様々な小説の2次小説とオリジナル小説

 俺は、ファイトさんの所に赴いた。
 お供は当然ながらリッドである。さすがに女性陣は子供の世話があるからである。

「お菓子や荒地の回復に使えるのですか」

「ああ・・・そちらは」

「それなんですが」

 ファイトさんの案内で、俺達はマロイモ畑まで移動した。
 マロイモのツルが出ている場所のすぐ近くの土を掘ると、そこにスライムイモのゼリーの塊が埋まっていた。

「畑の土の保水に使っているのか」

「はい。マロイモを甘くするには、厳しい水分量の調整があるのですが、これがあると作業が楽になりました」

 水分を抱えてなかなか離さないスライムイモのゼリーであるが、加熱して加工したゼリーは保水力が弱められている。
 周辺の土の水分が減ると浸透圧の関係で外に水分が排出され、逆に水が多すぎると、それを蓄えて土が必要以上に湿らないようにする。

「今まで、大雨が降ると対策で一苦労だったのですが、これを埋めておけばその手間も省けますよ」

「なるほどな、俺の荒地回復方法と同じか」

「そうですね、原理は一緒ですね」

「俺の領地でも活用していいか」

「ええ・・・・構いませんよ」

「ヴェルたちはどうなったか」

 ヴェルたちはスライムイモの活用法は見つけられなかったそうだ。

「そうだ。このスライムイモを売ってくれたエステルさんにお礼を言わないといけませんね」

「そうだな」

「「はあ……」」

 ヴェルとカチヤは、一斉にため息をついた。

「兄貴、ルーク、お礼を言いに行くのはよくないと思うな」

「そうなのかい? カチヤ」

「正確にいうと相手は女性、それも貴族令嬢じゃないか。お礼を言いに行くにも、身形とかに気を使わないと。プレゼントもいるな」

「そう言われるとそうだね」

「俺もプレゼントいるのか」

「ルークは辺境伯様だから要らないと思うぜ」

「第一、ベルクシュタイン男爵領がどこにあるか知っているのか?」

「調べていないね。これは不勉強だったよ」

「兄貴も忙しいからな。あたいと旦那に任せてくれよ」

「いいの? 悪いね」

「じゃあ、早速」

「えっ! もう? でも、畑の視察が……」

「そんなの、今日くらい家臣に任せておけって」

 そのまま有無を言わさず、ヴェル達はファイトさんと『瞬間移動』で向かった。

「俺達、どうしようか?」

「なんか怪しくないか」

「確かに・・・スライムイモの活用法が見つかったのでお礼とプレゼントまではよしとしよう。ただ身だしなみを整える必要性があるのか?」

「普段の格好でいいよな」

「そもそも誤解され・・・・」

「それを狙っているのか?」

「マリタさんを追い落とすきかよ」

 俺達も王都に向かいベルクシュタイン男爵領の場所を調べるのであった。

「王都からそんなに遠くないな」

 王都の品評会にエステルさんが売り子として参加できるくらいだからな。
 もし交通費がかかるような場所にあったら、ベルクシュタイン男爵がエステルさんの参加にいい顔をしなかったであろう。

「とはいえ……」

「あの子、足腰が頑丈なんだな」

 ベルクシュタイン男爵領は、旧カグラザカ領から、徒歩で一日ほどの距離にあった。

「冒険者らしく、歩いていくか」

「そうだな」

 俺とリッドは、身体強化を施し、ベルクシュタイン男爵領を歩いて目指す。
 飛翔の方が早いって、確かに早いのだが、今から行ってもヴェルたちに先を越されているだけだろうからのんびりと行く事にした。

 5時間後

 現地に到着したが、この距離を若い娘が馬車や徒歩で王都と往復したのだから凄い。
 そういえば彼女、結構重たいスライムイモを楽々持っていたな。
 ヴィルマほどじゃないけど、健康優良児で力もあるのであろう。

「田舎だなぁ。あまり人の領地の事は言えないけど……」

 到着したベルクシュタイン男爵領は、農業が主産業でのどかな農村地帯といった感じであった。

「あんのぉ……何か用だべか?」

「ベルクシュタイン男爵のご令嬢エステル殿はいらっしゃるかな? 実は、お礼を言いに来たのだが」

「今、お貴族様がいるだべ」

「領主館にいるだべ」

「それにお貴族様が婚約しただべ」

 俺達は領主館を目指す。
 やはりのどかな田舎だな。

「ファブラブルクも場所によっては田舎の風景だろう」

「そうだな、人数は増えたんだけどな。こればかりは仕方ないか」

「しかし大商人も良くやるよな」

「そうだな、まさか食料を大量に売る方針が大企業の魔族をファブレ領に送り込んでくるとはな」

 その魔族は大企業の一員だが金がないので魔力を供給して金を稼ぐと言い出した。さすがにゾヌターク共和国から食料を大量に購入するばかりでは、通貨が消費されるばかりなので代わりに大型蟹や海竜や天地の森の果物などを割高で大企業には購入させている。単品でも大型蟹や海竜や天地の森の果物は高額素材で人気商品なのである。ゾヌターク共和国でも度々問題視されている行為でもあるのだが、かといってどうやって食料品を大量に消費するのかといわれたら答えづらいらしい。ヘルムート王国やアーカート神聖帝国でもゾヌターク共和国の種子は購入されているので、いずれ食糧不足が解消されると読んでいるようだ。先読みはすばらしいが、その先の解決策も提示するべきであった。わがファブレ領では、食料品に最低価格法を施工してあるので、食料が大量に出回っても農家の生活を守れるように手を打った。

「それで・・・どうなのですか?バウマイスター辺境伯様」

 俺達が館に到着するとベルクシュタイン男爵が勝ち誇った笑みを浮かべていた。

「貴族の常識ですぞ」

「・・・旦那」

「それは・・・」

 ヴェルとカチヤとエステルさんは困った顔を浮かべ、ファイトさんは、戦う男の顔を浮かべていた。

「それで、どういう状況かな」

「・・・・・貴様・・・今・・・これはファブレ辺境伯」

 俺の顔を見てベルクシュタイン男爵が驚愕し、慌てて取り繕った顔をしていた。

「エステルさん、事情説明」

「え・・・はい、実は」

 ヴェルとカチヤが、ファイトさんに側室としてエステルさんを宛がおうとした。男爵の13女なので、通常は嫁ぎ先としては、名主や豪農の正妻である。

「マリタさんを貴族の養女にして価値をあげたと」

「お分かりでしょう。正妻交代を要求するのは当たり前ですな」

 この方法が通じるのは、バウマイスター領やオイレンベルク領のみである。
 バウマイスター領やオイレンベルク領で婚約していれば、一応問題なかったのだ。寄り親たるバウマイスター辺境伯の権力でいくらでもマリタさんを正妻の地位から守る事ができるのだ。ただしもう1人の寄り親たるブライヒレーダー辺境伯の場合は家臣の反対で守れないかもしれない。

「なあ、ルーク何か言い案あるか」

「マリタさんと正妻交代をする」

「そんなこと」

 ファイトさんが声を荒げるが

「ことを強要できるのはブライヒレーダー辺境伯やオイレンベルクの現当主ぐらいだから落ち着いてください」

「・・あ・・そうなのかい」

「ええ」

 俺の言葉にホッと一安心を浮かべるファイトさん。

「駄目な案じゃねえか」

「貴族の常識に従った案だけどね」

 ますます勝ち誇るベルクシュタイン男爵である。

「そもそもヴェルの方法が通じるならとっくの昔にブライヒレーダー辺境伯がイーナとルイーゼを養女にして正妻にさせているんだけどね。ヴェルの方法が通じるのは自領ぐらいだからな」

「その通りですよ・・・・それで」

「ベルクシュタイン男爵、そもそもファイトさんがエステルさんを見初めたのですか」

 どう見てもファイトさんがエステルさんにほれているように見えないのだ。
 ファイトさんの話を聞くとただのお礼である。
 カチヤとヴェルが、ファイトさんの側室宛がい計画してしまい、自爆しただけであった。
 エステルさんは側室でも言いといっている。
 ベルクシュタイン男爵がマリタさんの正妻交代要求を出した。
 このままだとエステルさんの立場がまずいよな。

「じゃあ・・」

「(ファイトさん)」

 俺は、ファイトさんを引っ張り、エステルさんの立場がまずい事を伝えた。

「そうなのかい」

「ええ」

「どう・・しましょう」

 上手く事を収める方法はこれしかないな。

「ベルクシュタイン男爵」

「なにか」

「エステルさんは、バウマイスター辺境伯の側室になります」

 俺の言葉に、全員が驚く。

「おれは」

「責任は取れ」

 このままはいさようならというわけには行かないのだ。
 エステルさんの嫁ぎ先がまずくなるからである。

「ベルクシュタイン男爵・・・構いませんよね」

「もちろんですとも」

 こうしてエステル、ヴェルの意志を無視した婚姻が成立した。
 ローデリヒさんやヴェルに関係ありそうな貴族やヴェルの妻にも事情を説明したのだ。
 さすがに今回の件は、ヴェルが自爆したので、渋々だが関係者に理解してもらった。エステルさんの婚姻先を用意するなら話は別だけど、条件として男爵や子爵の正妻あるいは伯爵の側室あたりが妥当であるがまずもって不可能である。今回一番、エステルさんが婚姻する事で序列が同等になり迷惑したのは、実はホーエンハイム子爵だったりする。エドガー侯爵や3人の高位貴族たちも娘や養女の序列が下がったが納得していたりする。元々3人の高位貴族たちは、魔物の暴走が起って領地が困窮したので経済支援だったからである。エドガー侯爵もさほど気にしていなかったりする。

ヴェルの序列
第1位 ヒルデガルト
第2位 涼子
第3位 唯
第4位 テレーゼ
第5位 カタリーナ
第6位 フィリーネ
第7位 エリーゼ、エステル
第9位 3人の男爵貴族
第12位 アグネス
第13位 リサ
第14位 シンディ、ベッティー、ゾヌターク共和国の1人
第17位 ミリィ、3人の準男爵とアーカート神聖帝国の準男爵3人
第24位 カチヤ
第25位 アマーリエ
第26位 雪
第27位 ルイーゼ
第28位 イーナ

 後世、天然由来で食べられる高吸水性高分子の材料として知られるようになるスライムイモであったが、誰がどのように栽培しても、品種改良をしても味をつける事はできなかった。
 荒廃地の土壌改良、水分保湿に使う高吸水性高分子、紙オムツの材料などとして長らく使われていくのだが、食品としての需要はゼリーを固める材料として、ダイエット食品の材料として世間に普及していくのであった。



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