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「ようやく波長の合う人間と会えました。君の名前は?」

 翌日、いつものように森へと入った俺は、そこで青白い肌の20歳前後の腰まで伸びた赤い髪の人物に話しかけられるのであった。

「私の名は、アティ。生前は、ブライヒレーダー辺境伯から臨時で雇われた魔法使いをしていた人間です」

 この突然、話しかけてきた人は、どうやら語り死人であったらしい。
 しかも彼女は、俺の探知魔法にも一切引っかからず、採集のために下を向いているところを突然、話しかけられたので、俺の心臓はバクバクしたままであった。

「驚かせてごめんない」

 アティは、驚く俺にすまなそうに頭を下げていた。

「年齢のわりに探知の魔法が上手ですね。私が探知に引っかからなかった件ですけど、何も死霊系の魔物が探知に引っかからないという事ではないですよ。私が、探知を誤魔化す魔法を知っているからです」

「物凄い魔法ですね」

「そうですね。当然、君にも覚えてもらう予定です」

「はい?」

 突然の語り死人からの提案に俺は思わず変な声をあげてしまう。

「語り死人を成仏させる方法は聞いていますよね?」

「はい、その話を聞いて願いをかなえるとかで」

「私の願いは、先生になって生徒に魔法を教える事です。君は魔力に長けているし、独学でほぼ一流の技量を得る事に成功しています。魔法の会得は、ほぼ独学で成し遂げる物ですけど、一週間も私からコツを聞けば、その習熟は早まるはずです」

 そんなやり取りの後、俺はこの元ブライヒレーダー辺境伯の臨時魔法使いであったアティの弟子となる。

 朝、武芸の簡単な訓練を終えてから森の奥へと向かうと、そこには家族を誤魔化すために俺に持たせる獲物や採集物を準備した師匠が笑顔で待ち構えていた。俺は、師匠の笑顔に見惚れていたがわれに帰る。

「凄い物ですね」

「魔法が使えるので、生活の糧には困らないですよ」

 やはり師匠も素早いホロホロ鳥などを魔法で上手く落としているようだ。
 しかも、あっと言う間に俺の弓の魔法を真似して習得までしていた。

「始めましょうか」

「まずは何をするのですか?」

「器合わせという修練方法です」

 師匠の頬が赤く染まっている。

「師匠?」

「・・え・・・あ・・・なんでもありません」

 完全に独学の俺は知らなかったが、これは短期間で一気に魔力の量を上げる修練方法らしい。
 お互いに両手を握り合って輪を作り、双方の体に徐々に大量の魔力を循環させていく。
 すると魔力の少ない方の魔力量が魔力が多い方と同量になるらしい。

「ただ、これは可能性の問題です。最初からその人の最大魔力量が決まっていますから、それを越して魔力量が増えるような事はありません」

 要するに魔力量が10の人と100の人が魔力合わせを行った場合、理論的には魔力量が10の人は100になる。
 だが、その人の魔力限界値が10の場合は成長しないし30だと30までしか上がらない。
 もし200の場合でも100までしか上がらないので、これをしたからと言って修練をサボって良いわけでもないようだ。

「それでも私は、君の数千倍以上の魔力量を持っています。まだ魔力が成長している君には十分に役に立つはずですよ」

「あの、そんなに魔力量を急に成長させて大丈夫ですか?」

「命の危険は無いですよ。ただ限界魔力量が低い人に一気に大量の魔力を流すと魔力酔いで二〜三日具合が悪くなるようです」

 そんな説明を聞きながら、俺と師匠は両手を繋ぐ。
 やはり師匠は死んでいるらしく、その手は少し冷たかったが柔らかかった。
 それから目を瞑り、双方が魔力を沸き上がらせながら、お互いに繋いだ手から相手の魔力路を通して魔力袋へと魔力を流すイメージを思い浮かべる。
 すると次第に師匠の手から膨大な魔力が流れ込むイメージが頭に思い浮かんでくる。

「・・・んっ・・・ぁ・・・・これは予想以上です」

 十分間ほどこの状態が続いていたが、突然一気に魔力の流れが止まってしまう。

「ハァハァハァ・・・・これで器合わせは終わりです」

 器合わせなる儀式が終わって双方が両手を話すと師匠が俺にもたれかかってきていた。
 師匠の熱を帯びた息遣いにドキリとする。
 突如、師匠は目を輝かせながら俺に話しかけてくる。

「見込み以上です。今のあなたは魔力量だけなら私に匹敵するレベルになっています。でも、まだそれが限界でもない。あなたは、歴史に残る素晴らしい魔法使いになれます」

「そうなんですか?」

「私が保証します。あなたは、私を超える魔法使いになれます。慢心しないで着実に鍛錬を続けていればです」



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