様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「お館様、なかなかの品揃いかと」

「ハヤテは、店長経験も有ったのか?」

「代理でしたが、借金をしていた時に、とある雑貨屋の業務を一通り」

「なるほど」

 とりあえず、トニーを暴発させて排除するまでは、ファブレ騎士領を拠点に動く事を決めたのだ。
 そんなこんなでこの1週間は

「私でもアンディ卿と同じ判断をしますね」

 どう見ても内乱が起こりたくさんの人々が犠牲になる未来しか来ないとブライヒレーダー辺境伯がいっていたのだ。

「すでに中央貴族の方々はその線で動いておりますから、後は領地をファブレ男爵が引き継ぐことですね」

「それは、決定ですか?」

「そうなりますね」

「仮に廃嫡をしてもトオルがいますよね」

「ですが、まだ幼いので、無理です」

 トオルの年齢を思い出してみた。
 まだ、7歳あるいは8歳児である。
 領地経営は不可能である。

「それでファブレ家の爵位を放棄した人間に回すと」

「そうですね」

 現状だとリョウ、ルパン、俺しか引き継ぐ人間がいない。
 ファブレ騎士家は、次男でもあるルパンが継ぎ、未開地の一部をリョウが引き継ぎ、残りの大部分は俺だそうだ。
 トニーがせめて協力姿勢さえ見せてくれれば、ファブレ騎士家を引き継がせるのは問題ないらしいが、現状はどうみても不可能であると王国は結論を出していた。

「トオルのほうですが、大きくなったら、未開地の一部を引き継がせるのは可能ですか」

「そうですね。それぐらいなら問題ないと思いますよ」

 どうやらトオルにも未開地を引き継がせてもいいようだ。

「・・・今のうちに材料の準備とかしたほうがいいですか」

「早いほうがいいでしょう」

 俺は、ブライヒレーダー辺境伯様と話を終えた。
 ブライヒブルクにある樵組合や食料の確保などをブライヒブルクで手配をするのである。
 それと職人達が試験に合格したのであった。
 本日は、領主館前や王宮前で張り紙で合格通知が出されることになっている。
 領主館や王宮前は、人通りが多いはずである。
 王都に行き、材料の注文などをしてからハヤテに会いに行っていた。

「お館様のご命令なら引き受けましょう」



「何もないね」

「ああ」

 俺、スズネ、ヴィルマ、ハクカ、リッド、ファラ、ミュウ、セイで工房の視察を行ったのだ。視線の先には、草ひとつない舗装された土だけであった。
 そこで黒髪の青年が出迎えてきた。

「マテウス、ご苦労」

「もったいないお言葉です」

「あの・・・建物は?」

 ハクカが疑問が尋ねていた。

「ハクカ様・・・・今は土の養生期間でございます。ですので、あちらをご覧ください」

 マテウスの視線の先には、工事関係者が大量にいるところであった。

「あれが・・・そうか」

「はい」

「あれって?」

「ブライヒブルクにいくまでの道路の舗装工事になります」

「つまり養生期間が過ぎるまでは、ああして道路作りになると」

「はい・・・後は、あの建物ですね」

 5mのレンガの建物が出来ていた。

「俺の要望とは違うようだが?」

「あれはですね。仮設住宅ですね」

「ところで、作業の方は?」

「すでに一部では作業を開始なされております」

「そうか」

 そんなこんなで様々な人や物を取り寄せたり、職人の彼らに予め指示を出したりしたのだ。

「木材の乾燥方法ならあれがいいか」

「あれですか?」

 炭焼職人に指示を出し、低温燻製をして乾燥時間を早めることにしたのだ。
 低温燻製は大体65度前後の温度で2週間ほど燻製にした後で、1ヶ月の天日干しである。これをすることで自然乾燥に近いレベルの乾燥になるので木が本来持っている粘りや温かみ等が活用できるのである。ちなみに高温燻製や中温燻製等にはこれらの粘りや温かみ等は失われる。自然乾燥に近いレベルなのでメンテナンスがしっかりしてあれば1000年以上持つことは歴史が証明している。

「そのような乾燥方法があったのですね」

「まあな。それともう二つは従来のやり方だな」

 すなわち水中乾燥と葉隠れ乾燥である。
 水中乾燥は、水の中に入れても木材が乾燥する上に乾燥中に木材が割れるのを防ぐ効果があるのだ。
 葉隠れ乾燥は、木皮を剥ぎ、葉と枝を残して自然乾燥させる方法である。木材の乾燥方法の中では、一番木材の効果が高い方法である。
 家であったが、人が増えるとあの借家では手狭なので、他の家に移る事にした。
 だが、この領内で一番大きな家は領主の館しかない。
 そこで、ブライヒブルクにある家を移築する事にしたのだ。

『あの山脈を、どうやって超えるのか?』という疑問が出るであろうが、それを解決するのも魔法であった。

『まいど! 移築のレンブラントだす!』

 4日目
 俺はブライヒブルクにある自分の家の前で、この似非関西訛り丸出しの頭部がバーコードなおじさんと待ち合わせをしていた。

 実は、このおじさん。 

 系統は土に属する特殊な魔法の使い手なのだ。
 その魔法は『移築』といい、かなり巨大な建造物などを他の場所に移築する事が可能であった。
 他にも瞬間移動も使えるので、依頼者から仕事を受けると対象物を魔法の袋にまず移し。
 目標地点まで移動してから、そこに建物などを魔法の袋から取り出して移築する。
 当然、建物には地面に埋まっている土台部分などもあるので、移築後も前と同じようにそれが作用していないといけないわけだ。
 そこまで計算して移築可能なレンブラント氏は、常に数ヶ月先までスケジュールが埋まっているそうだ。
 顧客は、主に貴族などの金持ち層となっている。
 例えば、風光明媚な土地に別荘を建てたいのだが、そこまで建設人員を呼ぶのが難しい時。
 適当な空き地で建物を完成させ、それをレンブラント氏に移築して貰う。
 他にも王国政府の命令で歴史的建造物の移築などを行ったりとこの特技のおかげで、彼は、法衣男爵の地位にあった。
 本来、すぐに俺の依頼は受けられないのだが、そこはルックナー財務卿が骨を折ってくれたらしい。
 彼は、約束した時間に屋敷の前に現れていた。

『では、行きましょか』

 なぜか微妙な関西弁を喋るレンブラント氏であったが、仕事は早いの一言であった。
 さっと家の周りを一周してからすぐに、先ほどまであった俺の家が姿を消していたのだ。

『では、予定地点まで案内を頼みまっせ』

 さすがに、ほぼ王国全域を移動可能なレンブラント氏でも、ファブレ領には行った事が無いそうだ。
 なので、俺が瞬間移動で彼をファブレ領へと連れて行く。

『のどかでんなぁ』

 目的地に到着したレンブラント氏は、田舎の農村その物なファブレ領を見ながら目を細める。
 そして、そんな俺とレンブラント氏を護衛役のリョウ達が出迎えていた。

『ここが、予定地点です』

 先に父との交渉で、ファブレ家の実行支配範囲と未開地との境目にある地盤のしっかりとした平地を借りていたのだ。
 賃料は無料で、未開地側では何をしても構わない。
 その代わりに得た利益の二割は確実に納める事。
 多分、父は、未開地で狩りでもして得た獲物が金にでもなれば御の字だと考えているのだと思う。

『ここなら、大丈夫でっしゃろ』

『(変な関西弁だな……)』

 何でも、レンブラント氏は建築家も兼業しているらしい。
 その知識も生かし、魔法の袋から取り出した元は家は平地に以前と同じ状態で建っていた。
 相変わらずの一瞬の早業である。
 尚、マテウスの父親でもある。

『あとは……』

 続けて、事前に頼んでいた十数軒の家も移築し始める。
 俺に付いて、暫くファブレ領で生活する人達のためにレンブラント氏から持って来て貰ったのだ。

 まず、家は、俺達パーティーメンバーとヴィルマとユーファである。
 ユーファは、腰を再び痛めたマイスター司祭の代理である。
 両隣の家には、ハヤテが選んできた腕の立つ警備員達やハヤテの住まいである。
 他にもリョウ達が暫く住む家も移築される。

『えっ? 円満退職?』

『先輩、私達もなんですけど……』

 地方巡検視の仕事を終え、今は休職扱いで俺達の護衛をしているリョウ達であったが、突然ブライヒブルク経由でエドガー軍務卿から貰った手紙に絶句してしまう。

 なぜならその手紙には、リョウたち5人は俺の護衛任務を全うすると同時に警備隊を退職する事になったと書かれていたからだ。

『なぜに?』

『続きを読んでみたらどうだ?』

 オットさんに促されてリョウが手紙の続きを読むと、そこにはこう書かれていた。

『このまま、ファブレ男爵の護衛を続行せよ。成功報酬として、準男爵への陞爵としかるべき土地を与える事を約束をする。残りの四人に関しては、別途報酬とリョウ殿の家臣として……』

 他にも休職中ではあるが、王都の家族には警備隊での給料分の補填に地方巡検視任務の役職手当と遠隔地手当て、加えて、護衛料として纏まった額を支給する旨が書かれていた。

『領地?』

『多分、未開地のどこかじゃないのか?』

 間違いなく、オットさんの言う通りであろう。
 そして、ルパンが継ぐ予定の領地と合わせて、俺が開発を援助する。
 その結果、将来的には未開地を領有する俺を補佐する分家のような存在になるのだと思う。

『まあ、一人蚊帳の外のトニー兄貴を引き摺り下ろす嫌な仕事だしな。開発の苦労はあるけど、こういう報酬も悪くは……』

『俺、マジでお前と友達で良かったわ!』

『先輩! 最高です!』 

『親父の鼻を明かせるぜ!』

『奥さんや子供達が喜びます』

 他の四人は、リョウが開発する新準男爵領に陪臣として入れると聞き、大喜びでリョウに抱き付いていた。

『こら! 俺には、その気はねえ!』

『知っているさ、同期の親友よ! いや、今日からはお館様だな』

『オットに言われると変だな』

『とはいえ、慣れないと問題だろう』

 男四人に抱き付かれて心の底から嫌そうな顔をするリョウに対し、世襲可能な陪臣の職が内定した四人は喜びに満ち溢れた表情をしていた。

『世襲可能! これがあるから、陪臣って素晴らしい!』 

『これで、クリスタにプロポーズが……』

『今度、家族に手紙を書かないといけませんね』

 みんな、貴族の三男以下や一代騎士の子供に先祖は貴族の商家の出と貴族になれれば嬉しいのであろうが、そこまで夢を見ているドリーマーは存在しないらしい。

 彼らからするとリョウの家臣で世襲可能ならば十分に勝ち組なのだそうだ。

『となれば、ファブレ男爵様の身の安全は確実に守らないと』

『私の剣の腕が役に立つ時ですね。暴漢は、苦しまずに首を刎ねてやりますよ』

『そうだな。怪しいのは、片っ端から斬り殺そう』

『間違えて、あの長男を斬った事にしませんか? むしろ、その方が仕事が早く……』

『ストップ! その危険な発言ストップ!』

 俺は、嬉しさのあまりとんでもない事を言い始めたオットさん達を懸命に冷静にさせるのであった。 



「結局、お店を出すみたいですね」

「バザーとか、わざわざ面倒だからな」

 父から、未開地側は自由に使っても良いと許可を得たので、この1週間ほど様々な物を運び込んでいた。
 移築名人のレンブラント氏に頼んで、王都で売りに出されていた手頃な価格の家を十数軒、俺の屋敷の周りに移築して貰う。
 中には捨て値同然の古い家もあったが、それは現在、ラングレー公爵様の推薦でハヤテが連れて来た大工達が修理をしている最中である。

「というわけだ」

「なるほど、数年ほど問題なく住めるように修理なさればよろしいと」

「ああ」

 なぜならこの領地は、まだ父の物なので、俺は、次の領主の最初の仕事に任せようと思った。順調に行けば、次のファブレ騎士家の領主は、ルパンになるから最初の領主の仕事としては、ファブレ騎士爵領の唯一の商店の修理なら丁度いいのである。すでに中央では、トニー廃嫡後、ルパンが領地を継ぐ事が確定している。
 彼らは仕事が終われば、俺が王都まで送り届ける予定であった。

「半分以上が空き家ですが、他領民を募集するので?」

「いや・・・実は名主の人に相談されてな。どうやらファブレ領だと開墾できる土地がもう残っていないそうだ。だから未開地を開墾して、余っている農民をそこで暮らしてもらうことにした。ついでに現在の村落の土地の整理も行う予定だ」

 ここは父の領地なので、他領民を募集することは出来ないのだ。

「このお店で、様々な物を売ると?」

「ハヤテ店長、頼むよ」

「はあ……」

 空き家の中には、王都郊外にあった古い一度倒産した中規模の商店もあった。
 俺がそういう店舗を探していると聞くと、あの胡散臭いリネンハイム氏が格安の物件を探してくれたのだ。
 他の古いが安い家屋なども彼が見付けてくれていた。
 古いので取り壊す予定だったりした建物を、ほぼ無料に近い値段で売ってくれるようにと交渉してくれたのだ。
 向こうも取り壊す予定の物を解体費用をかけずに処分してくれるので、これはお互いに良い取り引きであったという事だ。
 それに家の状態もそれほど悪くはない。
 王都では、家屋の建て替えが早い傾向にあるので、少し直せば十分に使える物件ばかりだからであった。
 言っては悪いが、むしろファブレ領内の家の方がボロかったりするのだ。

「この中型商店も外部の修理だけでいけます」

 それら物件の中の一つである元中規模商店には、既にハヤテ指揮の元。
 アリス達のメイドを売り子にルパン兄さんたち分家の男たちも奮闘して多数の商品が陳列されていた。
 バザーを開くくらいなら、俺が商店を経営した方が面倒もなくて良いという結論に至り、父に許可を得て、俺がオーナーでハヤテが店長の『何でも屋』が誕生する。

 売り物は、まさに何でもというか前のバザーで販売したような品揃えであった。
 調味料、生活雑貨、農機具などの金属製品、お菓子、肉類などだ。
 腐り易い物もあるが、これは魔法の袋に仕舞っておけば問題は無い。
 商品の仕入れは、俺がブライヒブルクの商業ギルドから定期的にする事になっていた。
 あとは、領民達からブライヒブルクで売れそうな物を買い取る仕事もだ。
 最初は小麦くらいしか売る物が無いはずであるが、次第に領民達も知恵を絞るようになっていくと思う。
 そして、この商店が出来た事により、ある伝統が中止されようとしていた。

『じゃあ、わざわざ商隊を派遣する必要もありませんね』

 ブライヒレーダー辺境伯は、長年続けていたファブレ領への商隊派遣を中止する事を宣言する。
 俺に色々と便宜を図ってくれるのも商隊を派遣するよりも俺に任せた方が、圧倒的に金がかからない事に気が付いたからだ。

『麦の買い取りもお願いしますね』

 なお、この麦の買い取りでは利益を一切出さない事にした。
 相場で買い取って、相場で売る事にしたからだ。
 商隊の買い取りも実はそうだったので、急に変えると問題になると判断しての事であった。
 それに利益なら他の商品の販売益で稼げるわけだ。

 俺が商店を経営し始めた事で、ファブレ領は商隊という外部からの塩の供給手段を失った。
 更に俺に頼らないと塩などが得られなくなってしまったのだ。
 俺は、父がそれに気が付いて何か言うかと思ったのだが、交渉の席にトニーを入れず、無条件で容認をしている。

『ブライヒレーダー辺境伯殿の罪悪感という怪しげな理由で運営されている危うい商隊だったからな。それが、ファブレ男爵の商店に変わって、何ほどの事か』

 しかも商隊よりも品数が多く、値段も抑え気味なのだ。
 父からすれば、税さえ納めて貰えば反対する理由など無いのであろう。

『親父! このままだとルークに領地を乗っ取られるぞ!』

『乗っ取られる? では聞くが、今までのファブレ領は、塩という戦略物資をブライヒレーダー辺境伯家に握られていた。だが、今までにこの領がブライヒレーダー辺境伯家に乗っ取られたりしたか?』

『それは……』

『文句があるのなら、お前が商隊を何とかしてみせろ』

 やはり、俺の商店経営に対してトニーが父に文句を言ったらしい。
 だが、以上のようなやり取りの後に父に凹まされてしまったようだ。

 ファブレ領と隣接しているので、将来的にはトオルへの支援として割譲する予定にしていた。

「税金の計算をミスらないように」

「あの御仁に付け込まれますからね。ところで、ハクカ様達は?」

「ああ、ハクカ達なら……」

 マイスター司祭が腰を痛めたため、急遽

「私がマイスター司祭の代わりですか」

 ユーファが驚いた声を上げていた。

「私じゃ、無理だよ」

 ハクカの言葉である。
 聖女の弟子として市民の怪我の治療は行ったが、教会行事には参加していないからである。

「皆さんは、教会の役職は持っておられないのですか?」

「名誉司祭だな」

 何の効力も発揮しない。

「聖女の弟子かな?」

 ハクカが疑問の声を上げているが、エリーゼに教わった回数がすずめの涙レベルらしい。回復魔法は、元々使えたし、せいぜいが浄化ぐらいしか教わっていない。これで弟子扱いをする教会とはいったい・・・。
 当然ながら、ハクカの聖女の弟子も何の効力も発揮しない。

「俺達は、教会関係関わってないからな」

 リッドたちの言葉である。
 
「・・・ユーファはどうなのよ?」

「修道女です」

 ユーファが顔を引きつらせていった。

「私には、薬師の知識ありませんよ」

「魔法は無理なのか?」

 ユーファに魔力があるのはわかっているからである。

「はい、私は一芸特化ですので」

 こういう人間は、珍しいのである。

「エリーゼと同じか」

「近いですね」

 助祭の代わりとしてハクカが行うことになった。この教会の主な役割は、領民の怪我の治療が主なのだ。回復魔法が使えるハクカなら問題ないと判断したのであった。この辺は、ブライヒブルクや王都とは違う所である。ヴィルマは、戦闘力のないハクカとユーファの護衛役である。トニー達が馬鹿な真似をしないという保証がなかったのだ。
 リョウ達は、俺とハヤテを囲んで護衛の最中である。

「それで、リッド様達は、天地の森で狩りですか」

 冒険者扱いでの滞在なので、狩りに行かなくては本末転倒であった。
 そこで、リッド達は天地の森で狩りに出かけていたのだ。

「俺も行きたかったな」

「ルーク様は、ここで仕事があります」

「では、早めにやってしまうか」

 この未開地で、ファブレ家が開発を断念した理由。
 それは、未開地には危険な野生動物が多いという点にあった。
 農作物などを作っていると実は猛獣の猪や熊や農作物目当てのウサギや鹿などを狙って狼の群れが出現する事もあった。
 開発を行いつつ、その人員の安全と確保する。
 確かに、あまり余裕の無い小規模領主では不可能であろう。

「しかし、それはルーク様も同じでは?」

 金とコネで集めた開発人員や警備兵達であったが、まだ数が少ない。
 なので今、大まかな開墾を終えた田園地帯の防衛には人数が少ないような気もするとハヤテが心配していた。

「人員は、あまり必要ないさ」

 なぜなら開墾予定の麦地帯と未開地の間に、幅三メートル、深さ五メートルほどの堀を魔法で掘り、その時に出た土で土塁も作って二重に動物の侵入を防いでいたからだ。

「それならば、大丈夫ですね」

 ハヤテは、安心したようだ。
 そして、それから暫く俺から大まかな管理方針などを聞くと急ぎ張り切って仕事に戻るのであった。



『ファブレ男爵様の開墾に害獣対策と早い早い』

 ここを継ぐ予定の世帯は、わずか2分で形になってしまった1haの新開墾地に驚きの声をあげていた。
 あとは、自分達で何とかなるそうだ。
 開墾、土作り、肥料作りと本来ならば、自分達が体を酷使してしなければいけない事をほとんど魔法でやって貰えた。
 こんな好条件な開墾などまずあり得ないのだ。

『ファブレ男爵様は、新規の開墾の時にまた魔法を使っていただければ』

 以上のようなやり取りを行った。
 未開地開拓は、ファブレ領の村だと田畑が大きく離れたりと田畑などの管理に不便との名主のユルゲンたちに相談されたので、それならということで未開地を開発して、領民達が問題なく農作物が管理できるように開発することにしたのだ。
 ちなみに2分の開墾は物凄く早いのである。通常、1haを開墾して農作物を安定して取れる様になるまで約10人程度の1世帯で5年ぐらいはかかるのである。土作りを含めると大よそ8年ぐらいである。王都で修行する前の俺だったら、大よそ9分程度はかかっている。9分でも早い方である。



「そんなわけだから、この開発特区の管理を頼むよ」

「開発特区ですか」

 父から利益の二割を納めれば良いと言われた土地で、麦や商店の経営などを始める。
 ファブレ領内にはあるが、そこの主は俺で父やトニーの影響力が及んでいない。
 なので、俺は勝手に開発特区と呼んでいたのだ。
 一先ずの家屋、農地、商店などの準備か終了した日の夜。
 俺は、家の書斎で経費の計算をするハヤテに自分の考えを語る。

「ここが利益を上げるほど、トニーの声望は落ちていくわけだ」

「刃物で殺さずに金で殺すですか。エグイですね」

「まさか、魔法で吹き飛ばすわけにもいくまい」

「確かにそうですね」

 こうして、俺が持つ魔法と金の暴力によって未開地の一部がようやく開発されていくのであった。



 主人公一行紹介
タグ

Menu

メニューサンプル1

メニューサンプル2

開くメニュー

閉じるメニュー

  • アイテム
  • アイテム
  • アイテム
【メニュー編集】

編集にはIDが必要です