男爵であるか」

 クルトの死後。
 約1週間ほど放置されていたのだが、ようやく未開地を下賜されるようだ。

「ファブレ騎士爵領は、跡継ぎの不祥事により未開地部分の没収を命じる。詳細な没収領域は後で伝えるとして、残りの未開地分の全てを伯爵に陞爵するルーク・フォン・ファブレに与える物とする」

「謹んでお受けします」

 俺は陛下から伯爵の爵位とマントと未開地を下賜された。

「次は、バウマイスター男爵であるか」

「バウマイスター騎士爵領もまた跡継ぎの不祥事により未開地部分の没収を命じる。詳細な没収領域は後で伝えるとして、残りの未開地分の全てを伯爵に陞爵するヴェンデリン・フォン・バウマイスターに与える物とする」

「謹んでお受けします」

「ファブレ伯爵には、魔導飛行船開発成功として双竜勲章とイシュルバーク勲章を授ける物とする」

「はい」

 俺は、陛下から双竜勲章とイシュルバーク勲章を授けられた。
 双竜勲章については、あんまり有り難味がなくなってきたのだが、魔導飛行船はそれだけ物流はもちろん軍事的に重要な物なのだ。尚、イシュルバーク勲章とは、魔道具職人に与えられる最高位の勲章なのだ。ここ1000年、イシュルバーク勲章を貰った人物は、存在していない。過去に授けられた人物だと『魔導灯』や『魔法の袋』や『ゴーレム』の再現に成功した魔道具職人に与えられている。
 これでようやく実家に関するゴタゴタの大半が解決するのであった。



 主人公一行紹介 ヴェンデリン一行紹介
タグ

Menu

メニューサンプル1

メニューサンプル2

開くメニュー

閉じるメニュー

  • アイテム
  • アイテム
  • アイテム
【メニュー編集】

編集にはIDが必要です