様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「お館様! 大変です!」

「どうかしたのか?」

 次はテスタロッサ家に対しどう動くか考えていたら、突然家臣が血相を変えて飛び込んできた。
 何事かと尋ねたら、とんでもないことを口走り始める。

「テスタロッサ家が攻めてきました!」

「まさか!」

 そんなバカな話があるか!

 たかが騎士爵家の分際で、この歴史あるブレンメ男爵家に攻め込んだだと?

 テスタロッサ卿め、ふざけた男だ!

「先に自分が攻めておいて、自分が攻められない保証なんてないがな」

「父上、なにか文句でも?」

「いいや、ただ自分の意見を言っただけだ」

 そもそも、我がブレンメ男爵家が没落したのは、あんた以下先祖がみんな大バカ者だったからだ。
 もはや通常の方法では家を立て直せず、人が苦労している時に文句ばかり。

 大半の家臣に無視され、今は実権を握っている私を追い落とそうと批判を始めたのか?

 もしそうしたければ、たまには貴族らしく敵を迎撃したらどうだ?

 あんたにはできないだろうがな。

「全領民に対し、侵略者と徹底抗戦するように命じろ!」

 ここを凌げば、領地防衛に成功した戦功で私の指導力が評価される。
 ブレンメ男爵家を立て直す時間的な余裕が与えられるのだ。

「それが……領民たちはこぞって降伏しておりまして……」

「そんなバカな!」

「また、例の魔法使いが相手を動けなくしているようで……」

 戦闘に慣れていない領民たちは、テスタロッサ家が雇った魔法使いの魔法とやらで、みんな一戦もせずに降ってしまった。

「戦力は?」

「10名も集まればいいかと……」

 それでは防戦なんてできない!

 この屋敷に防衛戦闘を行える設備など存在しないのだから。

 ええい!

 金があれば男爵家に相応しい館を建設できていたのに!

「もはや戦えまい。降るしかないな」

「父上!」

 お前はそれでいいよな! 

 きっと講和の席で僕の不手際を攻め立て、跡取りに相応しくないと廃嫡すればいいのだから。
 どうせブレンメ男爵家を取り潰しなんてできないし、王国政府もそれは認めないはず。
 賠償金も、ない袖は振れない。
 払わずに誤魔化すことも可能であろう。
 そしてこいつは、再び実権のある領主の座に復活するわけだ。

 僕の代わりの跡取り……まさか!

 イヴァンカに婿を取らせるつもりか!

 そうやって、お前だけ罪を間逃れるつもりなのか!

 卑怯な!

 お前みたいなのが領主だから、我がブレンメ男爵家は駄目なままだというのに!

「できもしない改革とやらのせいでこの様だ。イーヴォ、責任は取ってもらわないとな」

「貴様!」

「それが父親に対する言葉か?」

「お前なんて、父親と呼ぶ価値もない! こいつを捕えよ!」

 相変わらずバカな男だ。
 ここにいる家臣たちは、全員お前なんて見捨てているというのに。
 愚かなお飾り領主は、すぐに家臣たちに捕らえられてしまった。

「若様、どうしましょうか?」

「まずは、表に出て戦況を把握しなければな」

「お父君はどうしますか?」

「縛ってから放置しておけ!」

 家臣からお館様と呼ばれないとは、お前の権威も地に落ちたものだな。

「最悪、領内に潜むことも検討しなければな」

 もしブレンメ男爵領がすべて占領されたとしても、いつまでも大規模な諸侯軍を維持できまい。
 敵の占領が緩んだところで、私が家臣や領民たちに蜂起を呼びかければ、すぐにまたブレンメ男爵領は復活する。

「私は諦めないぞ! 必ずやテスタロッサ領と港を押さえ、この地域の交通と流通を握り、ブレンメ男爵領を立て直すのだ!」

 一度や二度の敗戦など、この戦力なら当たり前。
 ここで諦めてどうするというのだ。

「ついてこい!」

「「「「「ははっ!」」」」」

 縛ったバカは、このまま放置で構わない。できれば、このまま占領軍に殺してもらいたい気分だ。
 そうすれば、あの役立たずも使い道があるのに。
 死んだ人間なら、いくらでも話を脚色可能だからな。
 ブレンメ男爵家復活のため、私たちを逃がすために命を捨てたとか話を作っておけば、領民たちも感動するであろう。

「兄上?」

「イヴァンカ、お前は静かにしておけ」

 まあ、紛争で貴族令嬢に手を出すアホもおるまい。
 とにかく今は、僕が身を隠さねばならないのだ。

「イヴァンカ、僕は必ずブレンメ男爵家を復活させる! これからの僕の活躍を見ておくがいい!」

 妹にそう言い残し、僕と数名の家臣は勢いよく屋敷の扉を開けた。
 ところが、扉を開けた場所に僕の進路を塞ぐ50名にも登る武装した集団とその前方にイヴァンカと同い年くらいの杖を持ったロープ姿の少年がバチバチと杖の先端から鳴っている。

「若!」

「狼狽えるな!」

「降伏しろ」

 少年が、澄んだ声でこちらに降伏を促してきた。

「俺は降伏するぞ!」

 家臣たちが僕をわれ先に降伏してしまった。

「おい! お前ら!」

 ブレンメ男爵家の跡取りたる僕を無視して降伏するとは、お前らにはあとで罰を与えてやる!

「ここは一旦逃げて臥薪嘗胆で……」

 急ぎ逃げ出そうとした僕であったが、ちょっと遅かったようだ。
 僕を目がけ、電撃が襲いかかる。

「そんなバカな! なぜ上手くいかないのだぁーーー!」

 僕は意識を失ってしまうのであった。

 クソッ!

 こんなところで僕は死ぬわけには……。



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