様々な小説の2次小説とオリジナル小説

「ルーク殿、千を超える敵の軍勢が迫っております!」

 翌朝、野営しているので軽く朝食をとり、フェイト義姉さんが淹れてくれたマテ茶を飲んでいると、そこにテスタロッサ家の嫡男でフェイト義姉さんの兄ボルト殿が姿を見せた。
 斥候に出した従士が、この領地境に迫るブレンメ男爵家諸侯軍を発見したと報告してきたそうだ。

「千人かぁ……さすがは男爵家」

「いえ、リッド殿。ブレンメ男爵家は代々の失政が祟って、人口なども我が家とそう差はありません。男手も同じようなもの。軍勢には、老人、女子、子供も混じっています」

「アホじゃないのか?」

「まあ、あそこの跡取りならやりかねないと言いますか……」

 事前の情報どおり、ブレンメ男爵家の嫡男イーヴォは救いようのないアホのようだ。

「はあ、これは大変そうだな」

 段々と視界に押し寄せるブレンメ男爵家諸侯軍が見えてきたが、みんな貧しい生活のためか、装備がボロどころか防具すら着けていない。

 武器もボロボロでも剣や槍を持っているだけマシで、中には農機具や木の棒を持っている人もいた。

「軍勢ってよりは、流民の群れって感じだな」

 リッドの感想を聞き、俺たちは納得してしまう。

「稀に苛政で貴族の領地から領民が逃げ出すそうですが、こんな感じだと言っていましたね」

 ヴィッツ殿は、まるで幽鬼の群れのように前進してくる彼らを見て、つき合いのある貴族から聞いた流民そのものだと言った。

「可愛そうですが、あんな連中を領内に入れたら我が領は終わりかもしれません」

 なにも失うものがない連中ほど、怖いものはない。
 全面的にイーヴォに従っている人は少ないのだろうが、このまま貧しい生活を送るよりは、他人から略奪してでも生活を変えたい。
 そこまで追い込まれているようにも見える。
 ファブレ辺境伯領内にも入れたくない連中だな。

「そろそろ起動させるか」

 そんな話をしている間にも彼らはこちらに向けて突進を続けていた。

「イーヴォを捕まえるって手もあったんだが、いないな……」

「残念ですが、イーヴォ様にそんな度胸はございません。それと同時に、自分は総大将だから先陣に立つ匹夫の勇など行わない。と言い訳をし、本気でそう思える羨ましい頭をしているのです」

 領民のためとはいえ、裏切って情報提供をした身であるゾンバルトも後方で安穏としていられないと前線に同行しており、元と言っていいのかわからないが、主君の嫡男の性格について冷静に述べた。
 その言葉はえらく客観的なのにイーヴォを思いっきり貶しているようにも聞こえるが、事実なので仕方がない。

「後ろにいるみたいだな、早速!」

 ブレンメ男爵家諸侯軍が足を踏み入れた場所に魔法陣が浮かび上がる。

「動けない」

「こら、とま・・・なんだ、うごけない。何とか動け」

「んだども」

 ブレンメ男爵家諸侯軍の足が止まった。
 家臣たちが動きを止めた領民たちに対し前に進むよう命令するが、全員一歩も前に進めなくなってしまう。

「ブレンメ男爵領のみなに告ぐ!餓死したくないのでただちに降伏せよ」

 俺は彼らに撤退するようにと命じた。

「誰が降伏するか」

「俺は、降伏する」

「俺も」

「こら、降伏するな」

「だっども、動けないじゃ、しょうがないぺよ」

 ブレンメ男爵領の領民達は、降伏した。
 とりあえず、捕虜という扱いなので、うどんを食べさせた。

「おかあさん・・・これおいしいよ」

「ほんとうね」

 その後、領民達を領地に返した。

「これで全員か」

「はい、間違いございません」

「この裏切りものめ」

 罵声がひどいがブレンメ男爵の家臣を捕虜として捕らえたのだ。
 家臣の一人を釈放して、イーヴォへの伝言を頼んだのだ。

「これ、解決っていえるのか?」

「そうですな。ファブレ辺境伯様がいなくなれば、またバカなイーヴォが領民を率いて侵攻してくるかもしれません」

「厄介な!」

 俺は、ゾンバルトとボルト殿の意見に反論する術を持たず、紛争というか戦争に勝利したにも関わらず、ファブレ辺境伯領にはまだ戻れないことが確定した。

「まだ終わっていませんので。最後まで責任を持っていただけるとありがたいのですが……」

「……そうだよな……」



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